ダボ→今季初イーグルは「怒りで切り替えた」 渋野日向子は病み上がりの“ナイスカムバック”
<ホンダLPGAタイランド 2日目◇21日◇サイアムCC オールドC(タイ)◇6632ヤード・パー72>
雲が空を覆って少し涼しくなったコースを、しっかりとした足取りで進んだ。第1ラウンドはおう吐を伴う体調不良により3オーバーと苦しんだ渋野日向子だが、2日目はそんなうっぷんを晴らすような一日に。「67」をたたき出し、トータル2アンダー・38位タイまで浮上した。
体に異変を感じたのは一昨日の夜。「なんか気持ちわりいなって、リバースしました。オエーッって」。食あたりのような症状に苦しみ、眠れず、そのまま初日の朝を迎えた。「回れるかこれ?」というのが、この時の正直な気持ち。暑さも敵になるなか、体にムチ打ち、なんとかプレーを終えることはできた。
2日目も完治には至らず、「まだマシです」という程度。昨夜はうどんを少しだけ食べただけで、朝もお粥、バナナ、ヨーグルトと消化のいいものにとどめた。持っていた薬を服用し、とにかく安静に。「何かしら疲れていたのかな~と周りも心配してくれた。暑さと、疲れもあったんじゃない?みたいに」。この2日間で固形物はほとんど摂れないなかでみせた、まさに“ナイスカムバック”だった。
ゴルフのほうも決して万全とは言えない。内容については本人も、「ショットは良くなかった。距離も思ってるよりも飛んでなかったし、なかなか力が入りづらい」と振り返る。フェアウェイキープ率は57.1%(8/14)。パット数は「27」でまとめたが、なによりも「昨日よりはまだ体調が良かったので、集中はしやすかった」という部分でフォローした。
この日、最初にスコアが動いたのは、前半13番のダブルボギーだった。だが、直後にバーディを奪うと、ティが前に出され257ヤードに設定されたパー4の15番では、グリーン手前15ヤードからの2打目がチップインして今季初イーグルを記録。「もう、すごいムカついたんで。怒りで切り替えられたのかな」と、冗談めかして笑う元気は戻ってきた。
「あそこは前にもイーグルを獲ったホールだったし、すごくうれしかったですね」。まさにこれが良薬になったかのように、後半も4つ伸ばした。「歩くスピードも昨日の倍ぐらい速かったし、疲労度もまったく違う。治ってきているなと実感しています」。なによりも、そんな実感が一番の安心になったはずだ。
「いい状態で試合に臨みたかった。(初日は)すごくもったいない一日だなと思いながらも、全力で回ったつもり。悔しい部分もたくさんあって、きょうはその分を取り返そうと思ってスタートした。なんとかアンダーまで持ってこれたし、残り2日、どれだけ自分が頑張れるか」
さらに体調も落ち着くであろう3日目以降へ、明るい兆しを感じさせた金曜日。「パーオン率も高くしたいし、バーディチャンスもたくさん取りたい。パー5は全部バーディを取らないと」。棄権してもおかしくないところでの踏ん張りが、週末への期待につながった。(文・間宮輝憲)
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