中国ゴルフ界に2人目の五輪メダリストが誕生 「シャンシャンを引き寄せた」
<パリ五輪 最終日◇10日◇ル・ゴルフナショナル(フランス)◇6374ヤード・パー72>
28歳にして、今回が2016年リオ、21年の東京に続く五輪出場となったリン・シユ(中国)は、“3度目の正直”と言わんばかりに母国にゴルフで2つ目となるメダルを持ち帰ることができる。「ほとんどメジャーのセッティングのようだった。報われたような気がするわ」。胸にかけられた銅色の勲章が誇らしい。
首位と5打差の7位からスタートし、「69」と伸ばした。スコアを動かしたのは終盤。15番からの4ホールを3バーディ(1ボギー)でプレーし集団から抜け出した。そして、これは偉大な先輩に肩を並べるできごとでもある。
中国選手がゴルフでメダルを獲得するのは、16年のリオ五輪で銅に輝いたフォン・シャンシャン以来。メジャー1勝を含む米国ツアー通算10勝を挙げ、中国ゴルフ界に多大な影響を与えた選手と同じ称号を手にしたことになる。そして、五輪開幕前にその先輩からかけてもらった言葉が、力になったとシユは明かす。
「パリに飛び立つとき、シャンシャンに電話して『不安なんだ』って話したの。今年はあまりいいプレーができていないし、葛藤があった。すると彼女から『何ができたら満足かを考えて?』って聞かれたから、『とにかくメダルを取ること』って答えた。そうしたら、『じゃあ、そのことだけ考えよう』って。その会話でやることが絞られた。私にとって、とても重要だった」
国を背負って戦うプレッシャーは決して小さくはなかったが、このやり取りで考えがシンプルになったという。またなにより8年前にシャンシャンが銅メダルを獲得する姿を、間近で見ていたことも大きかった。「彼女がリオで何をしていたかを考えてみたの。そうしたら1週間を本当に楽しんでいたことを思い出した。彼女はみんなに微笑みかけ、声援を送ってくれたファンのみんなに手を振っていたってね」。自分を鼓舞し、とにかく72ホールを楽しもうとした。
シユは「シャンシャンを引き寄せた」と表現する。現在、世界ランク20位のシユは、世界5位につけて昨年の「KPMG全米女子プロ選手権」を制した21歳のイン・ルオニンとともに“中国の二枚看板”ともいえる存在だ。そして、多くの経験を伝えられる選手でもある。今回の快挙が、母国の後進に与える影響は大きい。
<ゴルフ情報ALBA Net>
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