「孤独のグルメ」「コンフィデンスマンJP」に出演!俳優マイケル キダが提唱する【自分の人生のつくり方】
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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「劇映画 孤独のグルメ」にダニエル八田役で出演している俳優マイケル キダ。
「テレ東プラス」は、マイケル キダが運営する会員制のコミュニティ畑「GrowHayama」を取材。自らの手で開墾し、畑に集まる仲間とさまざまなワークショップを開催している。
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野菜や果物はもちろんのこと、小屋や茶室、ピザ釜に至るまで、何でも自分流に独創的につくり上げてしまうマイケル。そんな彼の日常、そして“自分の人生のつくり方”とは――。
※インタビュー前編はコチラ
カスカスのフェンネルを見ていなければ、今の僕はいないかもしれない
葉山町の山奥に広がる「GrowHayama」の畑は約3000坪もあり、常時300種類もの無農薬野菜を育てているマイケル。現在は野菜や蜂蜜の他、レモンの木など柑橘園づくりにも着手。「たくさん実が成るのは10年後かな?」と、愉快に笑う。
彼がこれほどまでに大きな山を開墾しようと思った理由……それは、ある“小さな事件”が発端だった。
2006年に来日し、当時「葉山インターナショナル」でマネージャーとして働いていたマイケル。
「日本での就職はかなり苦戦しましたが、インターナショナルの面接に受かり、海も山もある葉山を一目見て好きになりました。
最初は日本語も分からず、友達もいなかったので、町の喫茶店など人がたくさんいるところに顔を出して、日本語を学ぶところからスタートしましたが、やがて、ある魚屋さんに通うようになったんです。お客さんとして通ううちに、お店のお兄さんが『さばき方、教えてやるよ!』と声をかけてくれました。
昔から料理やDIYなど何でも自分で作るのが好きだったので、お兄さんと一緒に、出刃包丁で魚をさばいて……その過程がいろいろな面でものすごく勉強になったんですよね。
ある日、“葉山にはたくさん魚があるからブイヤベースを作ろう!”と思いました。でもいざ作るとなったら、魚はたくさんあるけど、肝心のフェンネル(ウイキョウ)がなかなか見つからない。探し回ってやっと高級スーパーで見つけたんだけど、めっちゃ小さくて元気がないやつが800円! “いやーこれは使えないし、高すぎる。自分で作ろう!”と思ったことが、畑を始めるきっかけでした」
最初はマンション暮らしだったため、プランターで野菜を栽培。物足りなくなったマイケルは一軒家に引っ越し、10平米くらいの庭で野菜を作り始める。やがて、農家をやっている大家さんに頼んで空いている土地を紹介してもらうことに。
「自分で小屋を建てて、途中まで開墾したんだけど、ある事情で奪われてしまったんですよ。そこでめげずに紹介してもらったのが、この山奥。草木がボウボウに生い茂っていたんだけど、山を登って行ったら、海がバーっと見えるじゃないですか。景色が最高でした。
“あーここに小屋を建てたらいいだろうな”と頭の中ですぐイメージが広がったので、もう1度、イチから開墾しようと思いました」
▲見晴らしのいい高台には、茶室も!(マイケル作)
▲畑ではヤギも飼育。「雑草を食べてくれるので大助かり」だそう。大好きなマイケルが近づくと、大喜びで無邪気に戯れていた
▲火起こしも薪割りもお手のもの。「イチから手間をかけて、何でも自分で作るのが好き」
どうしてもブイヤベースに使いたかったフェンネル……その種がどんどん広がって、今のマイケルが誕生した。
「たしかにあの事件がなかったら、ここまでやっていなかったかもしれない。カスカスのフェンネルを見ていなければ(笑)」
自らを「芸農人」と呼ぶ。2014年に芸能界デビューし、去年10周年を迎えたマイケル。
畑のある暮らしと芸能界…対極の世界といっても過言ではないが、彼にとって俳優の仕事の醍醐味とは――。
「僕はとにかく現場が大好きなんですよ。この山も、よくCMのロケに使ってもらうんですけど、制作の現場を見るとやっぱり気になって“僕もジョインしたい!”と思っちゃう(笑)。畑と違って1人ではできない楽しさがあるし、みんなと一緒に作品を作るのが好きなんです。
でも、映画やドラマなどの作品は、自分が選ばれないとジョインできません。僕の中にはクリエイティブな気持ちがあるし、人間同士のコラボって気持ちがいいですよね。
例えば葉山のお祭りもそうで、みんなの力で神様(御神輿)を背負って町を回る…それはみんながいないとできないこと。
撮影現場もそれと同じで、役者としての出番というよりは、チームプレーが好きなのかもしれない。例えば、自分でYouTubeの動画を作る時、音声一つにしてもものすごく難しいじゃないですか。映画やドラマの撮影現場では、それぞれがプロとしてやってくれるし、お互いが協力して高め合っていけます。自分ではできないこともみんなができて、最終的に作品を見たら“最高じゃん!”って(笑)。
僕は畑と同じくらい撮影の現場が好きだから、自分の出番が終わっても帰らず、スタッフのお手伝いをすることもあります。翌日はまた畑で作業するんだけど、“あー早く次の作品にジョインしたいな”といつも思っています」
お金は稼いだけど何をやったか覚えていない…そういう人生にはしたくない
俳優、畑、DIY、サーフィン……好きなものすべてがマイケルの柱になっているが、彼が“人生のつくり方”において、大切にしていることは何なのか。
「生まれてから亡くなるまで、人は時間が決まっていて、それをどう有効に使うのか……僕は“経験をたくさん稼ぐこと”だと思っています。お金が手に入れば、それはそれで嬉しいことだけど、経験があって、思い出があって、そういうことの方がリッチな気持ちになる。僕は全ての時間を上手く使いたいです。
例えば“あー今日1日無駄になっちゃったな”と思うことがあるかもしれないけど、その時間もきっと無駄じゃない。その経験をしたことで“やっぱり時間を大切にしなきゃいけない”と内省するだろうし、例えば映画やドラマの撮影も待ち時間は長いけど、現場をちゃんと味わおうと考えると、その待ち時間でさえ忙しくなります。
僕の人生においては、待ち時間も大切な瞬間。目や心で写真を撮って、“僕は今この瞬間を生きている”と感じることが重要。だから、撮影や作業のゴールばかり考えるのではなく、ゴールにたどり着くまでの時間を大切にしたい。
でもみんな日々忙しいから、そういうことをすぐに忘れちゃうでしょ? “早く次に行かなきゃ”“早く終わらなきゃ”と。この取材もそう、もう終わっちゃうの?(笑)
それもスケジュールを考える上では重要なことなんだけど、一瞬一瞬を深く味わうことが大切なんだと僕は思います。
後で振り返った時、どれだけいい経験をしたか。お金は稼いだけど何をやったか覚えていない…そういう人生にはしたくない。
みんな年を取ると“時が経つのが早くなる”って口をそろえて言うけど、そういうことをしっかり考えていると、時間は決して早くない。それは畑にいると簡単に分かることかな。畑で土を触っている時、その場で野菜を食べている時、五感を使っていると時間がすごくゆっくり感じられるから」
“いま、この瞬間を生きる…”それが、マイケル流・自分の人生のつくり方。
「“meaning of life(生きることの意味)”とよく言うけど、“私たちはなんでここにいるの?”“私たちはなんで生きてるの?”と意識するのは人間だけなんですよね。他の動物は意識していない。
例えば、人間の細胞が正しく新陳代謝されると、数年で生まれ変わるという説があります。それを考えたら自ずと答えは出てくるはずで、“じゃあ僕の細胞はどんなお祭りを楽しみたいのか。悲しい祭り? 楽しい祭り? お祭りが楽しければ、細胞も喜んでるんじゃない?”と思う。
自分の細胞に“どんな人生=どんなパーティー”を提供してあげるのか。私たちは細胞に経験をさせるために生きているんですよ。
僕は日本に来て19年になるから、遺伝子は変わらないけど、もう日本人になっていると思うんですよね。最近、顔も薄くなってきたんですよ(笑)」
真面目な話をする中でもジョークを忘れず、自由にオープンに話してくれるマイケル。
青空の下、彼と会話をしながら畑に触れたわずかな時間は、私の心を穏やかにしてくれた。彼はそんな不思議な力に満ちている。
「ゴールにたどりつくまでのプロセスを大切にしたい……」そう語るマイケルだが、彼にとってのゴールは、数え切れないほどありそうだ。
「今後は俳優としてはもちろんですが、自分で脚本を書いて、いい作品を作りたいです。やはり僕はクリエイターで作るのが好き。全てのことに興味を持っているし、監督もやりたいです。今ははまだ難しいけど、いつかできるようになる、自信があります。
日本の作品だと、脚本家はみんな日本人だから、わざわざアメリカ人のキャラクターを書くのは難しいと思います。じゃあ自分で書けばいいのかもしれないと思いついて、オンラインの授業を受けて勉強もしました。
脚本を書き始めると、頭の中で勝手にキャラクターが出てきて、そのプロセスがめちゃくちゃ楽しいんですよ。書いたらすぐ、次のシーンがドンドン出てくる。だから今は一番、クリエイターでいる時が幸せかな。
畑の目的としては、どんどん広げて、会員の皆さんに楽しい幸せな時間の使い方を共有したい。単なる自己満足だけじゃなく、みんなが楽しめる場所を作った方がいいんじゃないかなと思って、去年『GrowHayama』を立ち上げました。
いざやり始めてみると成功している気がするから、もっと広げたいですね。多くの方が気軽に参加できるようなプログラムを作りたいです。
そしていつかこの畑のメンバーたちから、また違う力が出てきたらいいなと思っています」
▲マイケル キダ著「Do It Your self-自分の人生のつくりかた-」(飛鳥新社)
【マイケル キダ プロフィール】
1979年9月23日生まれ。ニューヨーク州出身。俳優、モデル、タレント、農業従事者として幅広く活動。26歳の時に神奈川県三浦郡葉山町に移住し、オーガニック野菜を作り始める。
「コンフィデンスマンJP」シリーズ、「カムカムエヴリバディ」、「おかしな刑事 年忘れ!!大感謝スペシャル」、「フェンス」など、多数出演。主演映画「永遠の1分。」(2022年)、著書に「Do It Your self-自分の人生のつくりかた-」(飛鳥新社)も。
俳優業の傍ら、会員制のコミュニティ畑「GrowHayama」を運営し、農作業の素晴らしさを伝えている。
<映画紹介>
劇映画 孤独のグルメ
監督:松重 豊
脚本:松重 豊/田口佳宏(「孤独のグルメ」シリーズ)
出演:松重 豊/内田有紀/磯村勇斗/村田雄浩/ユ・ジェミョン(特別出演)/塩見三省/杏/オダギリジョー
制作:共同テレビジョン/FILM
主題歌:ザ・クロマニヨンズ「空腹と俺」
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記事提供元:テレ東プラス
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