57歳・谷口徹が“最後のクラウンズ”で3年ぶりの好発進 一時は単独首位に「居心地悪かったですよ(笑)」
<中日クラウンズ 初日◇1日◇名古屋ゴルフ倶楽部 和合コース(愛知県)◇6557ヤード・パー70>
午後組のインから出たプロ34年目、57歳の谷口徹は、2ホール目の11番(パー4)で93ヤードの2打目が手前3メートルから転がって入りイーグル。16番(パー4)ではバーディを奪って折り返すと、後半の2番(パー5)でもバーディ。一時は単独首位に立ち、会場をザワつかせた。
「居心地、悪かったですよ」
通算20勝で2度(2002、07年)の賞金王を獲得したかつての常勝者。2018年の「日本プロゴルフ選手権」では50歳92日で大会最年長優勝を遂げている。しかし、19年には1997年から続けた賞金シードを喪失。2000年以降は「日本プロ」の5年シードで出場を続けたがシード復活は遠く、昨季は13試合に出場して予選通過は2回のみ。獲得賞金は56万8000円で賞金ランキング154位に終わった。今季は「生涯獲得賞金ランキング上位25位以内」の資格を行使して出場している。
久しぶりのリーダーボードの最上位。「4(アンダー)になった時点では、ちょっと守らなきゃいけない。落としたくない気持ちが“あれ?”って」。かつての定位置を楽しむ余裕はなかった。
難攻不落と言われる和合コース。風も吹いて難しさも重なり、直後の3番、4番で連続ボギー。5番(パー4)はティショットを右に曲げて、グリーンを狙うには木がスタイミーになる。木の左からフェードでグリーンに近づけようとしたショットは、目の前の木に当たって、左サイドのラフへ。そこから4打を要してダブルボギー。3ホールで貯金を吐き出した。
「貯金がなくなったら、またフラットになって。またゼロから頑張ろうって」。居心地の悪さがなくなった6番(パー4)は、残り70ヤードの2打目をピンの右6メートルに乗せると、バーディパットをねじ込んで“赤字”に戻す。
上がり3ホールもバンカーにつかまろうが、10メートル以上のバーディパットが残ろうが、下りの大きく曲がるバーディパットが残ろうが、きっちりパーに収めて「69」でホールアウト。首位と2打差の6位タイ。22年の「アジアパシフィックダイヤモンドカップ」以来となるトップ10で滑り出した。
「1日ぐらいだったら誰でもいいスコアで回れるから。4日間終わってみないと、いいゴルフをしたとはいえないんで」。1日の好スコアには手放しで喜ばないが、4日間戦う準備はしている。今年はトレーニングメニューを増やし、「朝はちゃんとアップしていきますよ。意外とまじめなんで(笑)」とトレーナーの施術が終わってから、自身でもしっかりとアップをする。「今年は体のコンディションもよく、ショットの調子はいいんです」とうなずく。
今年2月で57歳になった谷口は、ジャンボ尾崎が持つ55歳241日のツアー最年長優勝記録更新もかかる。「(最年長優勝?)そんなこと、よく考えますね(笑)。今はいいゴルフを続けていきたい。内容も確かに大事ですけど、数字を出していかないといけないので」。まだ4分の1を終えたばかり。今から意気込むことはない。
ただ、今年シード権を取れなければ、来年以降のツアーに出場するためには予選会に出場しなければならない。「(シード権のことは)いま考えてもしかたないです。自分がいいゴルフをしないと。たぶん最後のクラウンズかなと思って…毎試合(最後と思って)やっているので(笑)」。“終活”的な思いもあるが、まだまだ“いいゴルフ”をするつもりだ。(文・小高拓)
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