ヤクルトの希望の星! ルーキー左腕・荘司宏太投手のすごさ【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第164回
ヤクルトのルーキー左腕、荘司宏太について語った山本キャスター
ペナントレースは始まったばかりですが、我がヤクルトは今年も苦戦が続いています。仄暗い水の底から虎視眈々と上位を狙っているものの、不幸なことに主力にケガ人が続出し、おなじみの"ヤ戦病院"の様相を呈すのでは......。
しかし、暗い気持ちになりそうな私たちファンのもとに、ひと筋の光明が差しています。それが、荘司宏太投手です。
昨年のドラフト3位でセガサミーから入団した1年目の左腕ですが、デビューから10戦連続無失点と、球団新人記録を更新していることをご存知でしょうか?(4月30日時点)
オープン戦からどんどん調子を上げ、現在では新人ながら8回を任されて"勝利の方程式"の一端を担うまでになりました。先日の試合後には「毎回打者との対決を楽しんでいる」というコメントを残すなど、もう期待しかありません。
荘司投手の武器はチェンジアップです。切れ味鋭い直球は140キロ台の中盤から後半なのに対し、チェンジアップは120キロ前後。球速差が20キロ以上というのは、プロ野球でチェンジアップを得意とする投手の中でも高い数値だそうです。
まったく同じ腕の振りから20キロも速さが違う球が来るとあって、打者は完全にタイミングをズラされ、尻もちをついてしまうことも。奪三振率も高く、まさに"魔球"ですね。
ストライクを先行させてカウントを有利にしたい時や、決め球としても使えるチェンジアップの割合は、投球のなかで3割以上を占めます。投球スタイルも支配的で、"三振をいくつ奪えるか"というゲームをやっているように感じる時もありますね。
先日はついに回またぎを経験するなど大車輪の活躍。いい意味で新人らしさがなく、マウンドさばきも堂々していて、さらなる活躍に期待が高まるばかりです。
我がヤクルトは満身創痍ながら、4月は勝率5割!まだまだここから!
中継ぎの投手はいつ出番があるかわからず、常に出番のために待機してなくてはいけません。前に五十嵐亮太さんが言っていたのですが、現役時代には中継ぎや抑えを長く経験されたことで、急に出番を告げられることに体が慣れてしまったとか。一方で、前の日から登板が決まっていると、緊張して調子が上がらないこともあったそうです。
荘司投手も疲労の蓄積が心配ではありますが、くれぐれも無理せず、1年を通して活躍してほしいものです。
ちなみに、社会人時代の荘司投手に可能性を見出し、球団に上位指名を決意させたのは、丸山泰嗣スカウトです。丸山スカウトは、高校時代に甲子園出場経験がなかった長岡秀樹選手に惚れ込み、獲得につなげた方。長岡選手は昨年に最多安打のタイトルを獲得しましたが、その慧眼(けいがん)ぶりがご理解いただけるのではないでしょうか。
以前、丸山スカウトに長岡選手に注目した理由を聞いたことがあるのですが、「守備でゴロを捕球する時に、グラブの正面が見えている時間が長い」ことが決め手になったそうです。それが安定したキャッチングにつながるということなのでしょうが、長岡選手の安定した守備をそのように表現されることに驚いたものです。
昨年のドラフト後、丸山スカウトは荘司投手に対して「直球と決め球のチェンジアップはプロでも通用する、空振りを取れる球。リリーフとして勝ちゲームの7、8、9回を任される投手になってほしい」とコメントしています。現在。その狙い通りに活躍していますね。
荘司投手の快投に合わせて、チームも上位を狙ってほしいですね。まだまだ5月。ペナントレースはこれからです!
それでは、また来週。
構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作
記事提供元:週プレNEWS
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