家族経営のスーパーで大人気のタコ飯を学ぶ!初めてのタコ漁も体験:世界!ニッポン行きたい人応援団
今回は、アメリカ人の来日の様子をお送りします。
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鹿嶋市の名産“鹿島だこ”を堪能
紹介するのは、アメリカ在住の「タコ飯」を愛するエステバンさん。

ニッポンの食卓に欠かせないタコ。刺身をはじめ、煮物や唐揚げ、おでんなどの家庭料理はもちろん、福をもたらす縁起物としておせち料理やお祝い事でも使われてきました。
欧米では、その見た目から「デビルフィッシュ」と呼ばれ敬遠されていますが、ニッポンは世界有数のタコ消費国といわれており、約2000年前の弥生時代にはすでに食べられていたそう。
ニッポンのタコ料理に夢中だというエステバンさん。中でも愛してやまないのがタコ飯です。5年前、動画サイトで見つけたタコ飯を作り、その味に感動。コロナ禍で職を失っていたこともあり、ニッポンのタコ料理の店を開くことを目標に、独学で研究しています。
早速、タコ飯の作り方を見せてもらうことに。タコは、冷凍で丸ごと1匹購入。アメリカではタコを食べる習慣がなく、生で売っているお店が少ないそう。流水で解凍したら、生臭くならないように塩揉みし、吸盤のヌメリを落とします。
続いて鍋で湯を沸かし、足先から少しずつタコを入れます。一気に入れるとお湯の温度が下がり、茹で上がりが硬くなるのだとか。

5分ほど下茹でをして、あら熱をとったら一口大に。タコ飯のために買った日本製の炊飯器で、米と水、調味料、刻んだタコ、味に深みを出す昆布を入れて炊き上げ、出来上がり!
余ったタコは大根と合わせて煮物に。パパ自慢のタコ料理に、子どもたちも大満足!
現在は医療保険の営業として生計を立てているエステバンさん。「ニッポンでタコ飯を学びたい」という夢はあるものの、開店資金や2人の子どもの教育費もあり、経済的な余裕はありません。
そんなエステバンさんをニッポンにご招待! 念願のニッポンにやってきました。
向かったのは、茨城県鹿嶋市。茨城県はタコが名産。中でも鹿嶋市は北関東有数の水揚げを誇り、鹿島灘の荒波にもまれて育つマダコは古くから「鹿島だこ」の名で珍重されてきました。

鹿島灘漁港を訪れると、役場や漁協の皆さんが歓迎してくださいました。さらに、生の鹿島だこもお出迎え。生きているタコを初めて見たエステバンさんは「オーマイガッ!」とびっくり。
皆さんがぜひ食べてほしいと用意してくださったのは、人気店の名物「タコ飯」。エステバンさんは「これが本物のタコ飯なんですね」と大感動!
そして、タコ飯を届けてくださった「コミュニティーストア ミズノ」へ。創業55年、家族経営のスーパーマーケットです。
鹿島だこの美味しさを県外の人にも知ってもらいたいとお店で揃えるようになり、今では「鹿島だこといえばここ!」といわれるほど信頼されるお店に。
中でも人気なのが、名物のタコ飯。多い日には1日400パック売れるタコ飯の作り方を、今回特別に教えていただきます。
まずはタコの下処理。漁港で水揚げされた鹿島だこは、その日のうちに運び込まれます。内臓を取り除いたら、下処理専用の機械へ。塩を入れて回転させると、臭みのもとにもなるヌメリが取れてスベスベに。

続いて下茹で。旨味を引き出すため、秘伝のタレを入れたお湯で茹でます。この時、お湯が沸騰しないギリギリの温度に保つのがコツ。熱を加えすぎると身が硬くなり、独特の歯ごたえが台無しに。タコのサイズによっては2度茹で、3度茹でして調整することも。三代目の水野明善さんによると、茹で上がりのタイミングを見極めるのが職人の腕だそう。
続いて、お店のバックヤードにある調理場へ。切り盛りするのは、四代目・明宏さんの妻、千絵美さんです。
タコ飯に使うのは、つま先や胴体など歯ごたえのある部位。エステバンさんは一口大に切っていましたが、こちらでは細かくカット。ご飯と混ぜた時に味が染み込みやすく、炊き上がりもフワッとした食感に。
お米は、地元茨城県産のコシヒカリ。味付けは調味料に加え、タコの茹で汁も。タコの旨味が加わり味に深みが出るそう。そこに刻んだタコをたっぷりと混ぜ、45分ほど炊いていきます。
上に盛り付けるタコにもこだわりが。使うのは、タコの部位で最も柔らかいという足の根本部分。日本酒、みりん、砂糖などで軽く煮たら、アクセントに生姜を。余熱で味を染み込ませれば完成です。

炊き上がったタコ飯を味見させていただいたエステバンさんは、「炊きたては格別ですね」と感動を伝えました。
その後は水野さんのお宅で、鹿島だこを使ったたこ焼きパーティー! ニッポンのタコ料理を楽しんでもらいたいと、子どもたちが考えてくれたそう。水野家の皆さんとお揃いのエプロンで、たこ焼き作りを楽しみました。
翌朝5時。エステバンさんは鹿島灘漁港へ。「自分で獲ったタコの料理を食べてみたい」という夢を伝えたところ、タコ漁歴41年の大ベテラン、神成田一男さんと息子の龍一さんが協力してくださることに。
厳しい寒さの中を出港し、波に揺られること約1時間…漁のポイントへ。行われているのは、伝統的なタコ壺漁で、釣り針や網と違い、タコが傷つきにくいため高い品質で水揚げできるのだとか。エサを捕まえたら物陰に隠れて食べる習性を利用しているそうで、タコ壺の中にエサはなく、隠れやすいよう小石が入っています。
1つのポイントにつき、タコ壺は70個ほど。海底40メートル付近に仕掛けたタコ壺を引き上げると、中にタコが! 高濃度の塩水を吹き付けると、驚いて出てきます。これも、タコを傷つけずに取り出すための先人の知恵。
エステバンさんも挑戦し、「お前たちは僕に捕まるんだ!」と逃げるタコを2匹捕獲! タコを取り出したら、タコ壺はすぐさま海底に戻します。
しかしここで、慣れない船に酔ってしまったエステバンさん。体調を気遣い、港に戻ることに。神成田さんは「よく頑張ってくれました」と労いの言葉をかけてくださいました。
続いて向かったのは「クレもんやJ にゃーご」。クレープのように食べるもんじゃ焼き「クレもん」が話題のお店です。将来自分のお店で出すメニューの参考にと、勉強させていただくことに。
早速、作り方を見せていただきます。生地に鹿島だこをたっぷりと入れ、トッピングにも鹿島だこを。最後にタコの煮汁スープを加えたら、期間限定のクレもんタコスペシャルが完成。出来立てをいただき、エステバンさん「ふわふわの生地と弾力のあるタコが相性抜群で、煮汁がより一層タコの味を引き立てています」と、大絶賛!
その後、再び水野さんのお宅に向かうと、タコづくしのおもてなし料理が。エステバンさんのためにと、刺身や煮物などの全てに鹿島だこが使われていました。
「信じられないくらい美味しいです」とエステバンさん。実は、全てエステバンさんが乗った船で水揚げされたタコだと教えていただき「最高の思い出になりました」と感動!
さらに、水野家の子どもたちから、エステバンさんの子どもたちへのお土産にと、鹿島だこをモチーフにしたぬいぐるみとニッポンの駄菓子の詰め合わせも。「こんなにたくさん、本当にありがとう!」と感謝を伝えました。
そして、別れの時。水野家の皆さんとハグを交わし、別れを惜しむエステバンさん。
「情熱を持ってお仕事に打ち込んでいらっしゃる姿、そして笑顔あふれる優しさと温かさ、その全てが街で愛され続けるお店の所以だとわかりました。またぜひお会いできる日を楽しみにしています」と伝えます。
「また日本に来たら、ぜひ鹿嶋に寄ってください」と明善さん。鹿島だこの詰め合わせをプレゼントしていただきしました。
水野家の皆さん、本当にありがとうございました!
その後は、タコの名産地・相模湾に面した江の島で、名物のタコせんべいを。実は、アメリカでタコせんべいにも挑戦しているエステバンさん。「あさひ本店」で作り方を教えていただきました。
タコを通して様々な出会いがあったニッポン滞在。帰国を前にエステバンさんは、「お世話になった皆さんには感謝の言葉しかありません。ニッポンでの出会いは一生の宝物です。皆さんどうもありがとうございます」と語ってくれました。
エステバンさん、またの来日をお待ちしています!
月曜夜8時からは「世界!ニッポン行きたい人応援団SP」を放送!
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記事提供元:テレ東プラス
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