環境経営の情報開示について分かりやすく解説 エスプール子会社が経営管理協会と講演会
サステナビリティー経営のコンサルティングを行うエスプールブルードットグリーンは9日、神戸市内で行われた日本経営管理協会兵庫県支部の新春例会で、環境経営の情報開示に関する講演会を実施した。同社執行役員の榎本貴仁氏が、情報開示が必要になった背景や求められる取り組みなどを解説した。
榎本氏は、気候変動により発生する山火事や洪水など気象災害の甚大化が、政策や市場経済に影響を及ぼし始めているなかで、多くのステークホルダーが製品を選んだり、投資をしたりする際に企業の環境問題への対応を重視するようになっていると指摘。グリーン市場の規模は拡大しているため、気候変動対策は成長戦略にもなるとし、「より適切に情報開示することで、その企業が環境リスクをどう回避し、チャンスとなり得るところにどんな姿勢をとろうとしているのかが明らかになり、資金調達などで大きなメリットになる」と述べた。
榎本氏は、情報開示のなかでも、英国を本拠地とするNGO(非政府組織)「CDP」の質問書への回答を通じて情報を開示する意義を解説。160を超えるCDPの質問項目では、二酸化炭素(CO2)の排出量、削減目標やその方法、経営陣を含む企業としての意思判断プロセスなどまでが問われ、結果により8段階のスコア別で分類・評価される。
榎本氏はCDPでは、特に「自社だけは良い、という内容ではなく、サプライチェーン(供給網)全体の取り組みが問われている」と強調。取引先からの要請でCDPに回答するサプライヤーの数は年々増加しており、2023年までの3年で2倍以上となった。
回答を開示している企業は世界全体で約2万5千社、時価総額ベースでは6割を超える。外資系では、CDPのスコアが一定レベルを超えていない会社とは取引しないという企業もあり、日本国内でもプライム上場企業を中心に約2100社が回答を開示している。榎本氏は「ステークホルダー側も、いきなり100%の情報開示は求めないケースが多い。まずは世の中の要請と自社の現状とのギャップを把握し、少しずつでも情報開示に取り組むことが大事になる」と話した。
講演会には、企業コンサルティングを担う税理士、公認会計士、社会保険労務士ら約50人が参加。講演会に参加したホテルオークラ神戸の手塚潤執行役員は、「欧米系企業からどういう取り組みをしているかについての質問が増え、会場選定の大きな要因になっている。必要に応じて開示をしているが、フレームワークに沿った答えが持てるよう、さらに対応を進めたい」と話した。
新春例会では榎本氏のほか、経済ジャーナリストの堀浩司・前阪南大学常任理事が今年の経済展望、関西・健康経営推進協議会の西口泰氏が健康投資の重要性について講演した。
記事提供元:オーヴォ(OvO)
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