〈伊丹十三4K映画祭〉東京・大阪で開催。全10作を鮮やかな映像で
伊丹十三監督の全10作品を、4Kデジタルリマスター版で1週間ずつ上映する〈日本映画専門チャンネルpresents 伊丹十三4K映画祭〉が、2月21日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷・梅田で開催される。
監督デビュー作の「お葬式」(1984)を皮切りに、「タンポポ」(1985)、「マルサの女」(1987)、「マルタイの女」(1997)まで、独自の感性で日本社会を洞察した伊丹映画を振り返る本企画。
2月22日(土)にはTOHOシネマズ 日比谷で上映記念登壇イベントが行われ、伊丹映画全10作に出演する俳優・宮本信子が、映画「ラストマイル」(2024)やドラマ『海に眠るダイヤモンド』(2024)の塚原あゆ子監督と語り合う(チケットは2月14日深夜12時に発売開始)。
また、入場者特典として復刻版チラシブックを配布することも決定。ビジュアルは公開時のままで、伊丹監督自らが各作品を紹介したチラシ裏面も完全収録する(先着順・なくなり次第終了)。なお5月には、今回の10作を日本映画専門チャンネルで4K画質にて一挙放送する。
併せて、映画人たちが「いま劇場で伊丹映画を観る喜び」をテーマに綴ったコメントも到着。
岩井俊二
伊丹十三さんはかつて、とある映画をプラモデルのようだと語っておられたが、そんな伊丹さん自身が作る映画は、まるで極上のマジックのようで、お葬式でも脱税でもスーパーマーケットでもなんでも映画に変えてしまうそのこと自体もマジックだったが、どの作品の、どこをどう分解して、細かく切り取ってみても、タネも仕掛けもまるでわからぬばかりか、そのカケラのひとつひとつがどこまでも見事に映画なのであった。
周防正行
伊丹十三が活躍した時代、映画は映画館で観るから映画だった。その後のフィルムからデジタルへの移行は、視聴形態だけではなく、どう作るかということについても大きな変化をもたらした。伊丹十三はフィルムで育った映画人であり、同時にテレビを含むあらゆるジャンルを横断する表現者だった。伊丹映画を劇場で観る楽しさは、改めて「映画とは何か」という問いを突きつけられることだ。ぜひ、二十世紀最後の映画を味わってほしい。
山崎貴
伊丹映画は時代のレンズだったと思います。その時代ごとの社会問題をあぶり出し、それをドキュメンタリーではなく、とびきり上等のエンターテイメントとして観客に届けるという誰も出来ないことを飄々とやってのけたのが伊丹映画の素晴らしさだったと思います。
絶対誰もエンタメに出来るとは思わない場所からとんでもない原石を掘り出して皆に届ける…凄いのはその磨き上げた宝石が今もなお全く輝きを失っていないということです。
奥山大史
いつか映画を撮ってみたいと思い始めた頃、伊丹十三監督の映画を観ては、その映画を撮る過程について記された本を読む、というのを繰り返していた時期があります。
「映画というのは現実を映すのではなく、フレームのなかに現実を作り出すのだ」
「百の演技指導も、一のうってつけの配役には敵わない」
「美的感覚とは、嫌悪の集積である」
そんな言葉たちに触れながら観終えた10作からは、あまりにも多くのことを教えてもらいました。
やっとスクリーンで観られる。楽しみでなりません。
のん
伊丹十三監督の作品は、画作りが本当にかっこいい。衣装、美術、ヘアメイク、全てのディティールがおしゃれで、配置される構図は伊丹監督の描いたイラストのようにチャーミングでユーモラス。しかし私は伊丹作品を、DVD映像でしか観たことがない…!あの、日本社会に息づくスリルが閉じ込められた数々の傑作達を映画館のスクリーンで観られるなんて、心ときめきます。
〈日本映画専門チャンネルpresents 伊丹十三4K映画祭〉
劇場:TOHOシネマズ 日比谷、TOHOシネマズ 梅田
期間:2月21日(金)~5月1日(木) ※各作品1週間上映
配給:日本映画放送
公式サイト:https://www.nihon-eiga.com/osusume/itami4k/
記事提供元:キネマ旬報WEB
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