リー・マーヴィン主演×ジョン・ブアマン監督「殺しの分け前/ポイント・ブランク」、著名人コメント公開
リチャード・スタークの犯罪小説『悪党パーカー/人狩り』をリー・マーヴィン主演×異才ジョン・ブアマン監督により映画化したハードボイルド・アクション「殺しの分け前/ポイント・ブランク」(1967)が、6月13日(金)よりシネマート新宿ほか全国で順次公開される。著名人のコメントが到着した。
町山智浩(映画評論家)
『ポイント・ブランク』は、44マグナムとドイツ表現主義とヌーヴェルヴァーグとポップアートとサイケデリックの合体! というロートレアモンもビックリのフィルム・ノワール。鈴木清順の『殺しの烙印』と同じで、わけわからんけどクセになるのだ!
赤峰幸生(株式会社インコントロ代表)
主人公とその妻、そして主人公の親友が楽しそうにドライブするシーンがある。フランソワ・トリュフォーお得意の二人の男と一人の女。なるほど、フィルムノワールとアメリカンハードボイルドの融合か。ストーリーは言わぬが花だが、リー・マーヴィンが着るスーツは67年カリフォルニアを反映してアメリカンコンテンポラリースタイル。だが、ジョン・ブアマン監督はイギリス人。ケーリー・グラント流の同色合わせのスーツとタイはスタイリッシュ。彼の装いに注目しながら本作の世界に浸るのも一興だろう。日本もトラッド、コンポラスタイルが流行ったのが懐かしい。
幾原邦彦(アニメーション監督)
男は裏切られ、すべてを奪われた。そして、しばらく誰も抜け出すことが出来なかったと言われた、かつてのゆっくりで目覚めた、いや、あるいは溺れたのか。
殺しの分け前とは何か、その追跡と復讐で、何を得るのか。
刺すような真昼の日差しと、ベットリとまとわりつく闇。男はどちら側なのか。
ジョン・ブアマンの描く幽玄なハードボイルド、その夢に浸る。
川瀬陽太(俳優)
映画最強の男個人的一位のリー・マーヴィン。
物語をたやすくねじ伏せる事の出来る筈のリーがブアマンの描く悪夢の無限回廊に翻弄され続けるなんて。
本作にジャンル分けは必要ない。映画でしか描けない、これこそ映画の見る夢だ。
後藤護(暗黒批評)
まるで鈴木清順監督、アラン・レネ編集で撮られたようなマニエリスム・ノワール。超マイナー黒人シンガーのスチュアート・ガードナーがサイケデリック・ソウル・ナンバー“Mighty Good Times”をナイトクラブで絶唱するシーンの異様な存在感! フィルム・ノワール映画史とブラック・サイケデリック音楽史という全く異質な文脈が交わった「1967年の魔法」にビリビリ痺れてしまった。
中原昌也(作家・ミュージシャン)
ジョン・ヴァーノンのファンは必見!
ジョン・ブアマンがアラン・ロブ=グリエに影響を受けたと公言している、そんな映画です。どこが?って聞きたいですが。
相澤虎之助(映画監督・脚本家)
監獄から監獄へ。高度にシステマティックされつつあった60年代の現代都市を彷徨うリー・マーヴィン演ずる謎の男ウォーカー。
サイケデリックな悪夢に耐え続ける彼の横顔と共にこの作品を観る者は、いつしか天国でも地獄でもない、煉獄を彷徨う巡礼者となる。
Story
ウォーカー(リー・マーヴィン)は友人のリースと共に、アルカトラズ刑務所の跡地で取引している組織を襲い、大金を強奪。だがリースはウォーカーに銃弾を浴びせ、金を持って逃げ去った。「夢だ、これは夢だ」。意識が薄れゆく中、ウォーカーの脳裏でさまざまな記憶と幻想が交錯する──。
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提供:キングレコード 配給:コピアポア・フィルム
記事提供元:キネマ旬報WEB
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