「こいつとは回りたくない」と思われているかも⁉ 100点のゴルフをしようとする人ほど“キレやすい”という事実
松山英樹は、“怒り”がゴルフの状態を下げていた時期があったが、「怒るのをやめよう」と思ったことでマスターズ制覇につながったと語っている。アマチュアゴルファーにとっても、怒りの感情は大敵だ。スコアを乱すのはもちろん、雰囲気や人間関係の面でもマイナスの影響を及ぼす。だが「怒りの仕組みと基本的な対処法を知れば、イライラは鎮まります」と、アンガーマネジメントの第一人者である安藤俊介氏はいう。人はなぜ“怒り”を覚えるのか、その仕組みを聞いた。
怒りは、大切なものを守れなかったときに起きる感情です。ゴルフでは自分が思い描くショット、理想のボールを打つことができなかったときなどに怒りが湧き上がります。
ツアープロだって、「100点満点のショットは1日に1回あるかどうか」だといいます。それを聞くと、つくづくゴルフはミスのゲームだなと思います。100点のショットはプロでもそうは打てないのです。ただ、“満点”がない代わりに40点以下の“赤点”もないのがプロ。大半が60~80点のショットでも、それを前提に戦略を立てています。安定した技術で最初から60~80点のショットを思い描いて打っているから、理想と結果が大きく異なってイライラすることは稀なのでしょう。
一方、多くのアマチュアゴルファーの思い描く理想は、100点のショットです。理想が高い人ほどミスを許せず、怒りが強くなる傾向があります。
例えば、キャリーで220ヤード必要な池越え。過去に打ち下ろしで250ヤード飛ばした経験がある人は、満点の弾道を思い描いて狙いがちです。その結果池ポチャ、そもそも池に入れるのは必然なのに、「何でなんだ!」と怒りが湧いてくるのです。
多くの人は、怒りによって自暴自棄になってしまいます。ミスショットを連発したり、「お先にパット」を外したり……。集中力や粘り、前向きさを失ってプレーがいい加減になり、自分のスコアをさらに悪くしてしまうのです。怒りにとらわれていると物事は上手くいきません。そういう状態に陥らないようにするには、自分にできることと、できないことを分けて考えるのが基本です。
特に、後者を見極めることはゴルフのスコアアップに不可欠だと私は考えています。短いミドルで1オンを狙う、下り1ピンのバーディパットを狙うなどは、冷静になるまでもなく、成功率はゼロに近いのです。それなのにフワフワした気持ちでやってしまえばミスをして、イライラするだけです。
この線引きを上手に行うためには自分を知る必要があります。自己理解を深めることで怒りの爆発を踏みとどまることができ、怒りに振り回されなくなり、最終的にプラスへ転換できるようになります。
【怒りの爆発にメリットはない!】
■できないことをするのはチャレンジではなく無謀
自分には何ができていないか、何ができたときスコアが良くなるのか。自分のゴルフの現実と向き合い、分析することによって自己理解を深め、自分の課題を見極めることが大事。できないことをするのは無謀というもの。各番手の飛距離のキャリーを把握することは、言うまでもなく重要だ。
■攻撃性を露わにするのはマイナス面が多い
ミスに怒ってクラブを投げたりすると、一瞬でゴルフの流れや周囲の雰囲気が悪くなる。職場や家庭でもそうだが、その人が元来持っている攻撃性を出すことはマイナス面が多い。周囲に不快感を与えたり、自分の評価を下げ人間関係を破綻させたりするからだ。攻撃性を鎮めるには普段からメンタルを整えることが大事。
■乱暴な言葉遣いに要注意!
怒りを乱暴な言葉で、瞬間的に口にするのは要注意。丁寧な言葉でゆっくり話すと、余裕が生まれて気持ちが落ち着く。どういうときに怒りを感じ、態度に表したか、何をしたら落ち着いたか。プレー中の心の揺れをラウンド後に、言葉で書きとめたり人に話したりすることは有効だ。
■怒りは周囲に伝染する
怒りは同伴者を萎縮させ、楽しい雰囲気をぶち壊す。感情をコントロールできないと「2度と一緒に回りたくない人」に認定されるかもしれないので気をつけよう。特に立場が上の人(役職、性格、ゴルフの腕前)がイライラし始めると、怒りは下の人へ伝染する。会社でも家庭でも同じだ。
【解説】
安藤俊介
(一般社団法人日本アンガーマネジメント協会ファウンダー/新潟産業大学客員教授)
アンガーマネジメントの理論、技術をアメリカから導入した日本の第一人者。教育現場から企業まで幅広く講演、企業研修、セミナー、コーチングなどを行っている。『アンガーマネジメント入門』( 朝日新聞出版)、『アンガーマネジメントを始めよう』( 大和書房)など著書は累計約50冊にのぼる。1971年生まれ、群馬県出身。ゴルフは約3年前に再開し、JGAハンディキャップ7.6の腕前。
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