パイオニアの三菱が放った軽商用EVを公道試乗! ふたり乗りミニキャブEVは手軽な外遊びに最適!
まさに完熟カーという感じの見た目のミニキャブEV。気になる走りはどうか? 狭い路地裏などでも取り回しをチェックしてきたぞ!
2023年12月21日に発売されたミニキャブEV。なかなか取材の機会に恵まれなかったが、ついに試乗が実現! この軽商用EVは三菱のロングセラー、ミニキャブ・ミーブを大幅改良したモデル。ぶっちゃけ、どこがどう変わったの? 徹底取材してきた。
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■フル充電時の航続距離は180㎞昨年12月、神奈川県大磯町にある大磯プリンスホテルで三菱自慢の新型アウトランダーPHEVの報道陣向け試乗会が行なわれた。そこに、2023年12月に三菱が発売した軽商用EVのミニキャブEVがポツンと1台置いてあったのだ!
なぜ大コーフンしているかというと、実は試乗のチャンスを狙っていたクルマだからだ。何しろ三菱は2009年に世界初の量産型軽EVアイ・ミーブを世に送り出したパイオニアである。
三菱 ミニキャブEV 価格:243万1000円~ 試乗したのはふたり乗り仕様。4人乗り仕様も用意されている(価格248万6000円~)
ボディサイズは全長3395㎜×全幅1475㎜×全高1915㎜。ホイールベースは2390㎜
しかも、ご覧のように見た目は超シンプル。外遊びをガシガシ楽しむ男にはタマらない仕上がりだ。三菱に聞くと、この試乗車はふたり乗り仕様とのこと。
チラ見すると、後席は見事にフラット! 早くも外遊びの妄想で脳内はパンパンだ。しかし、初試乗にウッキウキの週プレ自動車班を専門家らは冷ややかに眺めている。いったいなぜ?
自動車誌の元幹部が苦笑いしながら解説する。
「ミニキャブEVは2011年12月に発売されたミニキャブ・ミーブを大幅改良したモデルです。さらに言えば、ミニキャブ・ミーブはアイ・ミーブの技術や知見を注いで爆誕させたモデル。言うまでもありませんが、基本設計があまりに古すぎます」
とはいえ、大幅改良によってミニキャブEVはバッテリー容量を16kWhから20kWhへ変更。これによりフル充電時の航続距離は約35%向上し、180㎞(WLTCモード)を達成! 加えて衝突被害軽減ブレーキシステムなど予防安全技術も採用されている。
「三菱は販売価格を従来モデルと同等に抑えたと胸を張っていますが、この設計の古さで250万円弱の価格は個人だと手が出しづらい」
設計の古さを指摘する専門家が多かったが、熟成に熟成を重ねてきたので使いやすい
ミニキャブEVはキーを回して起動するため、古いガソリン車からの乗り換えでも違和感ナシ
百聞は一見にしかずというわけで、運転席に乗り込む。確かにメーターパネル、セレクターレバー、カーナビは前時代的ではあるが、そもそも軽商用EVなので問題ナシ。驚いたのはエンジンスタートボタンがなかったこと。実は、このミニキャブEV、キーを鍵穴に差し込んで回すタイプなのだ。
ぶっちゃけ、最新のEVはスタートボタンすらなく、ブレーキペダルを踏むだけでシステムが起動する仕掛けになっている。なので、専門家筋からは、「令和にキーを回すとは」なんて声も聞こえたが、逆にこのシンプルさはEVのハードルを下げる気がした。
いよいよ試乗だ。まず大磯プリンスホテルの駐車場で各部をチェック。その後、公道へ。結論から言おう。非常に乗りやすかった。
これまで週プレ自動車班は国内外のEVを取材してきたが、こんなにも肩肘張らずに気持ちよく乗れたのはミニキャブEVが初めてかもしれない。EVらしく力強い走りだが、加速は超滑らかでスムーズ。住宅街や狭い路地も運転がマジで楽! その秘密は?
「ミニキャブEVは軽商用EVのパイオニアでもある三菱の経験や知見を注いだモデルです。具体的にはモーターやインバーターを刷新し、ショックアブソーバーも改良しました。その結果、静粛性だけでなく、乗り心地も従来モデルから大きく向上しています」(三菱関係者)
今回試乗したモデルは、前席のみのふたり乗り仕様車なので、長尺物も余裕で積める
試乗車にはクルマから給電できるアクセサリーコンセントが装備されていた
さらに荷室の床がフラットなので、外遊びやプチ車中泊も余裕でこなせる。ちなみにふたり乗りモデル限定のメーカーオプションにアクセサリーコンセント(AC100Vで最大1500W)が用意されており、このオプションを選べば電子レンジなどを車内で使うこともできてしまう。
「基本的には法人の購入が多いクルマですが、手軽なアウトドアを趣味に持つお客さまがセカンドカーに選ぶことも。もし航続距離が気になる場合は、近場のアウトドアから始めるのを推奨します」(三菱の販売店スタッフ)
ちなみにミニキャブEVは急速充電なら約42分で80%まで充電される。バッテリーの保証は8年16万㎞だ。さらに販売店からはこんな話が!
「ガソリン200円時代の今、軽商用EVは〝日常の足〟としても注目されています」
取材・文/週プレ自動車班 撮影/山本佳吾
記事提供元:週プレNEWS
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