『G430』が日本市場で高く評価された要因 PINGの強みにつながる“3つの柱”【岡田健二社長・単独インタビュー】
2022年11月に発売されてから長らく高い指示を得た『G430』のドライバー。多くのゴルファーから圧倒的な支持を得た理由をPINGゴルフジャパン株式会社代表取締役社長の岡田健二氏に深堀した。
■G430にこだわった2つのこと
G430に強くこだわったのは“打感”と“音”。「クラブの開発は、けっこう長い期間行われています。そのため、何年後かのクラブを作るので、簡単に変えることはできませんが、途中の段階での要望に対して開発側がかなり力を入れてくれました。それが日本市場で受け入れられやすい打感と音になったのはすごく大きかったと思います」と長い製造期間のなかで、追求した2つの“こだわり”が日本のユーザーに認められたことに喜びを表した。
ピンの強みは、活躍する契約選手の存在や、フィッティングなどがある。だからこそ、1つの要素を挙げるのは難しい。そのなかで「一番うれしいのは、ピンのブランドも日本のユーザーの方から支持を得られて“ピンは間違いない”という、その安心みたいな言葉を聞くのが一番うれしいですね。真面目に物づくりをしていて、階段を上がってきたといううれしさです」と話した。
■PINGの強みにつながる“3つの哲学”
同社はクラブ製造において、“3つの哲学”がある。安心感のある優しいクラブ造りを意識した『カスタム・エンジニアード』(革新的な製品開発力)、一人一人に合わせるクラブフィッティングの『カスタム・フィット』(カスタムフィッティング)、1本ずつ手作業で丁寧に組み立てられた信頼できるクラブとして『カスタム・ビルト』(最高品質の国内組立)だ。
強みの一つであるフィッティングを成立させるためには「3つすべてが噛み合わないとだめで、商品開発をするときにフィッティングをする前提で商品開発をしなければなりません」と、クラブの製造時から調整ができるようにつくっていく。
フィッティングでは現状の悩みや理想の結果をヒアリングすることから始まり、試打をしながらヘッドモデルを選んでいく。そしてシャフトを選び出球を安定させて、ロフト、ライ角、ウェイトポジション等に調整を加えて理想の弾道に向けて最終調整を行う。最後に手のひらと指の長さを測定し、グリップカラーコードチャートに当てはめて最適な太さのグリップをさして完成となる。
「ライ角調整がでいるように設計しなければいけませんし、ヘッド重量もあとで変えられるようにしなければいけないということを開発の段階から考えています。そのために何万通りある組み合わせの中から最短納期で納品することを考えて組み立てて設計します。それで初めてフィッティングができる。その“3つの柱”なので、そういう意味では、フィッティングが当社の1番の中心にあります」
PINGゴルフジャパンが長く守る“3つの哲学”があるからこそ、強みであるフィッティングが実現する。製造から強いこだわりを持っているクラブメーカーだ。
■創業者の孫、ジョン・K・ソルハイム氏が与えた“影響”
創業者のカーステン・ソルハイム氏の孫であるジョン・K・ソルハイム氏(前代表取締役社長)が開発チームにいたときに立ちあがったのがGシリーズ。そして、ジョン・K氏がPINGゴルフジャパンの代表取締役社長になり日本に移住。当時、製品責任者のジョン・K氏は「日本の市場を見て、日本ではピンの製品が他社と比べて日本人の目や耳に合っていないというのを感じたのです」と日本ユーザーの“声”を開発チームに届けた。
「その1年後にできたのがG400なので、(影響は)すごく大きいなと思います」と2017年に“飛ぶ”と大きな話題を呼び、人気となったG400が登場。そこからさらに日本ではPINGへの信頼が大きくなったのもあるが、ジョン・K氏のアクションが大ヒットしたG430にも大きく影響した。(文・高木彩音)
次回は、マークダウンも必要ナシ。2年目の方が売れた、オバケのような『G430』をどうやって越えたのかという理由に迫る。
<ゴルフ情報ALBA Net>
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