【独占】「ビッグモーター」その後 密着1年半…再建への苦闘:ガイアの夜明け
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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4月4日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは「独占!ビッグモーター その後」。
保険金を水増しして不正に請求していただけでなく、除草剤をまいて街路樹を枯らすなど、数々の不祥事が発覚した「ビッグモーター」。赤字が続き、経営危機に陥った会社を買収し、再建に名乗りをあげたのが、大手商社の「伊藤忠商事」だ。果たして伊藤忠は、不正を起こした企業の体質を変えることができるのか…。再建に奔走する商社マンの苦闘に密着した。
【動画】独占「ビッグモーター」その後 密着1年半…再建への苦闘
買収に踏み切った伊藤忠商事…企業風土改革の舞台裏に密着!

「幹部には、目標達成に必要な部下の生殺与奪権を与える――」(ビッグモーター経営計画書)。ワンマン体質と行き過ぎた成果主義が組織をむしばんでいたビッグモーター。不正発覚後、中古車の販売はピーク時から80パーセント以上も減少し、赤字が続いて存続の危機に。
そこで再建に名乗りを挙げたのが、大手商社「伊藤忠商事」だ。
2024年5月、ビッグモーターは伊藤忠の下で再生を始め、社名も新たに「WECARS(ウィーカーズ)」に変えた。

2024年6月、ビッグモーターが買収されてから1カ月。伊藤忠から送り込まれたウィーカーズ・田中慎二郎社長(62)は、全店舗の視察を始めた。
埼玉・熊谷市にある店舗は、全国でもトップクラスの営業成績を誇っていたが、店内はガラガラで、社名が変わっても看板はビッグモーターのまま。

かつて店内にある販売実績ボードには、行き過ぎた成果主義の象徴があった。
ビッグモーター時代、従業員の名前の隣に“販売戦力992”“買取戦力496”など、社員の能力を数値化して貼り出していたのだ。「戦闘力の話を聞いて『ゲームじゃないんだから』と思った」(田中社長)。
約6000人いたビッグモーターの社員の3分の1が辞め、今は約4000人に。
「今まで絶対と思っていたものが、絶対じゃなかった。戦争が終わった人ってこういう気持ちなのかな。今まで『こうしろ』と言われていて、それが良しとされていたことが、そうじゃない。何を信じればいいのか」と、従業員は話す。
7月。全国の店舗で、看板の掛け替え工事が始まった。その頃、ウィーカーズの田中社長は、「伊藤忠商事 東京本社」(東京・港区)に呼び出されていた。田中さんでさえめったに入ったことがないという部屋には、グループを束ねる「伊藤忠商事」岡藤正広会長(75)の姿が。

岡藤会長は「業績を急ぐことはない。業界トップのシェアを持っているわけだから、いかにお客様の信頼を回復するか。会社が信頼を回復するのではなくて、今の社員一人一人が、自分が対峙しているお客様に対して信頼を回復する。そういう風にしていかなあかん」と、田中さんに発破をかける。
そもそもビッグモーターは、ピーク時には約250店舗、売上高約6000億円を稼ぎ出していた。それを2024年5月、伊藤忠商事などが約400億円で買収した。
伊藤忠は、グループ内に輸入車販売大手「ヤナセ」をはじめ、タイヤの会社など、自動車関連の企業を抱えている。総合力を再建に生かすだけでなく、その後のグループの成長へつなげる狙いもある。
ウィーカーズの本社(東京・千代田区)で開かれた幹部が一堂に集まる会議に、ガイアのカメラが入った。出席したのは伊藤忠出身者ばかりで、ビッグモーターの旧経営陣は誰一人いない。新会社発足から2カ月、全国の店舗を視察した結果をもとに、今後の方針が話し合われた。

ビッグモーター時代は、幹部と社員の間でパワハラが常態化しており、ミスが発覚した際も、社員はその報告を上にあげられない状態だったという。

「ウィーカーズ」経営企画部長の合六 渉さん(50)は今回の買収のキーマンの一人。伊藤忠社内で稟議書を書き、ビッグモーターの買収を推進した人物で、当時ビッグモーターの実権を握っていた兼重宏行、宏一親子とも対面し、決断を迫った。
合六さんは「全国250の店舗網、店のロケーションは抜群。何の躊躇もなかった。整備だけじゃなく、車両も扱っているからいろいろなことができる」と話す。

7月下旬。合六さんは、ビッグモーター時代から現場を支えてきた店長などを集め、懇親会を開いた。会社の外で、社員たちの本音を聞きたかったのだ。
「クレームが発生したら、本当にその日は寝られない。“明日なんて言おう、いつ言おう”と…」(店長)。
兼重宏一副社長(当時)の取り巻きで権力を握っていた幹部や、保険金を水増し請求するため、修理する車にゴルフボールをぶつけていた者、街路樹の伐採を指示したとされる者など、問題のあった社員はすでに会社を去っていた。
不正を起こさない組織をどう作り上げていくのか…。合六さんが真っ先に手を付けたのは、不正の温床となった板金、塗装部門だ。かつてそこには厳しいノルマがあり、事故車両1台当たりの修理に14万円前後の目標が課されていた。

合六さんは整備士たちに「必要な修理を必要なだけやるというのがこの仕事」と伝え、作業前や作業の合間、写真を撮影することを義務付けた。現場は手間が増えるが、撮った写真は修理の記録とともに損害保険会社へ送付。水増し請求ができない体制を目指す。
さらに、依頼してくれたお客さんを整備工場内に入れ、自らの目で整備カ所を確かめてもらうことに。“納得してもらうこと”を大切にしたのだ。
合六さんはこうした“守り”だけでなく、自動車保険に関する“攻めの一手”も打っていた…。
“水没車”を買わされた客が起こした訴訟の行方

新体制で歩み始めたウィーカーズ。しかし、60代のAさんは、その店舗を複雑な気持ちで見つめていた。
「ふざけているよなと思う。被害者の私にとっては、ビッグモーターだろうがウィーカーズだろうが同じ。ただ表面を塗り替えただけでメッキと一緒」。

Aさんは、2022年に乗っていたアウディの修理をビッグモーターに依頼。すると営業マンから「廃車にするしかない」と説得され、1万円で下取りに。しかしそのアウディが、後日18万5000円で転売されていたことが分かった。
Aさんは、代わりに勧められた赤い軽自動車を103万円で購入。だがこの車は、後に水没車の疑いが浮上する。
不当な契約だと感じたAさんは、一昨年、対応した従業員とビッグモーターを相手に裁判を起こしたが、いまだ解決の糸口は見えていない。

実はビッグモーターは、伊藤忠などによる買収の際、事業を引き継ぐウィーカーズと、債務の返済や相次ぐ訴訟に対応する「BALM(バーム)」という会社に2分割された。その際、伊藤忠側から迫られ、兼重親子も私財を処分して100億円を拠出している。
話を聞くため、ガイアがバームを訪ねると、そこは都内のレンタルオフィスで人の気配がない。何度も取材を申し込んだが、応じてもらえなかった。そこで兼重元社長に連絡をし、留守番電話にメッセージを残すが、こちらも返事はなかった。
そんな中、Aさんが弁護士から告げられたのは、バームが民事再生法の適用を申請したという事実。分割の際、バームは300億円の現預金を保有していたが、債務の総額が最大800億円になるため、適用を申請したという。被害者への弁済は進めるとしているが、Aさんには何の連絡も来ていない。
「逃げる形でやっている。ひたすら逃げ切る。びた一文賠償したくないという感じで、本当におかしい」(Aさん)。
ガイアはウィーカーズとして再建を進める合六さんに、こんな質問をぶつけてみた。
「『ビッグモーター=ウィーカーズ』と思っている人はいる。そういう人たちにどう向き合っていくのか」。


そして合六さんは、ある大きな決断を迫られていた。話し合う相手はウィーカーズの人事部門の人たちで、議題は給与体系。ビッグモーターの躍進を支えていた一因が高収入だったことは間違いなく、強すぎる成果主義にメスを入れようとしていた。
「全員残ってくれるといいけど、これじゃあ嫌だと言ったらしょうがない。割り切っていくしかない」(合六さん)。
ウィーカーズの発足から11カ月たった2025年3月。「ウィーカーズ 宇都宮南店」では、ガラガラだった店舗に客の姿がちらほらと見受けられた。
この日、入社6年の営業マン・鈴木友康さんは、1台契約が取れた。さらに、娘の車を買いに来た家族を相手に、2台目の契約も成立。

ビッグモーター時代と今…鈴木さんにその変化を聞くと、「年収でいうと、300万円ぐらい変わったので痛い。1000万円いくのが、結構厳しくなった。それでもやっぱり、ウィーカーズの方がいい。追われるものがないし、仕事もストレスなくできる。圧倒的に今の方が働きやすい環境になった」と話す。
しかし、そんなウィーカーズでトラブルが発生。一体、何が?
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記事提供元:テレ東プラス
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