コラム【本州湾岸を反時計に一周】044 ハピラインふくい⑥ 2024年8月28日
※2024年8月28日撮影
トップ画像、今庄駅を出発した列車の右(西)車窓。今庄駅舎です。
駅舎には「今庄まちなみ情報館」「観光案内所」「土産販売店」などがあります。「今庄まちなみ情報館」には、北陸トンネル開通以前の北陸本線旧線(通称:杉津線)のスイッチ・バックや廃止された駅の事、1955年当時の今庄駅のジオラマなどが展示されています。とても丁寧に作り込まれた展示で、一見の価値があります。
同じく、右車窓。畠山酒造、このような深い山の中に日本酒の蔵があるのですね。日本酒好きとしては、まず味わってみたくなります。そう言えば「雪きらら」、今庄駅の土産物販売店にありましたね。(笑)
※2024年8月28日撮影
いよいよ狭軌(1067mm)鉄道の山岳トンネルでは日本最長の北陸トンネル(13,870m)に向かいます。
※2024年8月28日撮影
今庄駅の標高は、126mでした。向かっている南今庄駅の標高は156m、高低差30mを駅間2.6kmで上ります。11.5パーミルは、最新型の電車には、全く痛痒ありません。
※2024年8月28日撮影
北陸トンネルが開通する前の旧線時代にはなかった今庄トンネル(855m)です。
※2024年8月28日撮影
南今庄駅の予告票。単線だった旧線跡に右下の県道が作られました。
※2024年8月28日撮影
相対式ホーム2面2線の駅が見えました。
※2024年8月28日撮影
1962年の北陸トンネル開通後、旧線にあった大桐駅が廃止されたことで新設された駅です。右の県道(旧線跡)を2.5kmほど進むと大桐駅跡があり、ホームの一部が保存されています。
※2024年8月28日撮影
短いトンネルが見えます。
※2024年8月28日撮影
駅名標。
※2024年8月28日撮影
既述の様に。1962年(昭和37年)北陸トンネル開通時に北陸トンネルの坑口から300ほどの場所に新設された駅です。JR西日本を経て、2024年3月からハピラインふくいの駅です。次の敦賀駅までの駅間は、16.6kmもありますが、そのうち13.87kmは北陸トンネルです。
駅を出発しました。県道沿いにあるちょっと立派な建物は「鹿蒜(かひる)西部地区農業集落排水処理施設」。
※2024年8月28日撮影
この短いトンネルの銘板が見つけられず、名称・長さは不明です。
※2024年8月28日撮影
出るとすぐにまたトンネルです。右手前は「鹿蒜西部地区農業集落排水処理施設」の裏側。
※2024年8月28日撮影
銘板に「北陸 13870m」と書かれています。北陸トンネルの坑口です。
※2024年8月28日撮影
「今庄まちなみ情報館」に旧線と北陸トンネル開通後との高低差比較がパネルになっていました。とても分かり易いので参照させていただきます。
※「今庄まちなみ情報館」の展示パネルから
北陸本線旧線は、蒸気機関車の限界と言われる斜度25パーミルの急勾配をスイッチ・バックしながら265mの山中信号場まで上って行ったのです。しかも単線でした。上下列車のすれ違いには時間と手間、何よりも綿密な運転管理が必須だったと思われます。タイヘンだったでしょうね。
現在、杉津(すいづ)駅の跡地は、現在北陸自動車道上り線の杉津PA(パーキングエリア)に転用されています。
北陸本線旧線を御用列車で旅されていた東宮時代の大正天皇が、杉津駅で予定よりも長く列車を止める様に願われ、見事な敦賀湾の眺望に見入ったという逸話が残っています。
それほど駅からの眺めが素晴らしかったのですね。
旧線にあった大桐駅、杉津駅、新保駅の3駅やスイッチ・バックの信号場は、廃止されています。強いて言えば、南今庄駅は、大桐駅の代替(2.5kmほど離れていますが)として新設されました。
2016年に「旧北陸本線トンネル群」は、その歴史的価値が認められて国の登録有形文化財になっています。
筆者も北陸自動車道の杉津PAに行って大正天皇が魅せられたという敦賀湾の眺望を堪能してみたい!
冬が終わったら、旧北陸本線の跡をレンタカーでたどってみたいと本気で考え始めています。まぁ、体力と資金の問題がクリアできれば、という話ですが。(笑)
☆
長い長い北陸トンネルでした。16分ほどでようやく敦賀側に出ました。木ノ芽川を渡って北陸自動車道の高架線をくぐります。ちょうどハピラインふくいの下り列車と鉄橋ですれ違います。(望遠レンズなので、実際はまだ鉄橋の手前にいます)
※2024年8月28日撮影
交直セクションの表示がありました。
※2024年8月28日撮影
えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインの梶屋敷駅手前から、あいの風とやま鉄道線、IRいしかわ鉄道線、ハピラインふくい線を通じて、この先の交直セクションまで交流(20kV60Hz)の区間です。
※2024年8月28日撮影
この辺りが上り線の交直セクションではないかしら。
※2024年8月28日撮影
ハピラインふくいの交直電車が走る直流区間は、敦賀駅までの実質1kmちょっとという感じです。
むしろ筆者は、北陸本線琵琶湖北東部、長浜駅辺りの交直セクションで、特急列車の室内灯と空調が一時的に消えていた事を懐かしく思い出します。20年以上前の記憶ですが。(笑)
次回は、敦賀駅に到着です。
(文・写真) 住田至朗
※ハピラインふくいの許可をいただいて撮影しています。
※過去の写真はライター住田がプライベートで旅をした時のスナップ写真です。
※『JR路線大全 北陸・信越本線』(天夢人/2023)『国鉄の基礎知識』(創元社/2011)『停留場変遷大事典』(JTB/1998)『JR全駅・全車両基地』(週間朝日百科/60巻)他を参照しています。
記事提供元:鉄道チャンネル
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