今年の梅雨は大雨?夏の猛暑は?異常気象の権威に“日本の気候がおかしいワケ”を聞く
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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日本の気候がなんだかおかしい! 明日の日曜ビッグバラエティは「異常気象SOS!どうなるニッポンの気候 天気のプロにギモンを直撃SP」(日曜夜6時30分)を放送。
気象予報士ら“天気のプロ”が、「ゲリラ豪雨は予想が難しい?」「今年の梅雨はどうなる?」「今年の夏はどこまで暑くなる?」「日本の台風は今後どうなるの?」など天気に関する気になるギモンに答える。さらに、集中豪雨の観測をしている気象庁の船「凌風丸」や、台風の正体をつかむため日本初の観測など、貴重な映像も。

番組内で楽しく分かりやすく解説していただく、日本の異常気象の権威・立花義裕教授(三重大学)にインタビュー。今最も気になる今年の「梅雨」と「猛暑」について話を聞いた。
【動画】気象予報士ら“天気のプロ”が日本の天候のギモンに答える

――今、日本列島は「梅雨」真っ最中。気象庁の見解では「今年の梅雨は大雨が多くなる」との予測ですが、立花教授はどのように思われますか?
「豪雨の警戒が必要だと思います。かつての“梅雨”は毎日しとしと雨が降っていましたが、近年は、晴れる日もある一方で、より強い雨が短い時間にドカンと降ります。雨の量は同じでも、短時間に集中して降ることで災害に繋がってしまうんです」

――こうした“梅雨”の変化の原因は何ですか?
「地球温暖化です。雨の元は海。温暖化で海面水温がガンガン上がっているので、水蒸気=雨の元が増え、まとまった雨が降る“大雨”になります。昔は北海道には“梅雨”がなかったのですが、今は梅雨のような気候が続いています。このまま温暖化が進むと、北海道にも梅雨が来る可能性がありますし、これからの日本の梅雨はさらに激しいものになっていくでしょう」

――昨年2024年の夏は日本に40℃超えが9地点あり、毎年のように“観測史上最も暑い年”を更新しています。近年、日本は亜熱帯化していますが、今年の夏の暑さはどうなると予測されますか?
「猛暑が予想されます。日本は湿度が高くジメジメしているので、体感としては熱帯よりも暑いんです。また、熱帯では昼間は暑くても夜は涼しいですが、日本は夜も暑い。海面水温が上昇した熱い海から湿気がやってくるためです。海に囲まれた日本は、世界の中でも異常気象が起きやすいんです」

――海といえば、異常気象によって海で獲れる魚も変わってきたというニュースも気になります。
「温暖化で海面水温が上がると、南の暖かい海にいた魚が北へ行く、北にいた冷たい海が好きな魚は居場所がなくなって減ってしまう。サンマが高い、イカやホタテが獲れない、三重県の特産品だった伊勢エビが東北地方で獲れるようになった…など、漁場が変わってきていますよね。気象に興味がない人も、こうした水産物や米や野菜など“食生活がおかしい”というところから“異常気象”に気づいて、理解してもらう入口になればいいですね」

――今後の日本の気候はどうなっていくと予想されますか?
「日本は長い夏と冬の“二季化”が進んでいます。梅雨はより激しくなり、雨は降れば豪雨に、降らなければ猛暑になるでしょう。また、台風は、近年、動きが遅かったり、迷走しているようなおかしな動きをしたりするものが多いです。今後も、勢力が強いまま日本に接近し、場合によっては上陸する台風が増えると思います」

――こうした異常気象は、今後もずっと続いていくんですか?
「異常気象とは“ある場所、ある時期において、30年に1回以下で発生する現象”です。地球温暖化により、世界的に異常気象が増加する可能性があります。今は“異常”気象ですが、この状態が“普通”になっていくと、未来にはもっとすごい“異常”が待っているわけです」

――近年、日本は集中豪雨や台風による水害が増えていますが、世界では砂漠化などの問題もありますよね。
「日本は周りが海だから雨が降りますが、地球上の水蒸気の量は一定なので、どこかで雨が集中すると、どこかが乾いて干ばつや砂漠化を引き起こし、極端化します。すべての異常気象は繋がっています。そしてその原因は温暖化なんです」

――温暖化の対策としては、立花教授もよくおっしゃっていますが「CO2(二酸化炭素)を減らす」しかないのでしょうか?
「僕はそう思います。ダムを増やすなどいろいろな取り組みがありますが、やはり根本療法はCO2を減らすしかないんですよ。病気を防ぐのと同じで、原因を断つしかないんです」
――SDGsなどCO2を減らす取り組みもありますが、温暖化は止まらず異常気象もますます酷くなっていて、なかなか結果が出てないよう気がするのですが…
「“実はたいしたことないんじゃないか”“もっと深刻になってからやりましょう”という本気じゃない人が多いからです。それは間違いで、今すぐやらないとダメになってしまうんです」

――本気で取り組んでいくためには、どうすればいいのでしょうか?
「一人一人が少しでもできることから取り組めばいいんです。100頑張る人が1人よりも、100人が1頑張る方が、同じ効果が長続きするんです。だから、みんなが少しでも何かやった方がいい。
一番簡単なのは、家のカーテンを断熱遮熱カーテンにするだけです。数千円で、太陽光は通すけど熱は通さないカーテンを売っています。実は、窓が一番熱を通します。だから、エアコンの温度を1℃下げるより、カーテンを変える。それだけで窓からの熱気を抑えて部屋は涼しくなるし、電気代も減る。冬も暖房代を節約できる。快適に過ごせる上に、浮いた電気代で飲みにいってもいい。これなら楽しく、温暖化も抑制できます。
“我慢しましょう”“苦しいけど頑張ろう”は絶対に長続きしません。人間の行動原理は“楽しいこと”か“儲かること”の2つ。この方法なら楽しみながら儲かります。僕はよく言っていますが、温暖化を防ぐことは楽しいんです!」
立花教授が出演する日曜ビッグバラエティ「異常気象SOS!どうなるニッポンの気候 天気のプロにギモンを直撃SP」(番組詳細URL入れる)(日曜夜6時30分)は、MCも担当する石原良純と、木原実、片岡信和の気象予報士3人、“お天気のシロウト”代表・松村沙友理とともに天気に関する疑問を解決!

立花義裕教授の新著「異常気象の未来予測」(ポプラ新書)7月9日(水)発売。予約受付中!
【プロフィール】
立花義裕(たちばな・よしひろ)
三重大学大学院 生物資源学研究科教授。気象学・気候力学・大気海洋相互作用が専門。夕方の生放送「MIEライブ」(三重テレビ)内の「気象らぼ」コーナーにレギュラー出演の他、「TAMORI STATION」「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)などにも出演。学術的な内容を親しみやすい語り口で伝えることで定評があり,中高生への出前授業や一般向けの講演も多数。新著「異常気象の未来予測」(ポプラ新書)7月9日(水)発売、予約受付中!
画像素材:PIXTA
気象予報士ら“天気のプロ”が、「ゲリラ豪雨は予想が難しい?」「今年の梅雨はどうなる?」「今年の夏はどこまで暑くなる?」「日本の台風は今後どうなるの?」など天気に関する気になるギモンに答える。さらに、集中豪雨の観測をしている気象庁の船「凌風丸」や、台風の正体をつかむため日本初の観測など、貴重な映像も。
番組内で楽しく分かりやすく解説していただく、日本の異常気象の権威・立花義裕教授(三重大学)にインタビュー。今最も気になる今年の「梅雨」と「猛暑」について話を聞いた。
【動画】気象予報士ら“天気のプロ”が日本の天候のギモンに答える
今年の梅雨はどうなる?

――今、日本列島は「梅雨」真っ最中。気象庁の見解では「今年の梅雨は大雨が多くなる」との予測ですが、立花教授はどのように思われますか?
「豪雨の警戒が必要だと思います。かつての“梅雨”は毎日しとしと雨が降っていましたが、近年は、晴れる日もある一方で、より強い雨が短い時間にドカンと降ります。雨の量は同じでも、短時間に集中して降ることで災害に繋がってしまうんです」

――こうした“梅雨”の変化の原因は何ですか?
「地球温暖化です。雨の元は海。温暖化で海面水温がガンガン上がっているので、水蒸気=雨の元が増え、まとまった雨が降る“大雨”になります。昔は北海道には“梅雨”がなかったのですが、今は梅雨のような気候が続いています。このまま温暖化が進むと、北海道にも梅雨が来る可能性がありますし、これからの日本の梅雨はさらに激しいものになっていくでしょう」
今年の夏も猛暑!?

――昨年2024年の夏は日本に40℃超えが9地点あり、毎年のように“観測史上最も暑い年”を更新しています。近年、日本は亜熱帯化していますが、今年の夏の暑さはどうなると予測されますか?
「猛暑が予想されます。日本は湿度が高くジメジメしているので、体感としては熱帯よりも暑いんです。また、熱帯では昼間は暑くても夜は涼しいですが、日本は夜も暑い。海面水温が上昇した熱い海から湿気がやってくるためです。海に囲まれた日本は、世界の中でも異常気象が起きやすいんです」

――海といえば、異常気象によって海で獲れる魚も変わってきたというニュースも気になります。
「温暖化で海面水温が上がると、南の暖かい海にいた魚が北へ行く、北にいた冷たい海が好きな魚は居場所がなくなって減ってしまう。サンマが高い、イカやホタテが獲れない、三重県の特産品だった伊勢エビが東北地方で獲れるようになった…など、漁場が変わってきていますよね。気象に興味がない人も、こうした水産物や米や野菜など“食生活がおかしい”というところから“異常気象”に気づいて、理解してもらう入口になればいいですね」

――今後の日本の気候はどうなっていくと予想されますか?
「日本は長い夏と冬の“二季化”が進んでいます。梅雨はより激しくなり、雨は降れば豪雨に、降らなければ猛暑になるでしょう。また、台風は、近年、動きが遅かったり、迷走しているようなおかしな動きをしたりするものが多いです。今後も、勢力が強いまま日本に接近し、場合によっては上陸する台風が増えると思います」

――こうした異常気象は、今後もずっと続いていくんですか?
「異常気象とは“ある場所、ある時期において、30年に1回以下で発生する現象”です。地球温暖化により、世界的に異常気象が増加する可能性があります。今は“異常”気象ですが、この状態が“普通”になっていくと、未来にはもっとすごい“異常”が待っているわけです」

――近年、日本は集中豪雨や台風による水害が増えていますが、世界では砂漠化などの問題もありますよね。
「日本は周りが海だから雨が降りますが、地球上の水蒸気の量は一定なので、どこかで雨が集中すると、どこかが乾いて干ばつや砂漠化を引き起こし、極端化します。すべての異常気象は繋がっています。そしてその原因は温暖化なんです」

――温暖化の対策としては、立花教授もよくおっしゃっていますが「CO2(二酸化炭素)を減らす」しかないのでしょうか?
「僕はそう思います。ダムを増やすなどいろいろな取り組みがありますが、やはり根本療法はCO2を減らすしかないんですよ。病気を防ぐのと同じで、原因を断つしかないんです」
――SDGsなどCO2を減らす取り組みもありますが、温暖化は止まらず異常気象もますます酷くなっていて、なかなか結果が出てないよう気がするのですが…
「“実はたいしたことないんじゃないか”“もっと深刻になってからやりましょう”という本気じゃない人が多いからです。それは間違いで、今すぐやらないとダメになってしまうんです」

――本気で取り組んでいくためには、どうすればいいのでしょうか?
「一人一人が少しでもできることから取り組めばいいんです。100頑張る人が1人よりも、100人が1頑張る方が、同じ効果が長続きするんです。だから、みんなが少しでも何かやった方がいい。
一番簡単なのは、家のカーテンを断熱遮熱カーテンにするだけです。数千円で、太陽光は通すけど熱は通さないカーテンを売っています。実は、窓が一番熱を通します。だから、エアコンの温度を1℃下げるより、カーテンを変える。それだけで窓からの熱気を抑えて部屋は涼しくなるし、電気代も減る。冬も暖房代を節約できる。快適に過ごせる上に、浮いた電気代で飲みにいってもいい。これなら楽しく、温暖化も抑制できます。
“我慢しましょう”“苦しいけど頑張ろう”は絶対に長続きしません。人間の行動原理は“楽しいこと”か“儲かること”の2つ。この方法なら楽しみながら儲かります。僕はよく言っていますが、温暖化を防ぐことは楽しいんです!」
立花教授が出演する日曜ビッグバラエティ「異常気象SOS!どうなるニッポンの気候 天気のプロにギモンを直撃SP」(番組詳細URL入れる)(日曜夜6時30分)は、MCも担当する石原良純と、木原実、片岡信和の気象予報士3人、“お天気のシロウト”代表・松村沙友理とともに天気に関する疑問を解決!

立花義裕教授の新著「異常気象の未来予測」(ポプラ新書)7月9日(水)発売。予約受付中!
【プロフィール】
立花義裕(たちばな・よしひろ)
三重大学大学院 生物資源学研究科教授。気象学・気候力学・大気海洋相互作用が専門。夕方の生放送「MIEライブ」(三重テレビ)内の「気象らぼ」コーナーにレギュラー出演の他、「TAMORI STATION」「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)などにも出演。学術的な内容を親しみやすい語り口で伝えることで定評があり,中高生への出前授業や一般向けの講演も多数。新著「異常気象の未来予測」(ポプラ新書)7月9日(水)発売、予約受付中!
画像素材:PIXTA
記事提供元:テレ東プラス
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