<夫を嫌いになってしまったら…>まだ間に合う?夫婦カウンセラーに聞く関係修復のコツ
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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「結婚当初はあんなに好きだったのに、最近、夫への気持ちが冷めてきた…」そんな悩みを抱える人は、若い夫婦にも少なくありません。日々のすれ違いや不満の積み重ねが、やがて妻側に「夫のことが嫌いかも」と感じさせてしまうことも。
「テレ東プラス」は、夫婦関係カウンセリング「すまいる相談室」の代表カウンセラー・北村貴子さんに、若い夫婦と熟年夫婦それぞれが直面する問題について取材。前編となる今回は、若い夫婦に焦点を当て、気持ちが冷める原因や関係を見直す方法を探りました。
【動画】モラ夫・不倫夫・束縛夫がただならぬ展開に…
画像素材:PIXTA
――妻が夫を嫌いになってしまうきっかけには、どのようなものがありますか?
「夫婦関係の不満は、多くの場合、ちょっとしたコミュニケーションのズレから生まれます。夫に思いやりや共感が足りないと、妻の中でモヤモヤが積もり、やがて"嫌い"という感情に変わってしまうこともあります。
例えば、悩みを話しても全く聞いてくれない、お願い事をしても面倒くさがられる、話し合いをしようとしても避けられるなど、小さな不満が積み重なることで、一緒にいることが楽しく感じなくなり、最終的に我慢の限界に達することが多いです。
また、男女間の脳の違いも大きな要因となります。女性は共感を強く求める傾向があり、男性は結論を急ぎがちです。この認識のギャップが、コミュニケーションの障害になることがあります。
さらに、家事分担の問題もよく見受けられます。結婚当初は妻が家事を多く引き受けても納得していたものの、夫が家事を"自分事"として取り組まず、感謝も示さないと、次第に『なぜ私ばかり…』という気持ちが募ります。結局、思いやりや感謝の気持ちが伝わらないことが、不満の原因となってしまうことが多いのです」
――そういったズレや不満は、結婚してどのくらい経つと見えてくるものでしょうか。
「家事の分担や細かいルールを巡る衝突は、結婚して1年目からでも起こり得ます。深刻な問題として表面化するのは、妊娠中や出産後が多いです。それまでは仲が良く気にしなかったことが、子どもが生まれると一気に表面化するのです。出産後、愛情が急速に冷めて夫婦関係が悪化する現象は、いわゆる"産後クライシス"とも呼ばれ、特に若い夫婦に多く見られます。
"夫が育児に非協力的"という不満には、夫婦の温度差が大きく関係していることが多いです。夫が本当に何もしていない場合もあれば、頑張っているつもりでも、妻が期待するレベルには届いていないこともあります。さらに、夫が家事をしても妻にダメ出しされ、『もう余計なことはしないでおこう』と思ってしまうこともよくあります。
妻としては、『なんでこんなこともしてくれないの!?』と感じることもありますが、責め続けても状況は良くなりません。言い方を変えたり、"任せたことには口を出さない"と決めたり、少しずつ改善していく工夫も必要です」
――具体的に、どのような工夫が必要でしょうか。
「まずは、お互いのコミュニケーションの仕方を見直すことから始めていただきたいです。夫への不満が募ると、どうしても相手の性格や言動が悪いと思いがちで、相手にばかり変わってほしいと思ってしまいます。でも、実は相手も同じように不満を抱えている可能性もあるのです。
もちろん、心ない言葉や暴言など、相手に問題がある場合もありますが、まずは自分自身の伝え方や態度を見直すことが大切です。文句ばかりになっていないか、感謝やねぎらいの言葉が足りていないのではないか、そういった視点を持ってみてほしいです。
例えば、相手のできていないことばかりを指摘するのではなく、できていることや、やってもらって助かっていることをしっかり評価する。その上で、伝えたいことを伝える。そんな姿勢を見せることで、相手の反応も変わってきます。夫婦関係を修復するための第一歩は、自分自身を見直すことから始まります。
そして大切なのは、いきなりファイティングポーズを取らないこと。まずは『こうしてくれてありがたかった』とか、『これをしてもらえると助かるな』といった、前向きで具体的な伝え方をすることが重要です。例えば、『トイレットペーパーくらい替えてよ!』ではなく、『替えてくれたら嬉しいな』と、少し柔らかい言い方をするだけで伝わり方は変わります。
また、家事についても、『お風呂掃除、食器洗い、掃除機かけ、どれなら今できそう?』と選択肢を提示して、相手に"選ばせる"ことも効果的です。こうすることで、やらされている感覚ではなく、相手に主体性を持たせることができます」
画像素材:PIXTA
――話し合おうと思っても、夫がなかなか向き合ってくれない場合、どうすればいいのでしょうか。
「夫が話し合いに応じない背景にはさまざまな理由がありますが、中でも多いのが"タイミングの悪さ"です。例えば、仕事で疲れていて気持ちに余裕がない時に話し合いを持ちかけられると、それだけで拒否反応が出てしまいます。また、『妻が感情的になるから、話し合いを避けてしまう』といった声も夫側からよく聞きます。
一方で妻側は、"仲良くしている時に、わざわざその空気を壊してまで話したくない"と、トラブルが起きた時にしか話し合おうとしないことも多いです。しかし、トラブルの最中はお互いに苛立っていますし、女性が感情的になった瞬間、男性は心を閉ざしてしまうことが多いので、ケンカの最中ではなく、お互いが冷静なタイミングを狙うことが大切です」
――自分の気持ちを相手に直接言うのが苦手で、不満がたまるとついLINEで長文を送ってしまいます。
「それも有効な方法のひとつです。文章にすることで自分の感情を整理できますし、まず相手に聞いてもらうという目的にはいい手段です。口頭だと感情が入りすぎて、きつくなったり、うまく伝わらなかったりすることもありますが、テキストなら内容を見直してから送れますし、最後まで自分の思いを伝えやすいです。
夫側も、『また長いLINEが来た…』なんてぼやきながらも、意外とちゃんと読んでくれる人が多いです。ただ、毎回長文だと読む側が疲れてしまうので、頻度やボリュームには気をつけた方がいいですね」
――「これを大事にすると夫婦関係が良くなる」というポイントはありますか?
「どんなに忙しくても、夫婦で会話する時間を作ることが大切です。特に子育て中や共働きで忙しい夫婦ほど、会話が事務的になってしまい、気持ちのやり取りがなくなっていることが多いです。会話をしなくなると、すれ違いや誤解、不満がどんどん溜まっていくので、修復したいと考えている場合には、まずは10分でもいいから会話する時間を作ることをおすすめしています。
お子さんがいる家庭では、子どもが寝た後のほんの短い時間でも構いません。それだけでも、関係は大きく変わってくると思います」

【北村貴子 プロフィール】
「すまいる相談室」代表カウンセラー。夫婦問題・離婚カウンセラー、メンタルケア心理士(メンタルケア学術学会所属・LCM091742)。プラットフォーム型カウンセリングの登録カウンセラーとして離婚相談やDV・モラハラ問題に長年従事し、2019年に独立。現在は横浜市を拠点に、国内外から幅広く相談を受けている。夫婦問題・離婚カウンセリング歴10年以上。精神医療の研究にも取り組んでいる。
「テレ東プラス」は、夫婦関係カウンセリング「すまいる相談室」の代表カウンセラー・北村貴子さんに、若い夫婦と熟年夫婦それぞれが直面する問題について取材。前編となる今回は、若い夫婦に焦点を当て、気持ちが冷める原因や関係を見直す方法を探りました。
【動画】モラ夫・不倫夫・束縛夫がただならぬ展開に…
「なんでこんなこともしてくれないの!?」夫への不満を解消する方法

――妻が夫を嫌いになってしまうきっかけには、どのようなものがありますか?
「夫婦関係の不満は、多くの場合、ちょっとしたコミュニケーションのズレから生まれます。夫に思いやりや共感が足りないと、妻の中でモヤモヤが積もり、やがて"嫌い"という感情に変わってしまうこともあります。
例えば、悩みを話しても全く聞いてくれない、お願い事をしても面倒くさがられる、話し合いをしようとしても避けられるなど、小さな不満が積み重なることで、一緒にいることが楽しく感じなくなり、最終的に我慢の限界に達することが多いです。
また、男女間の脳の違いも大きな要因となります。女性は共感を強く求める傾向があり、男性は結論を急ぎがちです。この認識のギャップが、コミュニケーションの障害になることがあります。
さらに、家事分担の問題もよく見受けられます。結婚当初は妻が家事を多く引き受けても納得していたものの、夫が家事を"自分事"として取り組まず、感謝も示さないと、次第に『なぜ私ばかり…』という気持ちが募ります。結局、思いやりや感謝の気持ちが伝わらないことが、不満の原因となってしまうことが多いのです」
――そういったズレや不満は、結婚してどのくらい経つと見えてくるものでしょうか。
「家事の分担や細かいルールを巡る衝突は、結婚して1年目からでも起こり得ます。深刻な問題として表面化するのは、妊娠中や出産後が多いです。それまでは仲が良く気にしなかったことが、子どもが生まれると一気に表面化するのです。出産後、愛情が急速に冷めて夫婦関係が悪化する現象は、いわゆる"産後クライシス"とも呼ばれ、特に若い夫婦に多く見られます。
"夫が育児に非協力的"という不満には、夫婦の温度差が大きく関係していることが多いです。夫が本当に何もしていない場合もあれば、頑張っているつもりでも、妻が期待するレベルには届いていないこともあります。さらに、夫が家事をしても妻にダメ出しされ、『もう余計なことはしないでおこう』と思ってしまうこともよくあります。
妻としては、『なんでこんなこともしてくれないの!?』と感じることもありますが、責め続けても状況は良くなりません。言い方を変えたり、"任せたことには口を出さない"と決めたり、少しずつ改善していく工夫も必要です」
――具体的に、どのような工夫が必要でしょうか。
「まずは、お互いのコミュニケーションの仕方を見直すことから始めていただきたいです。夫への不満が募ると、どうしても相手の性格や言動が悪いと思いがちで、相手にばかり変わってほしいと思ってしまいます。でも、実は相手も同じように不満を抱えている可能性もあるのです。
もちろん、心ない言葉や暴言など、相手に問題がある場合もありますが、まずは自分自身の伝え方や態度を見直すことが大切です。文句ばかりになっていないか、感謝やねぎらいの言葉が足りていないのではないか、そういった視点を持ってみてほしいです。
例えば、相手のできていないことばかりを指摘するのではなく、できていることや、やってもらって助かっていることをしっかり評価する。その上で、伝えたいことを伝える。そんな姿勢を見せることで、相手の反応も変わってきます。夫婦関係を修復するための第一歩は、自分自身を見直すことから始まります。
そして大切なのは、いきなりファイティングポーズを取らないこと。まずは『こうしてくれてありがたかった』とか、『これをしてもらえると助かるな』といった、前向きで具体的な伝え方をすることが重要です。例えば、『トイレットペーパーくらい替えてよ!』ではなく、『替えてくれたら嬉しいな』と、少し柔らかい言い方をするだけで伝わり方は変わります。
また、家事についても、『お風呂掃除、食器洗い、掃除機かけ、どれなら今できそう?』と選択肢を提示して、相手に"選ばせる"ことも効果的です。こうすることで、やらされている感覚ではなく、相手に主体性を持たせることができます」
夫が話し合いに応じない…それでも修復可能?

――話し合おうと思っても、夫がなかなか向き合ってくれない場合、どうすればいいのでしょうか。
「夫が話し合いに応じない背景にはさまざまな理由がありますが、中でも多いのが"タイミングの悪さ"です。例えば、仕事で疲れていて気持ちに余裕がない時に話し合いを持ちかけられると、それだけで拒否反応が出てしまいます。また、『妻が感情的になるから、話し合いを避けてしまう』といった声も夫側からよく聞きます。
一方で妻側は、"仲良くしている時に、わざわざその空気を壊してまで話したくない"と、トラブルが起きた時にしか話し合おうとしないことも多いです。しかし、トラブルの最中はお互いに苛立っていますし、女性が感情的になった瞬間、男性は心を閉ざしてしまうことが多いので、ケンカの最中ではなく、お互いが冷静なタイミングを狙うことが大切です」
――自分の気持ちを相手に直接言うのが苦手で、不満がたまるとついLINEで長文を送ってしまいます。
「それも有効な方法のひとつです。文章にすることで自分の感情を整理できますし、まず相手に聞いてもらうという目的にはいい手段です。口頭だと感情が入りすぎて、きつくなったり、うまく伝わらなかったりすることもありますが、テキストなら内容を見直してから送れますし、最後まで自分の思いを伝えやすいです。
夫側も、『また長いLINEが来た…』なんてぼやきながらも、意外とちゃんと読んでくれる人が多いです。ただ、毎回長文だと読む側が疲れてしまうので、頻度やボリュームには気をつけた方がいいですね」
――「これを大事にすると夫婦関係が良くなる」というポイントはありますか?
「どんなに忙しくても、夫婦で会話する時間を作ることが大切です。特に子育て中や共働きで忙しい夫婦ほど、会話が事務的になってしまい、気持ちのやり取りがなくなっていることが多いです。会話をしなくなると、すれ違いや誤解、不満がどんどん溜まっていくので、修復したいと考えている場合には、まずは10分でもいいから会話する時間を作ることをおすすめしています。
お子さんがいる家庭では、子どもが寝た後のほんの短い時間でも構いません。それだけでも、関係は大きく変わってくると思います」

【北村貴子 プロフィール】
「すまいる相談室」代表カウンセラー。夫婦問題・離婚カウンセラー、メンタルケア心理士(メンタルケア学術学会所属・LCM091742)。プラットフォーム型カウンセリングの登録カウンセラーとして離婚相談やDV・モラハラ問題に長年従事し、2019年に独立。現在は横浜市を拠点に、国内外から幅広く相談を受けている。夫婦問題・離婚カウンセリング歴10年以上。精神医療の研究にも取り組んでいる。
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