初の男子ツアー出場「迷惑かけたくない」 菅沼菜々、必死の“早打ち”で快挙達成
<前澤杯 初日◇24日◇MZ GOLF CLUB(千葉県)◇6652ヤード・パー70>
片山晋呉、石川遼という国内男子ツアーの“顔”ともいえる選手とラウンドをともにしたのは、女子プロゴルファーの菅沼菜々。「テレビで見ている方々なので、めっちゃ緊張しました」と、ドキドキのラウンドをイーブンパーで終えた。
まるで3ツアー対抗戦を見ているかのような、新鮮な光景だった。スタートホールの1番は505ヤードのパー4。菅沼にとっては「物理的に無理」と語るように、パーオンが難しいホールだ。ティショットでは、女子ツアーでは見せないような少し慌てた様子でドライバーを一振り。片山と石川はやや右に曲げたが、菅沼だけがフェアウェイをしっかりと捉えた。セカンドショットではグリーンに届かず、約50ヤードを残す形に。3打目を寄せきれず、ボギーでのスタートとなった。
スタートホールから3人で会話を交わす場面もあり、和やかな雰囲気に見えたが、菅沼本人は「緊張して何の話をしたか忘れました」と、内心はそれどころではなかったようだ。
片山は歩くペースが速く、ティショットでも常に数十ヤード先行。「迷惑をかけないように」と、菅沼は懸命にその背中を追った。
そんな緊張感の中、気持ちが先走り、パターのルーティンも普段よりどこか早め。それを尋ねると、「やっぱり早かったですよね」と本人も自覚していた。しかし、意外にもその“急ぎ気味”のリズムがハマったという。「なんかいいリズムで打てたので、これくらいのスピードで、ルーティンも早くていいのかなと思いました」と、思わぬ収穫は口にした。
実は以前、父から「構えてから長い」とアドバイスを受けていたという。今回、早いリズムの効果が結果に表れただけに、今後の女子ツアーでも“早打ち”スタイルの菅沼が見られるかもしれない。
また、片山と石川の技術にも感銘を受けたようだ。「晋呉さんはルーティンを大事にされていて、立ち振る舞いが素晴らしい。すごく上手なので見入っちゃいました。遼さんもアプローチがすごく上手くて、ガン見しました」。そんな二人のプレーを間近で体感し、目を輝かせた。
初めての男子ツアー出場。飛距離では不利な状況ながらも、2バーディ・2ボギーのイーブンパーは、女子選手としてはツアー史上初の快挙だった。これまでの女子選手によるツアー最少スコアは、2005年「カシオワールドオープン」初日にミシェル・ウィー(米国)が記録した1オーバーだった。
その記録を塗り替えたものの、本人は取材で知らされるまで気づかず、「えっ、そうなんですか」と目を丸くした。「ショットもパットも良くなってきた」と語るように、確かな手応えをつかんだ初日。「楽しみながらも、迷惑をかけないように」しながら、残り3日間も全力で駆け抜ける。(文・齊藤啓介)
<ゴルフ情報ALBA Net>
記事提供元:ゴルフ情報ALBA Net
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。