「太陽を浴びるのは健康にいい」は古い考え! シミ・シワや免疫力の低下を引き起こす“光老化”はウェアで防ぐ
いよいよゴルフシーズンも本番。楽しみな一方、日焼けが気になる季節でもある。「紫外線によるトラブルといえば、シミやシワを思い浮かべる方が多いと思いますが、それだけではありません。免疫力の低下や慢性的な疲労感、さらには皮膚がんを引き起こすリスクもあるのです」と警告するのは、銀座医院の八十川要平先生。健康的にゴルフを楽しむためには、太陽光から身を守るための知識と対策が必要不可欠だ。ポイントを教えてもらった。
■太陽光を浴びるほどリスクが高まる“光老化”とは?
昭和生まれの世代は、「太陽を浴びるのは健康にいい」といわれて育ってきた。しかし、オゾン層の破壊が問題視されるようになってからは、その常識も大きく変わっている。
「骨や歯を強くするビタミンDは、太陽光を浴びることで体内で生成されます。1日に15~30分程度の日光浴は必要ですが、それ以上浴びれば“光老化”を避けられません。光老化とは、太陽光によって皮膚の細胞がダメージを受ける現象で、シミやシワ、たるみ、皮膚の硬化などを引き起こします」
光老化の中でも特に避けたいのは、皮膚がんだ。
「皮膚がんは、紫外線によって皮膚の細胞が傷つくことで起こります。紫外線を浴びたからといって、すぐに発症するわけではなく、傷ついた細胞は体の修復機能によってある程度回復されます。しかし、浴びる紫外線の量や強さが増すほど、皮膚がんのリスクも比例して高くなります。紫外線対策をせずにゴルフを続けていれば、皮膚がんのリスクが高まるのは明らかです」
近ごろは、紫外線だけでなく、近赤外線も光老化を起こすと問題視されている。ここで簡単に、太陽光の種類についてマスターしておこう。
太陽光線はその波長の長さから、「紫外線」「可視光線」「赤外線」の3つに分類される。
・紫外線(UV)
目には見えないが、非常に強いエネルギーを持つ光。波長が短い順にUV−C、UV−B、UV−Aに分かれる。波長が短いUV−Cはオゾン層で吸収され地表には届かない。皮膚に影響するのは、UV−BとUV−A。UV−Bは表皮の細胞にダメージを与え、シミやそばかすの原因に。UV−Aは皮膚の奥の真皮層まで届き、シワやたるみの原因になる。
目で見ることができる光。紫外線と同様、皮膚の奥まで届きシミの原因になる。パソコンやスマホのブルーライトも可視光線で、長時間見続けると白内障など目のトラブルを引き起こす。ゴルフの際は、紫外線だけでなく、ブルーライトもカットする機能がついたサングラスを選びたい。ちなみに、これらの機能がなく、なおかつ色が濃いサングラスは、瞳孔を広げて目に太陽光線が入りやすくなるので、目の健康を損なう恐れがある。
目には見えないが熱として感じられる光。波長が短いほうから、近赤外線、中赤外線、遠赤外線に分けられる。紫外線よりもエネルギーが低いため注視されてこなかったが、ジリジリと肌を焼く熱によって皮膚にダメージを与えたり、紫外線よりもさらに奥深くに浸透し、たるみの原因になることが分かってきた。
太陽光の中でも皮膚への悪影響が大きいのはUV−A 、UV−B、近赤外線だ。日焼け止めを選ぶときは紫外線はもちろん、近赤外線カットの機能もついているものを選びたい。
「露出している腕や足には日焼け止めを塗る人が多い一方、ウェアで覆われている部分は見落とされがちです。しかし、太陽光は衣類を通過して皮膚に届くため、油断は禁物。長時間屋外にいるラウンドでは、ウェアで隠れている部分も日焼け対策が必要です。紫外線と近赤外線をカットする機能のあるシャツを選び、露出している腕には日焼け止めをしっかり塗る、あるいはそうした機能を備えたアンダーウェアを着用するのも効果的です」
ウェアの色選びも、日焼け予防に役立つという。
「黒っぽいウェアだと、光を吸収します。私自身、猛暑日に黒いウェアでプレーして、やけどに近いような炎症を起こしてしまいました。太陽光を反射する、白っぽい色を選んでください。近赤外線やUV−Aは、5月には年間のピーク近くまで上昇します。しかも皮膚は冬の間、洋服で覆われていたため、ダメージを受けやすい状態です。一年のうちでも5月こそ、最も紫外線&近赤外線対策が必要といっても過言ではありません」
紫外線&近赤外線を跳ね返すウェアを味方につけ、夏も思いっきりゴルフを楽しもう!
【お話をうかがったのは】八十川要平先生
やそがわ・ようへい/銀座医院院長。日本医師会認定健康スポーツ医。北里大学医学部卒業後、北里大学北里研究所メディカルセンター病院院長、日本赤十字社神奈川県支部産業医などを経て、2021年より現職。予防医学や産業医としての活動を積極的に行っている。
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<ゴルフ情報ALBA Net>
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