エドワード・ヤン「ヤンヤン 夏の想い出」が四半世紀を経て4Kレストア版でカンヌに帰還
名匠エドワード・ヤン監督の“最後の完成作”である「ヤンヤン 夏の想い出」(2000)が、4Kレストア版で復活。2025年のカンヌ国際映画祭カンヌクラシック部門でオープニング上映され、日本でも初公開される。
2000年のカンヌ国際映画祭で監督賞に輝き、米〈ハリウッド・リポーター〉の“批評家が選ぶ21世紀の映画”で第1位になるなど時と場所を超えて支持されてきた「ヤンヤン 夏の想い出」。公開時にエドワード・ヤンは次のように語っている。
「人生で起きるいくつかのことは、数学の1+2と同じくらいとても簡単である。私は1980年にフランスのリベラシオン紙が、カンヌ特集の付録として世界中の映画監督たちに問うた『あなたは、なぜ映画を撮るのですか?』というシンプルな質問を思い出す。私の答えも、その質問と同じくらいシンプルだった──『多くを語らなくてすむから』。映画監督が語る最高の言葉とは、映画の表面ではなく、内側に存在するもののはずだ。この映画は、人生における1+2と同じくらいにとてもシンプルである。私は観客に、まるでただの友だちと一緒にいたかのような気分を味わってほしい。もし観客が“一人の映画監督”に出会ったような印象を持って映画を見終わったとしたら、私はこの映画は失敗作だったと思う」
エドワード・ヤンの集大成といえる名作を、深みを増した映像で改めて味わいたい。
Story
小学生のヤンヤンは、コンピュータ会社を経営する父NJや母、姉、祖母と台北の高級マンションで幸せに暮らしていた。ところが叔父の結婚式を境に、一家の歯車が狂い始める。祖母は脳卒中で入院し、NJは初恋の人とバッタリ再会して心を揺らし、母は新興宗教に走る。さらにNJは、行き詰まった会社を立て直すべく、天才ゲームデザイナーの太田と契約しようと日本へ旅立つが……。
「ヤンヤン 夏の想い出」
監督・脚本:エドワード・ヤン
プロデューサー:河井真也、附田斉子
アソシエイト・プロデューサー:ユー・ウェイエン、久保田修
撮影:ヤン・ウェイハン
照明:リー・ロンユー
編集:チェン・ポーウェン
録音:ドゥ・ドゥーツ
美術・音楽:ペン・カイリー
出演:ウー・ニエンジェン、エレン・ジン、イッセー尾形、ジョナサン・チャン、ケリー・リー
2000年/台湾・日本合作/173分
配給:ポニーキャニオン
©1+2 Seisaku Iinkai
映画公式サイト:https://yi-yi.jp
カンヌ国際映画祭リリース:https://www.festival-cannes.com/en/press/press-releases/cannes-classics-2025/
記事提供元:キネマ旬報WEB
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。