自らの命を懸けて地元環境を守る人々 フィリピンを舞台にしたドキュメンタリー映画『デリカド』
環境活動家と聞いて思い浮かべるイメージは何だろうか。
若者世代を代表するグレタ・トゥーンベリさんや、アメリカの元副大統領アル・ゴア氏らを連想する人も多いかもしれないが、環境活動家は世界的に活躍する人々のことだけを指すわけではない。むしろ、世界や日本には故郷や地元の自然を保護するために奮闘する多くの人が存在し、中には日々、命の危険にさらされている人もいる。
国際NGOの「Global Witness(グローバル・ウィットネス)」は、「自分のコミュニティ、生活様式、環境を守るために、これほど命がけの時代はない」と2018年に公表した報告書で述べている。この状況は、現在も改善されているとはいえず、環境活動家にとってフィリピンは“アジアで最も危険な国”ともいわれている。
フィリピンの“最後の秘境”として有名なリゾート地・パラワン島で、命の危険を顧みずに違法伐採や違法漁業に立ち向かう人々を追ったドキュメンタリー映画『デリカド』(2022年制作、94分)が東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムなど全国で公開中だ。
デリカドは、タガログ語で「危険」を意味する言葉。映画に登場するのは、弁護士・町長(当時)・農民らパラワン島の自然を守ろうと活動する人々。中でも、地元の環境保護団体を束ねる「パラワンNGOネットワーク(PNNI)」の環境警備隊は、観光開発などの最前線で違法伐採などを取り締まっていて、これまで活動中に14人(映画制作時は13人)が命を落としている。
経済成長と自然環境の保護は必ずしも相反するものではない。一方で、気付いた時には自然が破壊されていたということは少なくない。映画の中でPNNIのメンバーは「俺たちがやらなければ、誰がやる?」と問いかけている。故郷や代々続く自然が貴重であることは日本でも同じだ。この映画をきっかけに、今ある自然や周辺環境の大切さについて、改めて目を向けてみてはどうだろうか。
シアター・イメージフォーラム(渋谷)と第七藝術劇場(大阪)での上映は6月27日(金)までの予定。6月28日(土)からは横浜シネマリンでの上映が始まる。
---------------------------------
『デリカド』公式HP: https://unitedpeople.jp/delikado/
記事提供元:オーヴォ(OvO)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。