岸井ゆきの×宮沢氷魚。凸凹な結婚生活を天野千尋監督が描く「佐藤さんと佐藤さん」
真逆なタイプの〈佐藤さん〉同士が交際・結婚を経て出産。見えてきた夫婦のカタチとは──。岸井ゆきのと宮沢氷魚を主演に迎え、「ミセス・ノイズィ」の天野千尋監督がオリジナル脚本で紡いだ凸凹なマリッジストーリー「佐藤さんと佐藤さん」が、今秋に全国公開される。
明るいアウトドア派の佐藤サチ(22)と、真面目なインドア派の佐藤タモツ(23)。対照的な二人だが、なぜか気が合い同棲を始める。そして5年後、弁護士を目指すタモツは、司法試験に落ち続けていた。会社勤めをしていたサチは、タモツを応援しようと一緒に勉強し始めるが、なんと彼女が試験に受かってしまう。サチは申し訳なく思い、タモツはプライドがズタズタ。そうした中、サチの妊娠が発覚し、二人は結婚することに。
産後すぐに弁護士として多忙な日々を送り出したサチに対し、塾講師のアルバイトをしながら家で息子の世話をするタモツ。その合間を縫って続ける勉強は、まったく捗らない。やがてサチが息子の支度を忘れたり、家でだらしなく過ごす姿を見て、タモツのイライラが募る。育児への考え方も異なる夫婦は、絶妙に保っていたバランスを崩していくが……。
「はっこう」で注目された熊谷まどかが脚本で参加。映画は第49回香港国際映画祭〈Fantastic Beats部門〉への出品が決定した。結婚しても離婚しても苗字は変わらない二人だが、夫婦関係は変わっていく。それにどう順応するのか、できないのか、見届けたい。
〈コメント〉
監督・脚本:天野千尋
本作で描かれる15年間で、ふたりの佐藤さんはゆっくりと変化していきます。子供から大人になり、社会に出て、それぞれの立場で役割を担っていく。ひとりは弁護士に、ひとりは主夫に。立場が違うと、眺める世界もちょっとずつズレてくる。そのうち相手の目にいったい何が映っているのかわからなくなる。理解できないと怒ったり、憎んだり、切り捨てたりする。佐藤さんに限らず、これは社会の中で生きる私たち誰もが経験することです。
「他者」をどう理解するか、どう折り合いをつけていくかを、私たちはずっと考え続けなければならないと思っています。
岸井ゆきの
どうして分かり合いたい人とこそすれ違い、分かち合いたいことも、ほんとは楽しいはずの会話も、余計なひと言や不要な思いやりによって手のひらからすり抜けていくのだろう。
私には夫婦の“普通”が分からないけど、家族というのはあまりにも普遍的で、それぞれがあまりにも特別なのだと思う。
佐藤さんと佐藤さんの激しくて楽しくて切なくて嬉しい数年間の記録が、どこかであなたの人生と重なりますように。
そして、見逃しそうな幸せをどうか見逃しませんように!
宮沢氷魚
初めて脚本を拝読した時からニ人の佐藤さんの関係がどこかシュールで、でもリアリティに満ち溢れていて引き込まれました。
岸井さんとは初めての共演でしたがとてもチャーミングな方で、撮影初日からお互い心を開いて、タモツとサチをしっかりと演じられたと思います。
天野さんはとても柔軟な方で、スタッフや役者と意見を交換しながら撮影を進められたので、共に作り上げた感覚がとても強いです。
夫婦であっても、苗字が同じでも、やはり他人同士。そんな二人の歩む人生をぜひご覧頂ければと思います。
「佐藤さんと佐藤さん」
監督:天野千尋
脚本:熊谷まどか、天野千尋
出演:岸井ゆきの、宮沢氷魚
製作幹事:メ~テレ、murmur、ポニーキャニオン
制作プロダクション:ダブ
配給:ポニーキャニオン
©2025「佐藤さんと佐藤さん」製作委員会
記事提供元:キネマ旬報WEB
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。