ゴジラ上陸で消滅都市から楽園に!唯一無二の“絶景レストラン”も:ガイアの夜明け
更新日:
イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
注目の旬ニュースを編集部員が発信!「イチオシ」は株式会社オールアバウトが株式会社NTTドコモと共同で開設したレコメンドサイト。毎日トレンド情報をお届けしています。
7月26日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「沸騰!地方の復活劇~淡路島がアツイ~」。
「ゴジラ」や「ドラゴンクエスト」のテーマパークや地元の絶品食材が客を呼び、消滅可能性都市の認定から一転、ガラリとイメージが変わった兵庫・淡路島。何もなかった島が、いかにして“一大観光地”へと変貌を遂げたのか。その舞台裏や戦略に迫った。
【動画】ゴジラ上陸で消滅都市から楽園に!唯一無二の“絶景レストラン”も
“究極のバッドロケーション戦略”で唯一無二のレストラン

神戸の中心地から車で約30分、約12万人が暮らす兵庫・淡路島。その西海岸沿いに、飲食店やホテルなど20の施設が集まった「フロッグスファーム」がある。
店がオープンするまで、この周辺は地元の人もほとんど寄りつかない荒地で、カエルの鳴き声しか聞こえない場所だったため、「フロッグスファーム」と名付けられた。
瀬戸内海の新鮮な地魚が食べられる「淡路島 回転すし 悦三郎」は連日大盛況で、この他、淡路産の食材にこだわったラーメン店や、海を見ながら淡路牛のバーベキューが楽しめる店も。年間39万人が訪れるグルメスポットになっている。

そんな「フロッグスファーム」で最初にオープンしたのが、海が見えるテラスが売りのイタリアンレストラン「ガーブ コスタ オレンジ」だった。

何もなかった場所を食の街へと変えたのが、東京・大阪などに94店舗の飲食チェーンを展開する「バルニバービ」佐藤裕久会長。佐藤さんはここで見た夕日に感動し、エリアの開発を手がけることに。「都会では見られないような、薄いピンク、パープルが入った空になる。ここにおいしい食事やスイーツがあれば、1〜2時間運転してでも客は来る」と話す。
佐藤さんはこれまで、飲食店に不向きな“バッドロケケーション”に、あえて店をつくってきた。その場所が持つ自然や景色を生かして人気の店にしてきたのだ。
「普通の常識から見たら悪い、もしくは過去ダメだったけれども、未来も悪いとは限らない場所。この場所も原っぱだった。店がないから当然人は歩いていない、商業としては“バッド”だけど、見方を変えたら、きれいな海が近くにあって、夕方になったら太陽が沈む。これってカフェやレストランにとってはめちゃくちゃいいこと。興味がある、面白いものをつくれば、人は来てくれる」と成功の秘訣を語る。

「フロッグスファーム」の一角には、地域のコミュニティの場になるようにと、廃校になった小学校を再利用した施設「サキア」をつくり、1階を食堂にリノベーションした。利用者の多くは地元の人だ。
さらに、過疎化で行われなくなっていた年2回の地域の祭りも復活させた。「元々素晴らしい伝統・歴史があったが、お祭りを含め、地域の文化的な活動が衰退していく。僕たちが刺激を与えて、もう一度、復活・再生していく」(佐藤さん)。

6月中旬、兵庫・南あわじ市。佐藤さんは新たなプロジェクトとして、切り立った崖の上にイタリアンレストランをつくろうとしていた。テラスから崖を下りていくと、プライベートビーチのような海岸が広がっている。地元の人も寄りつかない、長年放置されていた場所だ。

「僕の飲食人生29年でワーストロケーションじゃない?」と話す佐藤さんが、店の責任者として指名したのが、関西で5店舗を統括するベテラン社員・髙上彬さん(42)だ。
佐藤さんは「野菜と海鮮を南あわじで開拓しないといけない。足で回らなあかんで」と助言し、髙上さんは「飲食業を20年以上やっている集大成。絶対にいい店、笑顔のあふれる店をつくりたい」と意気込む。
果たして、崖の上まで足を運んでもらえるような“特別な体験”を提供することができるのか。
淡路島“復活”の立役者パソナの次なる一手

一方、島の北部にある淡路市。この場所に、人気ゲームやアニメを題材にした体験型のテーマパーク「ニジゲンノモリ」がある。
自らが主人公となって冒険するアトラクション「ドラゴンクエスト」のエリアでは、ゲームの世界を再現しており、その中にあるレストランでは、ゲームのキャラクターに見立てたメニューを提供。「クレヨンしんちゃん」のアドベンチャーパークには、連日多くの家族連れが押し寄せている。

中でもイチオシが、実物大のゴジラの口の中へジップラインで飛び込むアトラクション。「活性化されている。前は何もないイメージだった」と驚く客も。
このテーマパークをつくったのが、人材サービス業界の大手「パソナグループ」だ。パソナは現在、淡路島で20カ所以上の観光スポットを展開しているが、そのきっかけになったのが1995年に起きた「阪神淡路大震災」だった。
甚大な被害を受けた後、淡路島の人口は約3万5000人も減少し、「消滅可能性都市」に分類された。そんな淡路島に、パソナは4年前、本社機能の一部を移転したのだ。
元々、本社の主要部門を担当してきた社員の3分の2以上、1300人が島に移転。家族と一緒に首都圏から移り住んだ社員も多い。

「僕も淡路島に住んでいる。朝は鳥が起こしてくれるし、波の音を聞きながらおいしいものを食べられる。娘も孫も移住している」と話すのは、「パソナグループ」代表・南部靖之さんだ。「神戸出身なので、何か恩返しがしたいと思った。淡路島は神戸と近いし、若い社員とみんなで移住し、機能を持ってくることで地域創生ができるなと思った」。
「バルニバービ」佐藤さんについて聞くと、「最高に尊敬している。『何か一緒にやろうぜ』と、しょっちゅう会って話している」と佐藤さん。

南部さんから淡路島の活性化を託されたのが、地方創生事業の責任者で常務執行役員の伊藤真人さん(52)だ。伊藤さんは、パソナのメイン事業である人材派遣の営業を長く担当してきたが、そんな伊藤さんのもと、大成功したのが「ニジゲンノモリ」だった。
「ニジゲンノモリ」は、2017年、閑散としていた県立公園の中にオープンした。
伊藤さんは、「世界中の人が誰でも知っているアニメやキャラクターで盛り上げて、世界中から人を呼び込めるような活性化をしていく」と話す。
「ニジゲンノモリ」ができたことで、公園の来園者数は倍以上の年間85万人に。いろいろな国の人たちもやって来るようになった。

森の中に浮かぶような座禅リトリート施設「禅坊 靖寧」。この日は、研修で訪れたさまざまな企業の女性幹部候補生たちが座禅に参加していた。人材サービス会社、パソナならではの研修だ。「“人を活かす”“社会の問題点を解決する”が企業理念。そのパイオニアになれたら」と伊藤さん。

観光客向けにミュージカルなどを上演している「波乗亭」では、パソナの社員たちが舞台に立っていた。ヒロイン役を務めるのは、入社7年目の石坂光さんだ。
石坂さんは、兵庫県の大学で声楽を専攻し、卒業後、パソナに入社。舞台がない日は、オフィスでデスクワークをしている。「進路のことを考えた時に、音楽で生活していくのは難しいので、パソナに入社できなかったら一般企業に就職する予定だった。人生が変わった」と石坂さん。
こうした社員は石坂さんだけではなく、プロを目指していたアーティストなど、130人以上が正社員として働きながら、自慢の腕前を披露している。これも伊藤さん流、社員と地方をともに活性化させるやり方だ。
さらにパソナは、地元で新たな雇用も生み出している。淡路島で生まれ育った浅井竜宏さん(48)は、5年前にパソナに中途入社し、レストランで働いている。「島内では、就職先がなくて転職も難しかったが、パソナが仕事を募集していたので感謝している」と話す。

「イオン淡路店」(淡路市)のワンフロアはパソナのオフィスになっており、ここで働く200人の社員のほとんどが、淡路の出身。淡路市では、パソナが移転した年を境に、転入者が転出者を上回り、「消滅の可能性がある地域」から脱却した。
街の劇的変化に、淡路市の門康彦市長は「若い人たちが来ている。若い人たちは力であり魅力。税収は倍になった。本当にパソナのおかげ」と感謝を口にする。

さまざまな改革に取り組んできた伊藤さんだが、淡路島の人気が高まる中、新たな課題が浮上した。観光客の動向を分析すると、宿泊する客が淡路島にやって来る人の約1割しかいない。神戸や大阪などから近いため、みんな日帰りしてしまうのだ。この課題にパソナが打ち出した秘策とは……。

この放送が見たい方は「テレ東BIZ」へ!
記事提供元:テレ東プラス
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。