日本人史上初のウェルター級世界王座奪取なるか。「歴史を変えるために生まれてきた」佐々木尽が6月19日のタイトルマッチに挑む【Lemino BOXING】

東洋太平洋&WBOアジアパシフィック・ウェルター級王者の佐々木尽(八王子中屋)が6月19日、東京・大田区総合体育館「NTTドコモ presents Lemino BOXING」でWBOウェルター級王者、ブライアン・ノーマンJr.(アメリカ)に挑戦する。佐々木は25日、横浜市内のホテルで記者会見し、試合への意気込みを語った。
超攻撃的ボクシングでKOの山を築き、WBO2位までランキングを上げてきた23歳がついに世界挑戦のチャンスをつかんだ。
「日本の歴史を変えるために生まれてきた佐々木尽です」。
会見の冒頭、佐々木が満を持して口にしたセリフにこの試合の意味が込められていた。1952年に白井義男が日本人初のボクシング世界王者となって以降、70年余りの間に100人以上の日本人世界王者が生まれてきた。ただし、ミドル級以下で唯一、日本人がタイトルを獲得できないでいるのがウェルター級なのだ。
そもそも世界のスーパースターがしのぎを削るこの階級で世界に挑戦できた日本人はこれまでにわずか5人しかいない。直近では2009年10月にウクライナでWBA王座に挑んだ佐々木基樹が最後で、日本国内での挑戦となると尾崎富士雄がWBA王座にチャレンジした1989年12月まで36年も遡る。「歴史を変える」は決して大げさな表現でないことが分かるだろう。
そんな大一番が決まり、記者会見をする佐々木の興奮ぶりもなかなかのものだった。緊張のあまり手が震えていると明かした「歴史を変える男」は晴れの舞台に向け、存分に佐々木節を炸裂させた。
「ノーマン選手はスピード、パワー、技術、すべてそろっている選手で本当に強い。人間を辞めているのかと思いました。名前がノーマンだけに……(笑)。今回は宇宙人対決ということで日本代表として絶対に勝ちたい」
「人生で二番目に幸せ。一番は母のお腹から生まれるときで、気合が入っていた」
「仕事とか学校とか本当に忙しいと思いますけど、サボってでも仮病を使ってでも大田区総合体育館に試合を見に来てほしい。それだけの価値があります」
その発言を引用すると、ただのお調子者と思うかもしれないが、佐々木はデビュー以来、持ち前の強打と圧倒的なパフォーマンスでファンを魅了してきた。ここ数年は世界を見据えてウェルター級の選手層が薄い日本を離れ、アメリカで合宿を重ねて実力を磨いた。特に会見直前まで実施していた1カ月間のラスベガス合宿では、スパーリングパートナーからノーマンの情報まで得られたようで、「すごくためになった」と大きな手ごたえを感じた。
「尽の話を聞いていて涙が出てきた」というこちらも熱血漢、名伯楽の中屋廣隆トレーナーは「1ラウンドから行かせる」と真っ向勝負を宣言。佐々木は「KOしか考えていない。自然と面白い試合になると思う」と好ファイトを約束し、日本人初のウェルター級世界王者誕生に並々ならぬ意欲を見せた。
文=渋谷淳
写真=Lemino/SECOND CAREER/NAOKI FUKUDA
NTTドコモ presents Lemino BOXING
WBO世界ウェルター級タイトルマッチ
ブライアン・ノーマンjr. × 佐々木 尽
・対戦カード
【ファイナル】
WBO世界ウエルター級 タイトルマッチ 12R
WBOウエルター級 チャンピオン
ブライアン・ノーマン jr.(アメリカ)
28戦27勝(21KO)1無効
VS
WBO世界ウエルター級 2位
佐々木 尽(八王子中屋)
21戦19勝(17KO)1敗1分
【セミファイナル】
OPBF東洋太平洋ウエルター級王座決定戦 12R
OPBF東洋太平洋ウェルター級8位
田中 空 (大橋)
3戦3勝3KO
VS
OPBF東洋太平洋ウェルター級4位
小畑 武尊(ダッシュ東保)
22戦14勝(6KO)7敗(3KO)1分
【第5試合】
IBF世界ライトフライ級 王座決定戦 12R
IBF世界ライトフライ級 1位
クリスチャン・アラネタ(フィリピン)
27戦25勝(20KO)2敗
VS
IBF世界ライトフライ級 2位
タノンサック・シムシー(タイ)
39戦38勝(34KO)1敗
【第4試合】
日本フェザー級 王座決定戦 10R
日本フェザー級 1位
大久 祐哉(金子)
10戦8勝(5KO)2分
VS
日本フェザー級 2位
阿部 麗也(KG大和)
32戦26勝(10KO)4敗2分
【第3試合】
76.2kg契約 デビュー戦
アマ全日本王者・アジア大会銀メダリスト
東京オリンピック日本代表 韓国ミドル級チャンピオン
森脇 唯人(ワールド)
VS
ベク・ハソ(モンゴル)
4戦3勝(2KO)1敗
【第2試合】
フェザー級8Rアマ全日本王者
大橋 蓮(大橋)
3戦3勝3KO
VS
東洋スーパーバンタム級10位
ラン・コウコウ(中国)
22戦12勝(8KO)8敗2分
【第1試合】
東日本新人王予選 4R
山口 聖矢(大橋)
4戦3勝2KO1敗
VS
木内 凌祐(セレス)
7戦3勝2KO3敗1分
※戦績、データは2025年4月28日現在。
【制作・編集:Blue Star Productions】
記事提供元:Lemino ニュース
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