「ゴルフには波がある」3年前の苦境を越えてメジャーV 西郷真央が語る成長の実感
西郷真央がメジャー今季初戦「シェブロン選手権」を制した。ツアー初優勝をメジャーで飾るという快挙。凱旋帰国で到着した6日、成田空港で取材に応じ、ここまでの軌跡を改めて、本人が振り返った。
山下美夢有、笹生優花と同じ“新世紀世代”のひとりで、日本ツアー初優勝は2022年「ダイキンオーキッドレディス」。前年はトップ10入り21回、2位が7回のシルバーコレクターが、ついに優勝カップを掲げた。そこから10戦5戦の快進撃など、成績を残してきたが、同シーズンの終盤にはドライバーの不振に苦しんだ。
メルセデス・ランキング2位につけながら、最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」ではトータル35オーバーで最下位。大会後は「正直、ティショットに恐怖がある。リセットして、ゼロから積み上げる気持ちでやりたい」と話し、オフは「死ぬ気で練習した」。そして翌年11月「伊藤園レディス」で“復活優勝”。12月にはQシリーズ(米最終予選会)に挑戦し、米ツアーへの道を自ら切り開いた。
「自分ではスランプって言ったことないし、思ったことはないので、あまりそういう言葉は使いたくない。ゴルフには絶対、波がある。それをどれだけ冷静に分析して、乗り越えるか。これからまた辛いことがあるかもしれないけれど、変わらず、自分のやることを信じて続けるだけかなと思います」
米ツアーではルーキーイヤーから活躍した。2位は2度。未勝利ながらポイントランキングは9位に入った。そして2年目のシーズン。シェブロンでは首位に立って最終日最終組に入り、72ホール目のバーディでプレーオフに滑り込み。“五つ巴”のサドンデスを1ホール目で決着をつけた。「きょうを逃してたら、次にまたチャンスが来ても、取りこぼしていた可能性もあった。勝つ経験をすることによって、今後の自分の自信にもつながる。勝ち切れてよかったです」と、優勝直後は喜びをこう表現した。
自身の成長を、「言語化は難しいけれど…」と前置きしながら、こう語る。「経験を積んだことによって“自分がどうしたらどうなる”っていうパターンが見えてきた。昨年はコースチェックしたいし、かなり練習をしたせいで、4日間体力が持たないこともあった。(いまは)効率よく練習ラウンドして、ある程度、体力を温存させて試合に挑めている。時間の使い方が一番変わったと思う」
プロアマにも出場するようになり、練習日のラウンドの仕方も変化。2年目ともなれば、1年目のコース情報も持っているから、コースチェックの優先順位も変わってくる。月曜日はもっぱら移動日になるのだが、その日はトレーニングデーでもあり、体のメンテナンスは欠かさない。シェブロン前週の「JMイーグルLA選手権」は西海岸で、ヒューストンまでは2時間の時差を伴う移動だったが、夜発早朝着の便で現地入りして、体を動かした。
今回、急きょ決意したという一時帰国も、「自分の体が壊れる前に、しっかり休養が必要かなと思った」ということによるもの。常に自身の体と相談し、それを大事にしている。
「まさか初優勝をメジャーで、とは本当に思っていなかった。自分でも驚いた気持ちはもちろんあるけれど、頑張ってきてよかった。すごく思い出に残る優勝だったので、こういう経験ができてすごくうれしい」
3週間のオフの後、5月29日開幕の「全米女子オープン」(米ウィスコンシン州エリンヒルズGC)で再渡米する。この期間中はリフレッシュをメーンに、ギアの調整をしていく予定。「自分の状態がいい位置になるように、いいパフォーマンスができるように、充実した時間を過ごしたい」。時間の使い方、そして自身の体と相談しながら、メジャー連勝に向けて入念な準備を進めていく。(文・笠井あかり)
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