軍服姿でオーガスタ女子アマの招待状… 23歳レイチェル・ヘックの驚くべき“三刀流”の経歴【カメラマン南しずかの米ツアー小話】
畑岡奈紗、古江彩佳、渋野日向子らに加え、2025年は過去最多となる日本勢13人が出場する米国女子ツアー。その動向にも注目だが、試合以外や海外勢のこぼれ話まで伝えるのはなかなか難しい部分も…。そこでツアーを長年取材しているカメラマン・南しずか氏が気になるネタをピックアップ。これを見れば“米女子ツアー通”になれるかも!?
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アメリカ空軍の制服に身を包んだ女性が、「オーガスタナショナル女子アマチュア」の招待状を片手に、ニッコリ微笑む……。23歳のレイチェル・ヘックが自身のインスタグラムにアップした写真は“ビジュ強め”だ。
ヘックは世界有数のアマチュアゴルファーのひとり。当時15歳だった2017年に「全米女子オープン」に出場し、21年には自己最高となる世界アマチュアランキング2位まで上り詰めた。昨年までタイガー・ウッズやミシェル・ウィーら世界屈指のゴルファーを輩出した米スタンフォード大学のゴルフ部に所属し、在学中にはNCAA個人選手権、チーム選手権で優勝するなど輝かしい戦歴を持つ。
期待の若手ゴルファーだったが、プロの道を選ばなかった。昨年6月に卒業すると、アメリカ空軍のキャリアを築き始めた。どういう過程で今に至ったのか。3月中旬に語ってくれた。
「高校のときにケガをして、ゴルフができなくなった時期があった。それまでケガをしたことがなくて、『自分からゴルフを取ったら、何も残らないんじゃないか』と怖くなり、精神的に苦しんだ。そこで、“ゴルフありきの自分”を変えたいと思い、スタンフォード大学に入学してから、4年間のROTC(予備役将校訓練課程)も受講し始めてみたの」
それまで、国防や軍務に興味はなかったという。「きっかけは、ゴルフは個人スポーツだから、大きなチームの一員になってみたいと思ったこと。ROTCを経て士官学校に通っている友達からいろいろと話は聞いていたから、興味が湧いた。両親や友達からは『急にどうしたの?』とビックリされたけれど(笑)」。
大学に通い、ハイレベルのゴルフ部で活動し、ROTCでも学ぶという、二刀流どころか“三刀流”の忙しい大学時代を過ごした。ゴルフの結果はすでに記述したが、ROTCも無事に終了し、少尉の階級を得たというので、その頑張りはすごいとしか言いようがない。
そんなヘックに、オーガスタ女子アマの招待状が届いた。今年で4度目の出場になる。「まさか選ばれるとは思ってなかったのでビックリ」と率直な思いを話した。たとえ、ゴルフが最優先事項でなくなったとはいえ、現在の世界アマランキングは26位。実力者であることには変わりない。
「オーガスタは、ゴルフに関わる全ての人々にとって神聖な場所。子供の頃からマスターズをテレビで見ていたし、まさか、オーガスタで自分がプレーできる日が来るとは。数年前まで女性がプレーする機会はなかったし。テレビで見るより、実際にプレーしてみるとコースのすごさが分かる。だからこそ、またプレーする機会があるのはすごくうれしいし、特別なこと」
3月中旬まで空軍の国防情報学校の10週間プログラムを経て、米ジョージア州のオーガスタナショナルGCへ。4月2日に開幕を控え、ヘックはもちろん、様々な想いを胸に秘めた世界の女子アマチュア72人が、最高峰の舞台に集まる。(取材・文/南しずか)
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