洪水世界を猫が旅する「Flow」、TAAF2025上映記念でギンツ・ジルバロディス監督×友永和秀が対談
「Away」(2019)で注目されたギンツ・ジルバロディス監督が、大洪水に見舞われた世界で一匹の猫と仲間の動物たちが繰り広げる冒険を描き、2024年カンヌ国際映画祭〈ある視点〉部門出品、2024年アヌシー国際アニメーション映画祭4部門受賞、2025年ゴールデングローブ賞アニメ映画賞受賞、2025年アカデミー賞長編アニメ賞・国際長編映画賞ノミネートなどを果たした「Flow」。
東京アニメアワードフェスティバル(TAAF)2025で3月7日(金)に上映されるのを記念し、ギンツ監督と「ルパン三世 カリオストロの城」など数々の名作を手掛けたアニメーター・友永和秀との対談が実現。その模様を捉えた映像が到着した。(映画の全国公開は3月14日より)
水の描写について友永氏が「自分もアニメーターとして苦労して描いてきたが、『Flow』の水の表現には心を奪われた」と述べると、ギンツ監督は「水は本当に難しかったです。水といっても穏やかな水面から激しい水しぶきまでさまざまな表現があり、それぞれまったく違うものなので、異なる技法を考えねばなりませんでした。リアルさのみを追求するのではなく、色彩を少し強調するなど、本物の水より感情豊かにしたかったのです」と説明。
また、動物のアニメーションについて友永氏が「自分が手掛けてきた作品の動物はカリカチュアライズされているが、この作品では現実に近い動きで感情を表現していて驚いた」と伝えると、ギンツ監督は「猫や犬など、普段見慣れている動物はよりリアルに、そうではない動物は少し誇張して描かれていると思います」「猫や犬は実際に一緒に暮らしていた子たちがモデルです。鳥に関しては、猫を掴める力があり、威厳のあるリーダー的存在としてヘビクイワシを選びました。次に決まったのが、さまざまな動物と共存できるカピバラです。キツネザルを含め、動物たちのキャラクターはおのずと決まっていきました」と明かす。
さらに話題は、カメラワーク、長尺のワンショット、無料ソフトのBlenderを使用した制作などに及んでいく──。
「本作は非常に独創的で、観たことのないアニメーションだと思います。ぜひ大画面で、この世界に没入してください」(ギンツ監督)
Story
大洪水に見舞われた世界で、旅立ちを決意した一匹の猫。他の動物たちとボートに乗り合わせ、想像を超えた出来事に直面しながら友情を育んでいく。果たして運命を変えられるか?
©Dream Well Studio, Sacrebleu Productions & Take Five.
配給:ファインフィルムズ
記事提供元:キネマ旬報WEB
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