加藤浩次監督、得意の“キレ芸”のようなコメディー要素を盛り込んだ初のショートフィルムが配信開始<MIRRORLIAR FILMS>

加藤浩次監督作品「Victims」がLeminoで独占配信中
クリエーターの発掘・育成を目的に、映画製作のきっかけや魅力を届けるために生まれた短編映画製作プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS」のSeason7が5月16日から毎週金曜にLeminoで独占配信されている。第2弾として5月23日に配信されたのは、お笑い芸人としてだけでなくMC、俳優としても活躍する極楽とんぼ・加藤浩次の初監督作品「Victims」だ。(以下、ネタバレを含みます)
「誰でも映画を撮れる時代の幕が開く」を合言葉に2020年に発足した同プロジェクトは、年齢や性別、職業やジャンルに関係なく、メジャーとインディーズが融合した自由で新しい映画製作に挑戦している。
加藤が監督・脚本を務め、矢本悠馬、田辺桃子らが出演する「Victims」は、付き合いたてのカップルが路上駐車をしたことがきっかけにさまざまな騒動に巻き込まれていくコメディータッチの短編作品。
付き合いたての彼女がこわもての男に唇を奪われる
昴(矢本)といすゞ(田辺)が路駐した車の中でキスをしようとしていたところ、見知らぬ少年が窓の外からのぞき込んでいることに気付き、せっかくのいい雰囲気を台なしに。ムードが壊された昴はその場を離れようと縦列駐車していた車を発進させようとするも、前後の車とのスペースがほとんどなく、動けなくなってしまう。
それでもどうにか脱出しようと試みるうちに後ろの車にぶつかってしまったようで、こわもての男・日野(奥野瑛太)が怒鳴り込んでくる。
最初は一方的に攻められていた昴だが、距離をギリギリまで詰めて停めていた日野も悪いと反論し、昴が日野に胸ぐらをつかまれ、もみくちゃになった瞬間、バランスを崩した日野がいすゞに覆い被さるように倒れ、2人はキスをする形に。
嫌な光景を目の当たりにした昴は、日野への怒りよりもよけなかったいすゞへの怒りが強く、今後は2人が言い争う。さらに前に駐車していた車の運転手の女性(雛形あきこ)も“参戦”し、そもそも昴の車が発進できないような位置に停めたのはわざとだと打ち明ける。
それを聞いた昴は激高し、女性とも口論に。そこへしれっと止めに入った日野が女性とあわやキスを――というカオスな展開が繰り広げられた。
タイトルの「Victims」は“被害者”を意味する言葉だが、まさに「誰が被害者なのか」というシチュエーションがテンポよく描かれ、メガホンをとった加藤らしい“キレ芸”のようなコメディー要素がふんだんにちりばめられている。
主要キャストを演じる矢本、田辺、奥野といえば若き名パイプレーヤーとして連続ドラマに引っ張りだこであり、雛形も加藤監督とバラエティー番組で長年共演するなど、旧知の間柄。実力派俳優がそろったことで、コントのようなコミカルな物語を一つのショートフィルムとして成立させている。

「Victims」
「人にやさしく」や「ブラックペアン」シリーズなど俳優としても活躍
加藤といえば、本業の芸人としての仕事だけでなくさまざまな番組でMC役を担う他、役者としても活動中。“月9”ドラマ「人にやさしく」(2002年、フジテレビ系)では、「3ピース」と名付けた一戸建てに同居する前(香取慎吾)、太朗(松岡充)と共に、小学生の明(須賀健太)を預かることになる青年・拳を熱演した。
加藤の熱のこもったリアルな演技は、時代を超えても支持されており、劇中で見せた真っすぐな姿が今も多くの人の心をつかんでいる。その後も「汚れた舌」(2005年、TBS系)、「ブラックペアン」(2018年ほか、TBS系)シリーズなどの連続ドラマや映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(2014年ほか)シリーズでのロケット役(日本語吹替)、最近では映画「室井慎次 敗れざる者/生き続ける者」(2024年)に出演するなど、役者としてのキャリアも着々と積み、芸人、MC、俳優とさまざまなフィールドで才能を発揮している。
「MIRRORLIAR FILMS Season7」の舞台あいさつでは、脚本の執筆段階で全作約15分という上映時間を「全く意識しないで書いてしまった(笑)」と打ち明けていたが、完成した作品を見た限りでは無理矢理編集した感もなく、しっかり一つのショートフィルムとして成立させており、そのあたりは長年秒単位で瞬発的な反応を求められる生放送のMCを務めてきた加藤ならではの時間感覚のなせる業かもしれない。今後もクリエーター・加藤浩次の作る作品に触れてみたい。

加藤シゲアキ監督作「SUNA」
なお、Leminoではそんな加藤浩次監督作品「Victims」と加藤シゲアキ監督作品「SUNA」が既に独占配信開始中。
ほか、地下壕に閉じ込められた二人の父親の濃密な会話劇「ウエディング」が5月30日(金)から、悪行まみれの小説家と靴屋の男の出会いを描いたミステリー「KUTSUYA」が6月6日(金)から、舞台やミュージカルを中心に役者としても活動する香月彩里が初監督した「ヒューマンエラー」が6月13日(金)から順次配信される。
【制作・編集:WEBザテレビジョン編集部】

「Victims」

香月彩里監督作「ヒューマンエラー」

坂本ショーン監督作「ウエディング」

武田成史監督作「KUTSUYA」
記事提供元:Lemino ニュース
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。