【20回目のプロ野球交流戦はここを見逃すな!!!】直近4年はセ・パ大接戦! 優勝するのはどの球団なのか!?(Part.1)
今年で20回目を迎えるプロ野球セ・パ交流戦が6月3日に開幕する。対戦相手が変わり、流れも変わる約3週間の熱き戦いを思う存分楽しむために押さえておくべきキーポイントを一挙紹介!【プロ野球セ・パ交流戦2025ワイド】
※成績は5月27日時点
* * *
■互角のセ・パ!それぞれの注目球団今年もセ・パ交流戦の季節がやって来た。過去19回の戦績は、優勝回数ではセ・リーグが5回、パ・リーグが14回。通算勝利数ではセが1174勝、パが1306勝とパが圧倒している。
この数字を基に「交流戦といえばパ」となりがちな状況にクギを刺すのは、現役選手も指導するピッチングデザイナーで、『週刊プレイボーイ』本誌おなじみの野球評論家、お股ニキ氏だ。
「コロナで交流戦が中止になった2020年を境に、セ・パの実力差はなくなっています。10年代に栄華を誇ったソフトバンクの全盛期が過ぎた影響や、各球団のドラフト戦略転換など要因はいくつか考えられますが、近年はいいバッターがセに集まっており、彼らを抑えるために投手も育つという好循環が生まれています。『パワーピッチャーはパに多い』という先入観も見る目を曇らせます」
確かに、直近4年はセ・パ共に208勝とまったくの五分だ。ならば、今季はどんな戦いが見られるのか? お股ニキ氏はまず、優勝候補として両リーグの首位を争う阪神と日本ハムを挙げる。
今季から阪神の指揮を執る藤川監督。開幕から安定した戦いぶりで現在はリーグ首位をキープ
「阪神はチーム防御率が12球団トップ。自慢の投手陣が今年も盤石です。野手は主力と控えに差があるものの、チーム打率や盗塁数もリーグ1位。例年課題の守備でも失策数がリーグ最少と、ポテンシャル的にはもっと勝っていてもおかしくない。
公式戦開幕から2ヵ月ほどの藤川球児監督の采配がもっと滑らかになれば、パ・リーグ勢にとっても脅威となるはずです」
現在、リーグ首位を走る日本ハム。新庄監督就任4年目の今季は投打ががっちり噛み合っている
日本ハムも阪神同様にいくつもの項目がリーグ1位だ。
「チーム打率はリーグ5位ですが、チーム本塁打数は断トツ。完投数、チーム防御率もリーグ1位と派手な数字が並びます。
新庄剛志監督も『BIGBOSS』と名乗っていた1年目とはもう顔つきが違う。むしろ、もう少し遊び心を出してもいいのでは、と思ってしまうほど。あとはホームに弱い外弁慶ぶりがセ・リーグ勢相手にどう出るか」
昨年の日本シリーズで対戦したソフトバンクとDeNA。共に5月から調子を上げてきた
続いて気になるのは昨季、日本シリーズで対峙したソフトバンクとDeNA。両チーム共に一時は最下位まで沈んだが、ここにきて状態を上げてきた。
「ソフトバンクはケガ人が続出して苦しみましたが、徐々に本領発揮。中継ぎはそろっており、強固な守備や粘り強さによる堅い野球で6カード連続勝ち越しと、調子を上げてきました。
柳町 達や野村 勇ら、開幕スタメンは逃したものの、私が以前から評価してきた選手が出番を得て活躍しています。今、一番勢いのあるチームかもしれません」
DeNAも4月末から8カード連続で負け越しなしと、上り調子で交流戦を迎える。
「防御率1点台のアンドレ・ジャクソンとアンソニー・ケイ、そしてエースの東克樹を中心に今年のDeNAは投手陣がいい。守備や走塁面での粗さは目立つものの、DH制で戦った第3戦から状態を上げた昨季の日本シリーズのように、パ・リーグ勢を圧倒する可能性はあります」
対照的に、開幕直後に比べて調子を落としているのがオリックスと巨人だ。
「オリックスはチーム打率こそリーグ1位とはいえ、さすがに状態が落ちてきました。Aクラスを死守できるか踏ん張りどころ。巨人は岡本和真の離脱を考えれば、よくやっています。守備が堅く、勝負強い泉口友汰らが台頭。8回の大勢、9回のライデル・マルティネスの投手リレーが盤石なのも大きいですね」
そんな中、「台風の目になるかもしれない球団」として、広島と西武を挙げる。
「広島は非常に守備力が高く、床田寛樹を中心に打たせて取る投球ができる投手が多い。西武は防御率1位を争う今井達也と隅田知一郎がとにかく圧倒的。どちらも今の〝投高打低〟に適したチームと言えます」
■いきなり実現する日本シリーズ前哨戦さて、交流戦の楽しみといえば、普段は見られない対戦が実現することだ。ファンとしても新たな選手の魅力を知る絶好の機会。今年の注目カード、注目対決は?
「優勝候補に挙げた阪神と日本ハムがいきなり激突します。新庄監督が古巣の阪神と戦う点も含めて注目。ここまでの戦いぶりを踏まえれば、『日本シリーズ前哨戦』と言っても過言ではありません」
両チーム共に先発ローテを再編しなければ、初戦は日本ハムが伊藤大海、阪神は才木浩人という好投手同士の投げ合いとなりそうだ。
「どちらが投げ勝つか、だけでなく、『伊藤vs森下翔太&佐藤輝明』『才木vsフランミル・レイエス&清宮幸太郎&野村佑希&万波中正』といった対戦も非常に楽しみ。ほかにも、日本ハムの中継ぎ左腕である河野竜生は今、12球団1位の空振り率を誇っているので、セ・リーグファンには注目してほしいです」
阪神と日本ハムの選手以外でお股ニキ氏が注目するのは、防御率0点台の好投を続ける西武の今井だ。
「本当は岡本との対決が見たかったですが......。それでも、今や無双状態の今井とセ・リーグの強打者たちがどう対峙するか楽しみです」
ちなみに、昨季は楽天が下馬評を覆して初優勝。一昨年も、それまで交流戦通算勝率最下位だったDeNAが初優勝を飾った。今年もその流れが続くのか? まだ優勝経験がないのは阪神、広島、中日、西武だ。
「オープン戦の優勝と同じで、ある程度の力がないと約3週間単位で勝てません。そこもまた交流戦の難しさです」
かといって、交流戦でピークを迎えてその後失速してしまい、肝心のペナントレースで勝てなくなっては本末転倒だ。実は過去、交流戦で優勝し、そのままリーグ優勝も日本一も成し遂げたケースは、05年のロッテ、11、15、17年のソフトバンク、12年の巨人の3球団だけだ。
「6月にピークが来てしまったら、10月に勝てなくなるのはある意味で当然のこと。それほど、ピークを維持することは難しいです」
振り返れば15年、リーグ戦首位で交流戦を迎えたDeNAが歴史的大失速を喫し、シーズンが終わってみればリーグ最下位に沈んだことがあった。ほかのセ・リーグ勢も軒並みパ・リーグ勢に歯が立たず、全球団貯金なしの〝セ界恐慌〟と揶揄された時代もあった。
あれから10年、何が変わったのか? そんな変化を楽しむ交流戦にもなりそうだ。
文/オグマナオト 写真/時事通信社
記事提供元:週プレNEWS
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。