スマホのダークモードは目に優しい「省エネ」というのは本当なのか?
スマホの背景表示を黒色にする「ダークモード」。「白い背景よりも見やすい」「表示が目に優しそう」という理由で、ダークモードの人気は拡大傾向にある。この記事をお読みの方の中にも、手元の端末をダークモードに設定している人が多いのでは?

とはいえ「目に優しい」「省エネ効果がある」と言われがちな『ダークモード』の効果は本当なのでしょうか?
この記事では、ダークモードの仕組みや効果について具体的に解説します。
ダークモードが目に優しいとされる理由
ダークモードは、画面の背景を暗い色(黒や濃いグレー)にし、テキストやアイコンを明るい色で表示する仕組みです。画面全体の輝度が低くなり、特に暗い環境での使用時に目への負担が軽減されます。そんな『ダークモード』が目に優しいとされる理由は、以下の通りです。

・画面の輝度を抑える:暗い背景により、画面全体の輝度が低くなり、目の負担が軽減される
・コントラストが高くなる:テキストやアイコンが明るい色で表示されるため、背景とのコントラストが高くなり、文字やグラフィックが見やすくなる
・グレア(まぶしさ)の軽減:暗い背景は光の反射やまぶしさを軽減する
またブルーライトを軽減する効果も大きいです。画面全体が暗くなるため、ブルーライトの放出量が減少し、目の疲れの軽減が期待できます。また暗い環境では、画面と周囲の明るさの差が小さくなるため、目の調節負担が軽減されます。
科学的根拠の不足
もっとも現状、ダークモードが目に優しいという科学的根拠は十分ではありません。特に明るい環境では、逆に暗い画面のほうが目に負担をかける可能性があります。また「ダークモードによって目の負担が減ることを示す研究もない」という指摘もあります。
つまり多くのユーザーが主観的に「ダークモードにしたら目の疲れが軽減された」と感じているのが現状でもあります。そのため、あくまでダークモードは目に優しい「かもしれない」モードと言えるでしょう。
ダークモードの省エネ効果
ダークモードは「目に優しいかどうか」は議論が分かれる点です。一方で確実性が高い効果には「省エネ効果」が挙げられます。
具体的にはOLEDディスプレイ(有機EL)の場合、ダークモードでの表示は省エネ効果が期待されます。ダークモードの省エネ効果は、ディスプレイの種類によって異なります。

OLEDディスプレイ(有機EL)の場合
黒いピクセルがオフになるため、バッテリー消費を節約できます。特に画面の明るさを100%に設定している場合、電力消費量の軽減率は39〜47%になるという研究結果があります。
LCDディスプレイの場合
バックライトが画面全体を照らして表示を行うため、白でも黒でも消費電力はほぼ同じです。したがって、LCDディスプレイを搭載したスマホでは、ダークモードの省エネ効果はほとんど期待できません。
まとめ
しばしば「目に優しく、省エネにもなる」として万能な表示方法のように語られるダークモードですが、実際の効果は使用環境やデバイスの種類によって大きく異なります。
たとえば、暗い環境ではダークモードが目に優しいと感じるユーザーが多い一方、明るい環境ではかえって目に負担をかける可能性があります。
また、本稿で解説したように、OLEDディスプレイ(有機EL)を搭載したスマホではダークモードの省エネ効果が顕著である一方、LCDディスプレイではほとんど効果がありません。
結局のところ、ダークモードを使用するかどうかは、個人の好みや使用環境、デバイスの種類に応じて判断するのが良いでしょう。「必ずしも万能な表示方法ではない」と言えます。
※サムネイル画像(Image:Aleksey H / Shutterstock.com)
記事提供元:スマホライフPLUS
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