「『優しい』がキーワードだったかも」市川紗椰が今年の"フェス始め"に選んだ「rockin'on sonic」を語る
rockin'on sonicの写真を撮り忘れた......
『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は、市川紗椰が今年の"フェス始め"に選んだ「rockin'on sonic」の感想を語る。
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今年の"フェス始め"に選んだのは、幕張メッセで1月4、5日に初開催された「rockin'on sonic」。日本最大の野外ロックフェスティバル「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」を主催するロッキング・オンと、日本最大の都市型洋楽フェス「SUMMER SONIC」を主催するクリエイティブマンのタッグで生まれたイベント。略して「ロキソニ」。
あの解熱鎮痛剤に脳内変換されてしまうイベント名ですが、三が日明けのボーッとした頭が刺激され、心が発熱するお薬です(うまいこと言おうとしたが、ただただ怪しい)。
私がお邪魔したのは、2日目のみ。ラインナップが市川ホイホイすぎて、すぐさま参戦を決めました。その日の大トリは、中学生の頃から何度も救われた"ナードロックの神"Weezer。生で見るのは10年ほど前の単独以来でした。
その前には、同じく"ザ・世代"のDeath Cab for Cutie。高校生の頃に特別好きだったわけではないですが、90年代末期~00年代初頭のオルタナロックはイヤでもDNAに組み込まれているので、テンションが上がる。
ほかにも、Manic Street Preachers、そして大好きなThe Jesus and Mary Chain。小さいほうのステージには、最近ちょこちょこ聴いているThe Lemon Twigs、なんだかんだで触れる機会が多かったDigitalism、今を時めくCigarettes After Sexなど。
ちなみに1日目は、PulpやPrimal Screamなど、同じロック好きにとっても2日目とは少し趣向が違う並び。どっちの日も、洋楽ロックおじおばがホイホイされるような、絶妙かつ気合いの入ったラインナップ。両日のメンツをごちゃ混ぜにしたほうが、2日間通し券が売れただろうに、優しい。
このイベント、振り返ると「優しい」がキーワードだったかも。正直、ジザメリとWeezerが両方見られるだけで満足でしたが、実際に行ってみると、満足度を上げる小さな工夫が印象的でした。まず、ライブ時間にかぶりがない。見たいアーティストが同じ時間に演奏するジレンマが付き物のフェスですが、見事に全部見られるタイムテーブルでした。
走ったり焦ったりしなくていい。その分、ライブが何もない時間が生じますよね? ライブの間は飯コーナーが混雑したり、休む場所も集中して、座れない恐れがありますが、大丈夫! テーブルとベンチがとにかく大量にある。イス取りゲーム的な場所取りが必要ないから、ノーストレスで飲み食い可。
さらに感動したのは、カフェテリアみたいに並んでるテーブルでは「向き合わず片側に並んで座る」という決まりがあったこと。
通路が確保されるし、同タイミングで同じテーブルを陣取ろうとするトラブルも防止。おひとりさまに優しく、食べ物を持ちながら人を避けて狭い通路を歩くイヤ~なストレスがない。向き合って座れる席もありましたし。地味な工夫ですが、よく考えられていました。
空調も寒すぎず暑すぎず。「もう若い頃みたいには頑張れない!」という心の叫びに応える大人のロックフェスでした。
●市川紗椰
1987年2月14日生まれ。米デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。モデルとして活動するほか、テレビやラジオにも出演。著書『鉄道について話した。』が好評発売中。Weezerが曲ごとに楽器を持ち替えず、その場でチューニングし直してたのが印象的だった。公式Instagram【@sayaichikawa.official】
記事提供元:週プレNEWS
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