日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『ミステリアス・スキン』をレビュー!
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。製作から20年、ついに日本公開! 性加害を受けた少年たちの青春。* * *『ミステリアス・スキン』評点:★3点(5点満点)
©MMIV Mysterious Films, LLC
80年代から90年代くらいのハリウッド映画の「ルック」を見事になぞっていて驚かされるが、本作はそもそも2004年の映画で、普通に当時のカメラを使っているだけだったので何の不思議もなかった。
現在はデジタルによる色補正が当たり前になり、特定の時代の「ルック」を模した作品も多いため、まったく不必要なところでびっくりしてしまったのだ。
本作は子供時代に受けた性的なトラウマをめぐる物語で、主人公の青年2人はかつて同じ少年野球チームに所属していた仲。
そのコーチが小児性愛者で、スタープレイヤーの少年はよく分からないままコーチと性的な共犯関係に陥り、ポンコツプレイヤーだったもう1人は罠にかけられて性的に搾取される。
やがて前者は虚無感を湛えた男娼になり、後者は忌まわしい記憶を失い、「記憶がない時に自分はUFOにさらわれて宇宙人に生体実験されていたのだ」という妄想に取りつかれてしまう。
ハッとさせられるのは、前者にとってその「思い出」が「自分が承認されたこと」と直結した甘い記憶と化しているところで、それもまた悲惨なトラウマを乗り越えるための避難所でしかなかったという事実にやりきれない気分にさせられる。
STORY:野球のチームメイトである8歳のブライアンとニールは、チームのコーチの所業により人生を大きく狂わされる。10年後、精神的ショックから当時の記憶を失っていたブライアンは、記憶を取り戻すためにニールを探し始める
原作:スコット・ハイム
監督・脚本:グレッグ・アラキ
出演:ブラディ・コーベット、ジョセフ・ゴードン=レヴィットほか
上映時間:105分
全国公開中
記事提供元:週プレNEWS
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