Stranger × Gucchi’s Free School 共同企画 ハリウッド・ミュージカル映画の名匠ヴィンセント・ミネリ特集 開催決定
ミュージカル映画の黄金期を支え「若草の頃」「巴里のアメリカ人」「バンド・ワゴン」「恋の手ほどき」など数々の傑作を生み出したヴィンセント・ミネリの作品の中でも上映機会の少ないメロドラマ作品だけを厳選した上映がStrangerとGucchi’s Free Schoolの共同企画として6月27日(金)〜7月24日(木)にミニシアターStrangerにて開催が決定。ラインナップが発表された。
本特集では5作品が上映される。フランス文学の最高峰、フローベールの同名小説を映画化した「ボヴァリー夫人」。近年再評価が進むミネリの異色作「蜘蛛の巣」。社会に馴染めないものたちや何かを諦めたものたちの、行き場のない感情が凝縮された隠れた傑作「走り来る人々」。あらゆる対立をドラマティックに浮き彫りにした神話的悲劇「肉体の遺産」。ゴダールが1963年の映画ベスト10に選出した「明日になれば他人」。
上映スケジュールの詳細はStrangerの劇場公式サイトにて後日発表される。
上映作品
「ボヴァリー夫人」
Madame Bovary
1949年/114分/アメリカ/モノクロ
監督:ヴィンセント・ミネリ/原作:ギュスターヴ・フローベール/脚本:ロバート・アードリー/撮影:ロバート・プランク/音楽:ミクロス・ローザ
出演:ジェニファー・ジョーンズ、ヴァン・ヘフリン、ルイ・ジュールダン、アルフ・ケリン、グラディス・クーパー、ジェームズ・メイソン
幼い頃から優雅な生活や情熱的な恋に憧れていたエマは田舎町の医師と結婚するが、思い描いていた結婚生活とは程遠く平凡な毎日に嫌気がさしていた。ある時、舞踏会に招待されたことを機にエマの欲望は加速していく。フランス文学の最高峰、フローベールの同名小説を映画化した本作、不倫を重ね破滅へと向かうジェニファー・ジョーンズの美しさが際立つ。映画史に残る必見のダンスシーンは瞬きすら許さない。
「蜘蛛の巣」
The Cobweb
1955年/124分/アメリカ/カラー
監督:ヴィンセント・ミネリ/原作:ウィリアム・ギブスン/脚本:ジョン・パクストン/撮影: ジョージ・J・フォルシー/音楽:レナード・ローゼンマン
出演:リチャード・ウィドマーク、ローレン・バコール、シャルル・ボワイエ、グロリア・グレアム、リリアン・ギッシュ、ジョン・カー、スーザン・ストラスバーグ
ある精神病院で図書室のカーテンを新調することになり、院長は作業療法の一環として患者たちにそのデザインを任せることにした。しかし一方で院長の妻はカーテン作りのために高級な布を取り寄せ、また一方ではベテラン職員が安価な生地を注文していた。それぞれの些細な思惑は次第に大きな亀裂となり、やがて患者や職員、その家族に隠された無数の綻びを浮き彫りにする。近年再評価が進むミネリの異色作。
「走り来る人々」
Some Came Running
1958年/137分/アメリカ/カラー
監督:ヴィンセント・ミネリ/原作:ジェームズ・ジョーンズ/脚本:ジョン・パトリック、アーサー・シークマン/撮影:ウィリアム・H・ダニエルズ/音楽:エルマー・バーンスタイン
出演:フランク・シナトラ、ディーン・マーティン、シャーリー・マクレーン、マーサ・ハイヤー、アーサー・ケネディ、ナンシー・ゲイツ
十数年ぶりに故郷に戻ってきた退役軍人のデヴィッド。アルコール依存症の彼は小説も書いているが、しばらく執筆からは距離を置いていた。疎遠になっていた兄の紹介で教師のグエンと出会い惹かれていくが、グエンは彼を受け入れることができず……。社会に馴染めないものたち、何かを諦めたものたちの、行き場のない感情が凝縮された隠れた傑作。タイトルはマルコによる福音書10章の一節から取られている。
「肉体の遺産」
Home from the Hill
1960年/150分/アメリカ/カラー
監督:ヴィンセント・ミネリ/原作:ウィリアム・ハンフリー/脚本:ハリエット・フランク・Jr、アーヴィング・ラヴェッチ/撮影:ミルトン・R・クラスナー/音楽:ブロニスラウ・ケイパー
出演:ロバート・ミッチャム、エリノア・パーカー、ジョージ・ペパード、ジョージ・ハミルトン、ルアナ・パットン、エヴェレット・スローン、アン・セイモア
アメリカ南部、ウェード・ハニカットはその土地で最も有名な大地主で、狩の名手でもあった。女遊びも激しく妻との関係は冷え切っていたが、息子セロンに狩猟や男らしさを教えることで父親として尊敬の念を抱かれていた。しかしあることがきっかけでウェードの過去が明らかになり……。血と愛と憎しみが蠢き、親と子、男と女、混沌と秩序、あらゆる対立をドラマティックに浮き彫りにした神話的で壮大な悲劇。
「明日になれば他人」
Two Weeks in Another Town
1962年/107分/アメリカ/カラー
監督:ヴィンセント・ミネリ/原作:アーウィン・ショー/脚本:チャールズ・シュニー/撮影:ミルトン・R・クラスナー/音楽:デイヴィッド・ラクシン
出演:カーク・ダグラス、エドワード・G・ロビンソン、シド・チャリシー、ジョージ・ハミルトン、クレア・トレヴァー、ダリア・ラヴィ、ロザンナ・スキャフィーノ
落ちぶれた映画スターがかつて世話になった監督からローマに呼ばれチネチッタ撮影所へ行ってみると、そこで待っていたのはアフレコ演出の依頼だった。心機一転、映画を完成させるために奔走するのだが……。『悪人と美女』の後日譚とも言える内幕もので、ゴダールが1963年の映画ベスト10にも選出。感情過多な登場人物たち、そして常軌を逸したかのような車の暴走シーンは、異様なほどに見るものを圧倒する。
ヴィンセント・ミネリ特集「Hidden Things of Vincente Minnelli」
開催場所:Stranger(東京都墨田区菊川3-7-1 菊川会館ビル1階)
開催期間:2025年6月27日(金)〜7月24日(木)
上映作品:「ボヴァリー夫⼈」、「蜘蛛の巣」、「⾛り来る⼈々」、「⾁体の遺産」、「明⽇になれば他⼈」
劇場公式HP:https://stranger.jp/
※1⽇2作品、⽇替わり上映
記事提供元:キネマ旬報WEB
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。