【カーナビは不要?】『ディスプレイオーディオ』と『カーナビ』は何が違うのか
新車を買う場合、国産車の基本は「オーディオレス」。つまりオプションをつけなければ、本来カーナビを設置する部分は空洞となったまま納車されます。
とはいえ純正のカーナビの設置にためらいを感じる方は多いはず。高価である点やマップ更新が有料である点がカーナビの欠点として挙げられます。加えて自宅にテレビがない場合、カーナビを設置しているだけでNHK受信料の徴収対象になることも無視できません。
そこで『ディスプレイオーディオ』がカーナビに代わる選択肢として、注目を集めつつあります。今回はディスプレイオーディオとカーナビの違いを解説します。結論から言えば、Googleマップに代表されるマップアプリのナビ精度に不満がない方であれば、すでにカーナビは不要で買い替え対象になり得るのかもしれません。
ディスプレイオーディオがあれば「カーナビ」はもう不要か?
スマホのナビゲーションアプリの性能が向上し、ディスプレイオーディオが普及した現代において、『カーナビ』はもう不要なのでしょうか?
結論から言うと、状況によって異なります。まずはディスプレイオーディオとカーナビ、それぞれのメリットを画像にまとめてみました。

ディスプレイオーディオのメリット・デメリット

スマートフォン連携を前提とした『ディスプレイオーディオ』によるナビゲーションは、Apple CarPlayやAndroid Autoを介して、GoogleマップやYahoo!カーナビなどの使い慣れたアプリを利用できるため、ユーザーインターフェースに慣れている人にとっては使いやすいです。また地図更新が不要で常に最新の情報を利用できます。
一方、スマートフォンは通信環境に依存するため、電波が弱い地域やトンネル内ではナビゲーションが機能しない可能性があります。
カーナビのメリット・デメリット

カーナビは内蔵GPSチップとオフライン地図データを搭載しているため、通信環境に左右されずにナビゲーションを利用できます。また、車両センサーとの連携が可能で、安全運転支援機能を利用できる点も大きなメリットです。「スタンドアロン」で動作するナビを求める方にとっては、ディスプレイオーディオが普及した2025年現在でもカーナビは唯一無二の製品です。
一方でカーナビは初期投資が高く、地図更新にコストがかかるため「購入」「ランニングコスト」がどちらも費用面で高いのがデメリットと言えるでしょう。たとえば筆者は4年ほど前に車を購入した際、約25万円程度の純正カーナビをオプションで購入しました。理由は4年前の時点で筆者が使用していたスマホはバッテリー消費が激しく、スマホをカーナビ代わりにした際の「充電切れ」などが懸念されたためです。
そして4年が経過した現在、筆者はむしろカーナビの「ランニングコスト」を重荷に感じ始めています。スマホを買い替えたことでバッテリー消費の懸念がなくなり、なおかつ車内でスマホを充電可能な環境も整えました。ちなみに車内で聴く音楽もBluetoothを使ってスマホから流しています。
一方で道路はどんどん新しくなっており、地図更新の必要性を感じている状況です。すでに新しい道路では「カーナビ」ではなく「Googleマップ」を頼りにする機会が増えてきました。そのため少なくとも筆者の体感としては「カーナビは不要」とまでは感じないものの、「ディスプレイオーディオ」の方が便利かもしれないと思うことはあります。
ディスプレイオーディオとカーナビはそもそも何が違うの?
もっとも『ディスプレイオーディオ』と『カーナビ』はそもそも何が違うのか、実はよく知らない方もいるのでは?
ディスプレイオーディオとカーナビの主な違いは、まとめると以下の通りです。
端的に言うとスタンドアロンで動作する『統合型車載システム』なのか、スマホ連携を前提とした『拡張型メディアユニット』なのかという違いがあります。

このようにディスプレイオーディオとカーナビは、車載情報システムとして異なる設計思想と機能体系を持っています。具体的に見ていきましょう。
ナビゲーションシステムの違い

まずカーナビは内蔵GPSチップ・衛星測位システム(GPS/みちびき)を搭載し、オフライン地図データを内蔵しています。これにより、信号受信安定性が高く、トンネルや山間部でも位置補正が可能です。

一方でディスプレイオーディオはスマートフォンのGPSに依存し、Apple CarPlay/ Android Auto経由でGoogleマップやYahoo!カーナビを表示可能。各アプリの自動更新の恩恵が受けられるため、カーナビでしばしば生じる「有料の地図更新」は不要ですが、ナビゲーション性能が通信環境に左右されるというデメリットがあります。
スタンドアロンで安定的に動作するナビを求めるならば、カーナビの方が安定性が高いです。
ハードウェア設計の違い
カーナビはスタンドアロンで動作することが前提の製品であるため、ナビ処理用の演算チップと車両センサー(速度・方向)との連携機能を内蔵しています。そのためナビそのものもオフライン動作が可能です。
これに対して、ディスプレイオーディオはオーディオ再生や表示機能に強みを持つ一方で、処理性能そのものはスマートフォンに依存し、ナビは原則としてオフライン動作が不可です。加えて車両情報との連携は限定的です。
ソフトウェア更新の違い
カーナビはメーカー提供の地図更新(※主に有償)が必要で、ソフトウェアバージョン管理が厳密です。一方で、ディスプレイオーディオはスマホアプリの自動更新に依存します。代わりにメーカー提供の地図更新(有償)が不要となり、ランニングコストの面で優位性があります。
エンターテインメント機能の違い
カーナビはCD/DVD再生への対応機種が多く、光学ディスクの再生に強みがある製品が非常に多いです。一方で、ディスプレイオーディオは動画配信アプリ(YouTube/Netflix)のミラーリングに対応している機種が多いです。光学ディスクの再生への対応は「機種による」状況です。
『ディスプレイオーディオ』『カーナビ』はどちらを選ぶべき?選択の基準
カーナビかディスプレイオーディオのどちらかを選ぶ際の基準をご紹介します。
カーナビが適する場合
カーナビは、電波が届かない場所でも正確な位置情報を取得できるため、山間部や地方での利用に適しています。また、レーンキープ警報や衝突回避など、安全運転をサポートする機能が充実しているため、特に長距離運転や悪天候時の運転時、ドライバーの負担を軽減し、安全性を高めてくれます。
初期投資費用やランニングコストはかかりますが、長距離移動が多い方や安全性を重視する方にはおすすめです。
ディスプレイオーディオが適する場合
ディスプレイオーディオは、スマホの通信機能を利用するため、主に都市部・通信環境良好な地域での利用に適しています。カーナビに比べて安価な製品も多いため、初期費用を抑えたい方におすすめです。
スマホと連携することを前提にしているため、アプリの選択肢や柔軟性が高く、音楽・動画配信サービスなどを車内で楽しむことができます。
まとめ
ディスプレイオーディオとカーナビの選択は、ナビ機能の必要性と予算のバランスで決まります。スマホを日常的に活用する方にはディスプレイオーディオが、安定性と統合性を求める方にはカーナビが適しています。2025年現在、ディスプレイオーディオの進化はかなり進化しており、通信環境の改善により従来の弱点も解消されつつあります。自分のライフスタイルに合わせて選ぶとよいでしょう。
※サムネイル画像(Image:Shutterstock.com)
記事提供元:スマホライフPLUS
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