五輪柔道金メダリスト・阿部兄妹との特別稽古にハンガリー少女が感動!:世界!ニッポン行きたい人応援団
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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ニッポンに行きたくてたまらない外国人を世界で大捜索! ニッポン愛がスゴすぎる外国人をご招待する「世界!ニッポン行きたい人応援団」(月曜夜8時)。
今回は、「ニッポンにご招待したらスゴい人が応援してくれちゃった!スペシャル」【あの人にもう一度会いたい!ナイショで出張応援団inフランス】をお届けします。
【動画】「世界!ニッポン行きたい人応援団」最新回
紹介するのは、ハンガリー在住の柔道を愛するアイシャちゃん。
ニッポン発祥の武道「柔道」。創始者の嘉納治五郎は、敵を倒す技であった柔術をもとに心身の鍛錬と人間教育の道として柔道を確立。今や世界208の国と地域に普及し、老若男女に愛されています。
柔道家の祖父の影響で、7歳で柔道を始めたアイシャちゃん。始めて3年で多くのメダルを獲得し、ポーランドで行われた国際大会では見事3位に! ニッポンにはまだ一度も行ったことはありませんが、地元の道場で日々柔道に打ち込んでいます。
道場で子どもたちを指導しているのは、現在72歳の祖父・ヨージェフさん。12歳で柔道を始めて60年、四段の猛者です。道場の切り盛りで忙しく、ニッポンにはまだ一度も行ったことがありませんが、「せめて講道館の空気だけでも吸ってみたい……それが60年来の夢なんです」と語ります。
「私たちは柔道が大好きなので、孫と2人でどうしてもニッポンに行ってみたいです」とヨージェフさん。アイシャちゃんも、柔道オリンピック金メダリストの兄妹、阿部一二三選手・詩選手に会いたいと願っています。
そんな2人を、ニッポンにご招待! 付き添いの母・リーヴィアさんと一緒に初来日を果たしました。
向かったのは、大阪府柏原市で武道具の製造販売を行う老舗「九櫻」。パリ五輪では、九櫻の柔道着を約30の国と地域の選手が着用しました。実はヨージェフさん、50年前に手に入れたニッポンの柔道着を愛用しており、日本製の頑丈で着心地の良い道着がどのように作られているか見たいそう。
迎えてくださったのは、六代目社長の三浦正彦さんと工場長の早川悦史さん。柔道着は2枚の生地を太い糸で縫い合わせる「刺子織」で作られているそう。柔道着の上衣は、頑丈で動きやすい刺子生地でなければならないという決まりがあります。
1940年代までは手刺しが主流で、70年代後半には機械刺しに。「九櫻」では、今も50年前の織機で一から生地作りをしています。約90年前の手刺しの柔道着も見せていただき、「最高の柔道着を作るための皆さんの努力と、道着に込められた愛情に本当に感動しました」とヨージェフさん。
別れの時、2人に柔道着と帯のプレゼントが! さらに、道場の子どもたちへのお土産にと、道場名を刺繡したタグを人数分作ってくださいました。ヨージェフさんは「一生の宝物です。このことは絶対忘れません」と感謝を伝えました。
「九櫻」の皆さん、本当にありがとうございました!
向かったのは東京・文京区にある講道館。全日本柔道連盟の本部もあり、世界中から柔道家が出稽古に訪れる柔道の聖地です。半世紀以上憧れ続けた聖地を訪れ、ヨージェフさんは男泣き!
道着に着替えて更衣室を出ると、オリンピックで柔道史上初の3連覇を達成した野村忠宏さんが! 突然のお願いにもかかわらず、快く記念写真を撮らせてくださいました。
そして、阿部一二三選手が勝った「東京2020オリンピック」男子66キロ級の代表決定戦の地、大道場へ。憧れの大道場に立ったヨージェフさんは大興奮!
さらに、講道館での稽古も。入門手続きを行い、練習料を払えば稽古ができるそう。終了後は、館長の上村春樹九段から直々に入門許可証をいただきました。
続いて、神奈川県横浜市にある「朝飛道場」へ。小学生の団体戦で14度の全国優勝を誇る強豪チームです。こちらでアイシャちゃんは同世代の子たちと練習を。ヨージェフさんは指導法を学ばせていただきます。
まずは準備運動。股関節の柔軟性を鍛える「アヒル歩き」など、ハンガリーではやったことのない動きばかり。相手を投げるまでの動作を繰り返す「打ち込み」は、ハンガリーでもやっている練習ですが、体格差のある相手とは初めて。普段できていることもなかなか上手くいきません。
するとヨージェフさんから「お前はここに何をしに来たんだ?」と厳しい言葉が。初めて挑戦する「飛び込み受け身」でも叱咤され、「ニッポンの練習なんてやったことないし、いつも通りなんてできないよ……」と涙を流します。
普段は優しいヨージェフさんですが、ハンガリーを代表して来たという気負いもあり、厳しい言葉が出てしまったよう。こうして初日の稽古は途中で断念することに。
2日目は、朝飛大先生の提案で、女子だけで稽古を。ヨージェフさんはお留守番です。
まずは代表的な技の1つ「背負投」。指導してくださる朝飛先生の特製柔道着の襟には、握る位置を示す数字と、握りの深さで色が変わる仕掛けが。さらに袖には、位置を示す数字とゴリラのマークも。
柔道では組み手の持ち方が重要で、位置や深さによって技のかかりが変わります。数字やマークで理解しやすくなり、アイシャちゃんも力強い背負投に成功! 朝飛先生が考案した寝技「すそ返し」もマスターし、笑顔で稽古をやり遂げることができました。
稽古の後は、歓迎会。初日から声をかけてくれた久保山仁菜ちゃんを始め、道場のみんなと打ち解けたところで朝飛先生から発表が。家族に練習の成果を見せる試合「朝飛道場杯」の団体戦に、アイシャちゃんも出場することに!
翌日の稽古は休みで、ヨージェフさんは朝飛先生に誘われ、横浜の山下公園へ。嘉納治五郎が海外からの帰国途中に逝去した「氷川丸」に向かい、手を合わせます。
朝飛先生から「昨日はアイシャちゃんがいい顔で練習ができていた」と聞いたヨージェフさん。初日は、普段できることができない様子を見て悔しかったそうですが、「彼女はまだ10歳。初めてのニッポンで、できなくて当たり前ですね」と。
「教え子をたくさん柔道ファンにするように頑張りましょう」と朝飛先生。子どもに柔道を指導する仲間同士、固い握手を交わしました。
一方のアイシャちゃんは仲良くなった仁菜ちゃんとおでかけ。クレープを食べながら、「道場に初めて行った時、すぐに近くに来てくれて心強かったんだ」と感謝を伝えます。試合に向けて、2人で「がんばろう!」と励まし合いました。
稽古3日目は「すそ返し」を猛特訓。初めて見る技に、ヨージェフさんが「すごいじゃないか!」と驚く場面も。
その後も連日稽古を重ね、最終日。保護者が見守る中、朝飛道場杯が始まります。
試合は4チームの2リーグ制で、アイシャちゃんは7組の先鋒。1試合目は一本負けで涙を見せましたが、「自分との勝負だ」というヨージェフさんの言葉で落ち着きを取り戻し、2試合目は「大外刈」で一本勝ち! 7組は初勝利を収めます。
最終戦では敗れたものの、涙はありません。決勝進出はなりませんでしたが、稽古の成果を見せることができました。
そして、別れの時。アイシャちゃんは「みんなのように強くなれるよう努力します。みんな大好き、また会おうね」と伝えます。
すると、朝飛先生からプレゼントが! ヨージェフさんには数字やマークがついた特製柔道着、アイシャちゃんには朝飛道場の柔道着を。漢字表記の名前も入り、大感激! 最後に皆さんとハグを交わし、別れを惜しみました。
朝飛先生、道場の皆さん、本当にありがとうございました!
そして、2人に驚きの報告が。阿部兄妹にアイシャちゃんの思いを伝えたところ、稽古の合間に会ってくださることに!
やって来たのは、阿部兄妹が所属する「パーク24目黒道場」。憧れの選手を前に、アイシャちゃんは緊張! お2人とハグを交わし涙があふれます。
練習中の「大内刈」を見ていただくと、詩選手から「上手です!」と嬉しい言葉が。得意の「大腰」も誉めていただきました。「大外刈り」の技を受けてくださった一二三選手からは、技に入る前に相手の体勢を崩すことが大切だとアドバイスも。
その後も練習は続き、「もう教えることはないですね」と詩選手。すると「2人は小学生の時から強かったんですか?」とアイシャちゃん。
「私は小6まで優勝できなかった」と詩選手。柔道を始めたのは一二三選手が6歳、詩選手は5歳の時。詩選手はそこそこ強かったそうですが、一二三選手は女子に負けることも。「焦らずゆっくり楽しく柔道を続けて、強くなりたい、世界一になりたいって思った時に、本気で向き合えたらいいんじゃないかなと思います」と話してくださいました。
さらに「小学生の頃、練習に行きたくない日もありましたか?」との質問も。アイシャちゃんは、稽古に行きたくないと言うと、お母さんに怒られてしまうそう。
詩選手は、畳の上に立つ自分が好きで楽しかったから、行きたくない時も頑張ろうと思えたとのこと。「お母さんが鬼に見えたりするけど、『連れて行ってくれてありがとう』っていつか思える日が来るから」と励ましの言葉もいただきました。
最後に、東京とパリの金メダルを首にかけていただき、記念撮影。詩選手が世界選手権で着ていたジャージもいただき、大感激! 「憧れの選手と練習できて、夢を見ているみたい」と大興奮のアイシャちゃんでした。
阿部一二三選手、詩選手、本当にありがとうございました!
柔道を通じて、様々な学びがあったニッポン滞在。帰国を前に、「ニッポンに来て柔道がもっと好きになりました。これからも一生懸命頑張ります」とアイシャちゃん。ヨージェフさんも「60年間行きたいと願っていたニッポンで、本当に多くのことを学ぶことができました。どこに行ってもニッポンの皆さんは優しくて、心の支えになりました。本当にありがとうございました」と語ってくれました。
アイシャちゃん、ヨージェフさん、またの来日をお待ちしています!
続いて紹介するのは、フランス在住の「浮世絵」を愛するブノワさん。
世界初のフルカラー印刷ともいわれる、ニッポンの多色摺り木版画「浮世絵」。1つの作品に複数の版木を作成し、色鮮やかな絵の具をのせて1枚の和紙に重ね、摺っていきます。
浮世絵が完成するまでには、多くの職人が携わっています。浮世絵のもとになる下絵を描くのが絵師で、描いたデザインを版木に彫るのが彫師。この版木が摺師の手に渡ると、わずか数種類の絵の具で無限の色を生み出し、木版画ならではの美しいグラデーションに。
フランスの古物市で見つけた歌川広重の作品に感銘を受け、ニッポンの浮世絵の虜になったブノワさん。ニッポンには一度も行ったことがありませんが、独学で浮世絵のデザインから摺りまでを一人でこなしています。
そんなブノワさんを、ニッポンにご招待! 2017年に初来日を果たしました。
向かったのは、茨城県常総市にある「渡辺木版」。彫師の渡辺和夫さん、摺師の吉田秀夫さんがコンビを組み、50年以上。主に手がけるのは江戸時代の浮世絵です。今回は、歌川広重の「大はしあたけの夕立」を摺るところを見せていただくことに。
まず、地墨という黒い絵の具で輪郭を摺ります。そして、湿らせた版木の上に水で溶いた絵の具を。そこに糊を加えて刷毛でならし、湿らせた越前手漉き和紙をのせ、摺っていきます。水で湿らせた状態で摺ると、紙の繊維の中まで絵の具が浸透。湿度の高いニッポンの風土で育まれた技法です。
各版木には、和紙を置く際の目印「見当」が。見当に合わせることで何枚摺ってもずれないのですが、湿らせた和紙や版木は伸び縮みするため、午前と午後でずれてしまうことも。そこで摺師は、見当の位置を削ったり、継ぎ足したりしながら調整しています。
そして、摺師の最大の見せ場が、低く垂れ込める雨雲を表現する「当てなしぼかし」と呼ばれる高等技法。ぼかしは版木に彫ることができないため、その形は摺師の加減によって作られます。
夕立の激しさを表現する技も。彫師は下絵をもとに、雨となる細い線と線との間を彫るのですが、真っすぐの線を彫るのは難しく、集中力のいる技です。摺師は、雨の角度が違う2枚の版木の1枚目に薄い絵の具、2枚目には濃い絵の具を。奥の薄い雨と手前の濃い雨が交差することで、雨の強弱が表現されます。
彫師と摺師による職人技に感動したブノワさん。最後に吉田さんから「頑張ってください」と激励の言葉をいただきました。
続いて、神奈川県大磯町にある「ばれん工房 菊英」へ。日本でも数少ない伝統的な「本ばれん」を作る職人、後藤英彦さんにお世話になります。実はブノワさん、摺りの技術を高めるため、ばれんについて学びたいと話していました。
浮世絵をはじめ、木版画の出来不出来を決めるのが、日本独自の摺り道具「ばれん」。最上級の本ばれんになると、約15万円のものも。
ばれんの構造は、外側の「包み皮」、それに包まれた「当て皮」、そして内側の、紙に力を伝える心臓部「ばれん芯」。その作り方を見せていただくことに。
後藤さんによると、当て皮を作るには7〜8ヵ月。150年ほど前の大福帳を使うのがこだわりです。原料の楮の質が高く、丈夫なのだとか。
その和紙を円形に切り取り、柿渋を混ぜた「渋糊」で糊付け。柿渋の効果で防水性が高まり、強度も格段に増すそう。1枚和紙を貼ったら、丸1日以上かけて完全に乾燥。これを50枚ほど貼るため、貼り終わるまでに最低50日は必要です。
その上に絹布を貼り、漆を7~8回塗り重ね、当て皮が完成。摺師に負担をかけないよう、なるべく軽くしています。さらに、和紙が持つ適度な弾力性が細かい凹凸の感触を伝えてくれるそうで、いわば摺師の目ともいうべき重要な存在なのです。
そして作品の仕上がりを左右するのが、ばれん芯。素材は皮白竹という竹の皮で、真竹よりも筋目がきつく、丈夫で硬い芯を作ることができるそう。厚みが均一な部分だけを選んで水に浸し、指でもみながら柔らかくしていきます。
内側の甘皮をはがし、丈夫な繊維を残したら、専用の針で皮を割き、幅も長さもほぼ均一な状態に。編んだ時に綱の太さにばらつきが出ないよう、この段階でまた選別します。
細く裂いた竹の皮で、ばれんの芯となる綱を編み、ねじりながら縒り合わせ、基本となる「2コ縒り」の状態に。ここから4コ縒り、8コ縒りと太いものを作り、円形に巻いたら完成。江戸時代から伝わる技術で、こぶ状の突起に圧力が集中し、きれいな摺り上がりに。
この後ブノワさんは、効きの弱いものから強いものまで、5種類のばれんで摺り上がりの差を体験させていただきました。
ばれんの奥深さを学んだ後は、美味しい魚と地酒で歓迎会。大いに盛り上がり、古くからの友人のように気持ちが通じ合ったブノワさんと後藤さん。最後に、貴重な包み皮用の皮白竹をいただきました。
あれから7年。帰国後、ブノワさんは自分の村で竹林を発見し、採取した竹皮で包み皮を交換。しかし、自分で補修したばれんでは濃い色に摺れず、悩んでいました。後藤さんからいただいた皮白竹があるものの、貴重なものなので、正しい補修の仕方がわからないうちは使えないそう。そこで後藤さんが直接フランスに行き、ばれんの補修の仕方を伝えることに!
夜遅くフランスに到着した後藤さんは、パリ市内で宿泊。翌日、ブノワさんのもとに内緒で向かいます。一刻も早く会いたいと、車で走ること7時間。ボルドー地方のセロンスに到着しました。
後藤さんと対面したブノワさんは、「ウソでしょ!?」と大感激で何度もハグを交わします。7年経っても、お互いの友情は変わりません。
再会を祝してワインで乾杯した後は、2階のアトリエへ。そこには、フランス・ブルターニュ地方の美しい海岸を描いた最新作が。この他、ブルターニュ地方がテーマの木版画全集に掲載され、ブルターニュの美術館にも所蔵された作品も。さらに、フランスの映画配給会社から依頼され、黒澤明監督の「羅生門」DVDボックスのジャケットも制作したそう。
浮世絵作家として順風満帆に見えるブノワさんですが、自ら採った竹皮でばれんを包むと、濃い色が上手く表現できないのが悩み。何十回も重ね摺りしては濃くしています。
後藤さんによると、ブノワさんの竹皮は厚く、「繊細なばれんに使うのは難しい」とのこと。包み皮が厚いと、和紙に圧を与えるばれん芯の効果が伝わらず、色が薄まりムラが。一方、後藤さんの皮白竹は光を通すほど薄く、ばれん芯の圧を最大限に引き出すことができます。
ここで後藤さんから、皮白竹50枚のプレゼントが! 補修の道具もくださり、皮白竹で包み皮の交換の練習をすることに。
持ち手は緩いと繊細な摺りの力が伝わらないため、しっかり締めるための指の使い方も伝授。4時間にわたる指導の結果、理想通りの濃い色を一発で出すことができました。
「悩みが解決できて最高です」と大喜びのブノワさん。
翌日、ブノワさんから後藤さんにお願いが。実は木版画の展覧会に招聘され、新作の版木を彫り上げたそう。そこで、色や技法などについて、かつて摺師の修業を積んだ後藤さんの力を借りたいというのです。展覧会の開催は明日。主催者は了承済みということで、早速構想を練ることに。
色は、葛飾北斎の代名詞「北斎ブルー」と呼ばれる藍色の一色摺り。生まれ変わったブノワさんのばれんを使い、「木目摺り」で摺っていきます。
木目摺りは、版木の木目を生かした立体感が増す技法。木目に沿って力強く小刻みに動かすことでばれん芯の圧が伝わり、和紙にしっかり写せるのだとか。
試行錯誤すること8時間、ブノワさんと後藤さんの共同作品が完成! フランスサッカー界のレジェンド、ウジェーヌ・マエスを描いた作品で、背景の木目が奥行きと陰影を表現しています。ブノワさんは「木目がこんなに出るんですね!」と感嘆。後藤さんに感謝を伝えました。
翌日展覧会に向かうと、お客さんの評判も上々! 2人の作品は多くのフランス人に見てもらえるよう、その後も展示してもらえることに。
そして、別れの時。「短かったけど、会えてすごく嬉しかったです」とブノワさん。後藤さんも思いを込めた手紙を読み上げ、「これからも変わらず、ブノワさんとの友情を続けていきたいと思っています」と伝えました。
最後にブノワさんから、ワインとシャンパン、自家製フォアグラのお土産を。すると後藤さんから、最高級の本ばれんの置き土産が! 後藤さんの師匠から形見分けとして託された本ばれんです。
恐縮するブノワさんでしたが、「後藤さんに見せても恥ずかしくないような作品を作り続けます!」と意気込みを。後藤さんがばれんに込めた思いは、ブノワさんにしっかり受け継がれました。
ブノワさんの力になることができ、7年ぶりに絆を確かめ合えた1週間のフランス滞在。帰国を前に後藤さんは、「ブノワさんとは今まで以上に酒飲み友達になれたし、頑張っている姿を見たら、こちらも元気をもらえました」と語ってくださいました。
ブノワさん、後藤さん、末長く友情を育んでいってください!
月曜夜8時からは、月曜プレミア8「世界!ニッポン行きたい人応援団」【かつお節を愛すアメリカ人】を放送。
▼“かつお節”で人生変わっちゃった
カツオが手に入りづらくマグロ節作りに励んでいるアメリカのケンさんをご招待!西伊豆で創業143年のカネサ鰹節商店で江戸時代から続く手火山式焙乾法での“かつお節”作りを学ぶ。あれから8年…ニッポンで学んだ“本枯節”作りに挑戦!さらに出汁を使ったレシピ本を出版するなど人生が激変!一方、カネサ鰹節商店の5代目・芹沢さんも文化を継承すべく奮闘!娘が誕生する嬉しい報告も♪
▼スゴイ方々が応援してくれちゃった♪
将棋界のレジェンド・羽生善治さん、大相撲界の新星・尊富士関、奄美大島の歌姫・元ちとせさん、さらには新時代「令和」の元号を発表した元総理まで…外国人の本気の熱意に賛同し快く出演していただいたスゴイ方々との感動の対面シーンをもう一度!さらに、そんなスゴイ方々と出会えた外国人たちはいま…どうしている?
今回は、「ニッポンにご招待したらスゴい人が応援してくれちゃった!スペシャル」【あの人にもう一度会いたい!ナイショで出張応援団inフランス】をお届けします。
【動画】「世界!ニッポン行きたい人応援団」最新回
横浜の名門道場で猛稽古! 憧れの阿部兄妹との対面も
紹介するのは、ハンガリー在住の柔道を愛するアイシャちゃん。
ニッポン発祥の武道「柔道」。創始者の嘉納治五郎は、敵を倒す技であった柔術をもとに心身の鍛錬と人間教育の道として柔道を確立。今や世界208の国と地域に普及し、老若男女に愛されています。
柔道家の祖父の影響で、7歳で柔道を始めたアイシャちゃん。始めて3年で多くのメダルを獲得し、ポーランドで行われた国際大会では見事3位に! ニッポンにはまだ一度も行ったことはありませんが、地元の道場で日々柔道に打ち込んでいます。
道場で子どもたちを指導しているのは、現在72歳の祖父・ヨージェフさん。12歳で柔道を始めて60年、四段の猛者です。道場の切り盛りで忙しく、ニッポンにはまだ一度も行ったことがありませんが、「せめて講道館の空気だけでも吸ってみたい……それが60年来の夢なんです」と語ります。
「私たちは柔道が大好きなので、孫と2人でどうしてもニッポンに行ってみたいです」とヨージェフさん。アイシャちゃんも、柔道オリンピック金メダリストの兄妹、阿部一二三選手・詩選手に会いたいと願っています。
そんな2人を、ニッポンにご招待! 付き添いの母・リーヴィアさんと一緒に初来日を果たしました。
向かったのは、大阪府柏原市で武道具の製造販売を行う老舗「九櫻」。パリ五輪では、九櫻の柔道着を約30の国と地域の選手が着用しました。実はヨージェフさん、50年前に手に入れたニッポンの柔道着を愛用しており、日本製の頑丈で着心地の良い道着がどのように作られているか見たいそう。
迎えてくださったのは、六代目社長の三浦正彦さんと工場長の早川悦史さん。柔道着は2枚の生地を太い糸で縫い合わせる「刺子織」で作られているそう。柔道着の上衣は、頑丈で動きやすい刺子生地でなければならないという決まりがあります。
1940年代までは手刺しが主流で、70年代後半には機械刺しに。「九櫻」では、今も50年前の織機で一から生地作りをしています。約90年前の手刺しの柔道着も見せていただき、「最高の柔道着を作るための皆さんの努力と、道着に込められた愛情に本当に感動しました」とヨージェフさん。
別れの時、2人に柔道着と帯のプレゼントが! さらに、道場の子どもたちへのお土産にと、道場名を刺繡したタグを人数分作ってくださいました。ヨージェフさんは「一生の宝物です。このことは絶対忘れません」と感謝を伝えました。
「九櫻」の皆さん、本当にありがとうございました!
向かったのは東京・文京区にある講道館。全日本柔道連盟の本部もあり、世界中から柔道家が出稽古に訪れる柔道の聖地です。半世紀以上憧れ続けた聖地を訪れ、ヨージェフさんは男泣き!
道着に着替えて更衣室を出ると、オリンピックで柔道史上初の3連覇を達成した野村忠宏さんが! 突然のお願いにもかかわらず、快く記念写真を撮らせてくださいました。
そして、阿部一二三選手が勝った「東京2020オリンピック」男子66キロ級の代表決定戦の地、大道場へ。憧れの大道場に立ったヨージェフさんは大興奮!
さらに、講道館での稽古も。入門手続きを行い、練習料を払えば稽古ができるそう。終了後は、館長の上村春樹九段から直々に入門許可証をいただきました。
続いて、神奈川県横浜市にある「朝飛道場」へ。小学生の団体戦で14度の全国優勝を誇る強豪チームです。こちらでアイシャちゃんは同世代の子たちと練習を。ヨージェフさんは指導法を学ばせていただきます。
まずは準備運動。股関節の柔軟性を鍛える「アヒル歩き」など、ハンガリーではやったことのない動きばかり。相手を投げるまでの動作を繰り返す「打ち込み」は、ハンガリーでもやっている練習ですが、体格差のある相手とは初めて。普段できていることもなかなか上手くいきません。
するとヨージェフさんから「お前はここに何をしに来たんだ?」と厳しい言葉が。初めて挑戦する「飛び込み受け身」でも叱咤され、「ニッポンの練習なんてやったことないし、いつも通りなんてできないよ……」と涙を流します。
普段は優しいヨージェフさんですが、ハンガリーを代表して来たという気負いもあり、厳しい言葉が出てしまったよう。こうして初日の稽古は途中で断念することに。
2日目は、朝飛大先生の提案で、女子だけで稽古を。ヨージェフさんはお留守番です。
まずは代表的な技の1つ「背負投」。指導してくださる朝飛先生の特製柔道着の襟には、握る位置を示す数字と、握りの深さで色が変わる仕掛けが。さらに袖には、位置を示す数字とゴリラのマークも。
柔道では組み手の持ち方が重要で、位置や深さによって技のかかりが変わります。数字やマークで理解しやすくなり、アイシャちゃんも力強い背負投に成功! 朝飛先生が考案した寝技「すそ返し」もマスターし、笑顔で稽古をやり遂げることができました。
稽古の後は、歓迎会。初日から声をかけてくれた久保山仁菜ちゃんを始め、道場のみんなと打ち解けたところで朝飛先生から発表が。家族に練習の成果を見せる試合「朝飛道場杯」の団体戦に、アイシャちゃんも出場することに!
翌日の稽古は休みで、ヨージェフさんは朝飛先生に誘われ、横浜の山下公園へ。嘉納治五郎が海外からの帰国途中に逝去した「氷川丸」に向かい、手を合わせます。
朝飛先生から「昨日はアイシャちゃんがいい顔で練習ができていた」と聞いたヨージェフさん。初日は、普段できることができない様子を見て悔しかったそうですが、「彼女はまだ10歳。初めてのニッポンで、できなくて当たり前ですね」と。
「教え子をたくさん柔道ファンにするように頑張りましょう」と朝飛先生。子どもに柔道を指導する仲間同士、固い握手を交わしました。
一方のアイシャちゃんは仲良くなった仁菜ちゃんとおでかけ。クレープを食べながら、「道場に初めて行った時、すぐに近くに来てくれて心強かったんだ」と感謝を伝えます。試合に向けて、2人で「がんばろう!」と励まし合いました。
稽古3日目は「すそ返し」を猛特訓。初めて見る技に、ヨージェフさんが「すごいじゃないか!」と驚く場面も。
その後も連日稽古を重ね、最終日。保護者が見守る中、朝飛道場杯が始まります。
試合は4チームの2リーグ制で、アイシャちゃんは7組の先鋒。1試合目は一本負けで涙を見せましたが、「自分との勝負だ」というヨージェフさんの言葉で落ち着きを取り戻し、2試合目は「大外刈」で一本勝ち! 7組は初勝利を収めます。
最終戦では敗れたものの、涙はありません。決勝進出はなりませんでしたが、稽古の成果を見せることができました。
そして、別れの時。アイシャちゃんは「みんなのように強くなれるよう努力します。みんな大好き、また会おうね」と伝えます。
すると、朝飛先生からプレゼントが! ヨージェフさんには数字やマークがついた特製柔道着、アイシャちゃんには朝飛道場の柔道着を。漢字表記の名前も入り、大感激! 最後に皆さんとハグを交わし、別れを惜しみました。
朝飛先生、道場の皆さん、本当にありがとうございました!
そして、2人に驚きの報告が。阿部兄妹にアイシャちゃんの思いを伝えたところ、稽古の合間に会ってくださることに!
やって来たのは、阿部兄妹が所属する「パーク24目黒道場」。憧れの選手を前に、アイシャちゃんは緊張! お2人とハグを交わし涙があふれます。
練習中の「大内刈」を見ていただくと、詩選手から「上手です!」と嬉しい言葉が。得意の「大腰」も誉めていただきました。「大外刈り」の技を受けてくださった一二三選手からは、技に入る前に相手の体勢を崩すことが大切だとアドバイスも。
その後も練習は続き、「もう教えることはないですね」と詩選手。すると「2人は小学生の時から強かったんですか?」とアイシャちゃん。
「私は小6まで優勝できなかった」と詩選手。柔道を始めたのは一二三選手が6歳、詩選手は5歳の時。詩選手はそこそこ強かったそうですが、一二三選手は女子に負けることも。「焦らずゆっくり楽しく柔道を続けて、強くなりたい、世界一になりたいって思った時に、本気で向き合えたらいいんじゃないかなと思います」と話してくださいました。
さらに「小学生の頃、練習に行きたくない日もありましたか?」との質問も。アイシャちゃんは、稽古に行きたくないと言うと、お母さんに怒られてしまうそう。
詩選手は、畳の上に立つ自分が好きで楽しかったから、行きたくない時も頑張ろうと思えたとのこと。「お母さんが鬼に見えたりするけど、『連れて行ってくれてありがとう』っていつか思える日が来るから」と励ましの言葉もいただきました。
最後に、東京とパリの金メダルを首にかけていただき、記念撮影。詩選手が世界選手権で着ていたジャージもいただき、大感激! 「憧れの選手と練習できて、夢を見ているみたい」と大興奮のアイシャちゃんでした。
阿部一二三選手、詩選手、本当にありがとうございました!
柔道を通じて、様々な学びがあったニッポン滞在。帰国を前に、「ニッポンに来て柔道がもっと好きになりました。これからも一生懸命頑張ります」とアイシャちゃん。ヨージェフさんも「60年間行きたいと願っていたニッポンで、本当に多くのことを学ぶことができました。どこに行ってもニッポンの皆さんは優しくて、心の支えになりました。本当にありがとうございました」と語ってくれました。
アイシャちゃん、ヨージェフさん、またの来日をお待ちしています!
絆を結んだばれん職人がフランスへ!
続いて紹介するのは、フランス在住の「浮世絵」を愛するブノワさん。
世界初のフルカラー印刷ともいわれる、ニッポンの多色摺り木版画「浮世絵」。1つの作品に複数の版木を作成し、色鮮やかな絵の具をのせて1枚の和紙に重ね、摺っていきます。
浮世絵が完成するまでには、多くの職人が携わっています。浮世絵のもとになる下絵を描くのが絵師で、描いたデザインを版木に彫るのが彫師。この版木が摺師の手に渡ると、わずか数種類の絵の具で無限の色を生み出し、木版画ならではの美しいグラデーションに。
フランスの古物市で見つけた歌川広重の作品に感銘を受け、ニッポンの浮世絵の虜になったブノワさん。ニッポンには一度も行ったことがありませんが、独学で浮世絵のデザインから摺りまでを一人でこなしています。
そんなブノワさんを、ニッポンにご招待! 2017年に初来日を果たしました。
向かったのは、茨城県常総市にある「渡辺木版」。彫師の渡辺和夫さん、摺師の吉田秀夫さんがコンビを組み、50年以上。主に手がけるのは江戸時代の浮世絵です。今回は、歌川広重の「大はしあたけの夕立」を摺るところを見せていただくことに。
まず、地墨という黒い絵の具で輪郭を摺ります。そして、湿らせた版木の上に水で溶いた絵の具を。そこに糊を加えて刷毛でならし、湿らせた越前手漉き和紙をのせ、摺っていきます。水で湿らせた状態で摺ると、紙の繊維の中まで絵の具が浸透。湿度の高いニッポンの風土で育まれた技法です。
各版木には、和紙を置く際の目印「見当」が。見当に合わせることで何枚摺ってもずれないのですが、湿らせた和紙や版木は伸び縮みするため、午前と午後でずれてしまうことも。そこで摺師は、見当の位置を削ったり、継ぎ足したりしながら調整しています。
そして、摺師の最大の見せ場が、低く垂れ込める雨雲を表現する「当てなしぼかし」と呼ばれる高等技法。ぼかしは版木に彫ることができないため、その形は摺師の加減によって作られます。
夕立の激しさを表現する技も。彫師は下絵をもとに、雨となる細い線と線との間を彫るのですが、真っすぐの線を彫るのは難しく、集中力のいる技です。摺師は、雨の角度が違う2枚の版木の1枚目に薄い絵の具、2枚目には濃い絵の具を。奥の薄い雨と手前の濃い雨が交差することで、雨の強弱が表現されます。
彫師と摺師による職人技に感動したブノワさん。最後に吉田さんから「頑張ってください」と激励の言葉をいただきました。
続いて、神奈川県大磯町にある「ばれん工房 菊英」へ。日本でも数少ない伝統的な「本ばれん」を作る職人、後藤英彦さんにお世話になります。実はブノワさん、摺りの技術を高めるため、ばれんについて学びたいと話していました。
浮世絵をはじめ、木版画の出来不出来を決めるのが、日本独自の摺り道具「ばれん」。最上級の本ばれんになると、約15万円のものも。
ばれんの構造は、外側の「包み皮」、それに包まれた「当て皮」、そして内側の、紙に力を伝える心臓部「ばれん芯」。その作り方を見せていただくことに。
後藤さんによると、当て皮を作るには7〜8ヵ月。150年ほど前の大福帳を使うのがこだわりです。原料の楮の質が高く、丈夫なのだとか。
その和紙を円形に切り取り、柿渋を混ぜた「渋糊」で糊付け。柿渋の効果で防水性が高まり、強度も格段に増すそう。1枚和紙を貼ったら、丸1日以上かけて完全に乾燥。これを50枚ほど貼るため、貼り終わるまでに最低50日は必要です。
その上に絹布を貼り、漆を7~8回塗り重ね、当て皮が完成。摺師に負担をかけないよう、なるべく軽くしています。さらに、和紙が持つ適度な弾力性が細かい凹凸の感触を伝えてくれるそうで、いわば摺師の目ともいうべき重要な存在なのです。
そして作品の仕上がりを左右するのが、ばれん芯。素材は皮白竹という竹の皮で、真竹よりも筋目がきつく、丈夫で硬い芯を作ることができるそう。厚みが均一な部分だけを選んで水に浸し、指でもみながら柔らかくしていきます。
内側の甘皮をはがし、丈夫な繊維を残したら、専用の針で皮を割き、幅も長さもほぼ均一な状態に。編んだ時に綱の太さにばらつきが出ないよう、この段階でまた選別します。
細く裂いた竹の皮で、ばれんの芯となる綱を編み、ねじりながら縒り合わせ、基本となる「2コ縒り」の状態に。ここから4コ縒り、8コ縒りと太いものを作り、円形に巻いたら完成。江戸時代から伝わる技術で、こぶ状の突起に圧力が集中し、きれいな摺り上がりに。
この後ブノワさんは、効きの弱いものから強いものまで、5種類のばれんで摺り上がりの差を体験させていただきました。
ばれんの奥深さを学んだ後は、美味しい魚と地酒で歓迎会。大いに盛り上がり、古くからの友人のように気持ちが通じ合ったブノワさんと後藤さん。最後に、貴重な包み皮用の皮白竹をいただきました。
あれから7年。帰国後、ブノワさんは自分の村で竹林を発見し、採取した竹皮で包み皮を交換。しかし、自分で補修したばれんでは濃い色に摺れず、悩んでいました。後藤さんからいただいた皮白竹があるものの、貴重なものなので、正しい補修の仕方がわからないうちは使えないそう。そこで後藤さんが直接フランスに行き、ばれんの補修の仕方を伝えることに!
夜遅くフランスに到着した後藤さんは、パリ市内で宿泊。翌日、ブノワさんのもとに内緒で向かいます。一刻も早く会いたいと、車で走ること7時間。ボルドー地方のセロンスに到着しました。
後藤さんと対面したブノワさんは、「ウソでしょ!?」と大感激で何度もハグを交わします。7年経っても、お互いの友情は変わりません。
再会を祝してワインで乾杯した後は、2階のアトリエへ。そこには、フランス・ブルターニュ地方の美しい海岸を描いた最新作が。この他、ブルターニュ地方がテーマの木版画全集に掲載され、ブルターニュの美術館にも所蔵された作品も。さらに、フランスの映画配給会社から依頼され、黒澤明監督の「羅生門」DVDボックスのジャケットも制作したそう。
浮世絵作家として順風満帆に見えるブノワさんですが、自ら採った竹皮でばれんを包むと、濃い色が上手く表現できないのが悩み。何十回も重ね摺りしては濃くしています。
後藤さんによると、ブノワさんの竹皮は厚く、「繊細なばれんに使うのは難しい」とのこと。包み皮が厚いと、和紙に圧を与えるばれん芯の効果が伝わらず、色が薄まりムラが。一方、後藤さんの皮白竹は光を通すほど薄く、ばれん芯の圧を最大限に引き出すことができます。
ここで後藤さんから、皮白竹50枚のプレゼントが! 補修の道具もくださり、皮白竹で包み皮の交換の練習をすることに。
持ち手は緩いと繊細な摺りの力が伝わらないため、しっかり締めるための指の使い方も伝授。4時間にわたる指導の結果、理想通りの濃い色を一発で出すことができました。
「悩みが解決できて最高です」と大喜びのブノワさん。
翌日、ブノワさんから後藤さんにお願いが。実は木版画の展覧会に招聘され、新作の版木を彫り上げたそう。そこで、色や技法などについて、かつて摺師の修業を積んだ後藤さんの力を借りたいというのです。展覧会の開催は明日。主催者は了承済みということで、早速構想を練ることに。
色は、葛飾北斎の代名詞「北斎ブルー」と呼ばれる藍色の一色摺り。生まれ変わったブノワさんのばれんを使い、「木目摺り」で摺っていきます。
木目摺りは、版木の木目を生かした立体感が増す技法。木目に沿って力強く小刻みに動かすことでばれん芯の圧が伝わり、和紙にしっかり写せるのだとか。
試行錯誤すること8時間、ブノワさんと後藤さんの共同作品が完成! フランスサッカー界のレジェンド、ウジェーヌ・マエスを描いた作品で、背景の木目が奥行きと陰影を表現しています。ブノワさんは「木目がこんなに出るんですね!」と感嘆。後藤さんに感謝を伝えました。
翌日展覧会に向かうと、お客さんの評判も上々! 2人の作品は多くのフランス人に見てもらえるよう、その後も展示してもらえることに。
そして、別れの時。「短かったけど、会えてすごく嬉しかったです」とブノワさん。後藤さんも思いを込めた手紙を読み上げ、「これからも変わらず、ブノワさんとの友情を続けていきたいと思っています」と伝えました。
最後にブノワさんから、ワインとシャンパン、自家製フォアグラのお土産を。すると後藤さんから、最高級の本ばれんの置き土産が! 後藤さんの師匠から形見分けとして託された本ばれんです。
恐縮するブノワさんでしたが、「後藤さんに見せても恥ずかしくないような作品を作り続けます!」と意気込みを。後藤さんがばれんに込めた思いは、ブノワさんにしっかり受け継がれました。
ブノワさんの力になることができ、7年ぶりに絆を確かめ合えた1週間のフランス滞在。帰国を前に後藤さんは、「ブノワさんとは今まで以上に酒飲み友達になれたし、頑張っている姿を見たら、こちらも元気をもらえました」と語ってくださいました。
ブノワさん、後藤さん、末長く友情を育んでいってください!
月曜夜8時からは、月曜プレミア8「世界!ニッポン行きたい人応援団」【かつお節を愛すアメリカ人】を放送。
▼“かつお節”で人生変わっちゃった
カツオが手に入りづらくマグロ節作りに励んでいるアメリカのケンさんをご招待!西伊豆で創業143年のカネサ鰹節商店で江戸時代から続く手火山式焙乾法での“かつお節”作りを学ぶ。あれから8年…ニッポンで学んだ“本枯節”作りに挑戦!さらに出汁を使ったレシピ本を出版するなど人生が激変!一方、カネサ鰹節商店の5代目・芹沢さんも文化を継承すべく奮闘!娘が誕生する嬉しい報告も♪
▼スゴイ方々が応援してくれちゃった♪
将棋界のレジェンド・羽生善治さん、大相撲界の新星・尊富士関、奄美大島の歌姫・元ちとせさん、さらには新時代「令和」の元号を発表した元総理まで…外国人の本気の熱意に賛同し快く出演していただいたスゴイ方々との感動の対面シーンをもう一度!さらに、そんなスゴイ方々と出会えた外国人たちはいま…どうしている?
記事提供元:テレ東プラス
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