絶品イクラ、旬を迎えた紅ズワイガニ「角上魚類」年末商戦の舞台裏:ガイアの夜明け
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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12月27日(金)に放送した「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは「角上魚類の2024年末商戦」。
関東を中心に23店舗を展開する鮮魚チェーン「角上魚類」。「うまい、新鮮、安い」がウリの「角上魚類」は、鮮魚専門店として1店舗あたりの売り上げが日本一。
そんな「角上魚類」にとっても、他の月の2倍の売り上げを見込む12月。どうすれば師走の食卓を彩る冬の味覚を“お値打ち”で届けられるのか。年末商戦に向けて闘う、バイヤーたちの舞台裏を追った。
【動画】絶品イクラ、旬を迎えた紅ズワイガニ「角上魚類」年末商戦の舞台裏
人気の鮮魚チェーンに異変…どうする年末商戦?
うまい魚で人を呼ぶ、鮮魚チェーン「角上魚類」。小平店(東京・東久留米市)は、関東を中心に展開する23店舗の中でも、随一の繁盛店。人気の理由は、市場のような雰囲気と専門店ならではの圧倒的な品ぞろえ、そして何よりお値打ち感だ。
脂が乗り、丸々と太ったアジが1尾160円。客も「めちゃくちゃおいしい。すごく鮮度がいい」と笑顔になる。
「角上魚類」の強みは、創業の地・新潟から直送される鮮度抜群の魚。朝、揚がったばかりの日本海の幸がお昼前には店頭に並ぶ。
仕入れが命の「角上魚類」だが、今、異変が起きていた。全国的な漁獲量の減少で、売る魚が足りないのだ。小平店・店長の川﨑真論さんは、今年は品不足の上、物価高で、値付けに迷い続けた1年だった。
そこで「角上魚類」の凄腕バイヤーたちは、年末商戦に向けて活路を見出そうと、独自の仕入れルートを求めて動き出す。
「角上魚類」のこだわり“新物イクラ”価格交渉の舞台裏
10月下旬、「角上魚類 美園本社」(さいたま市)。この日は、年末商戦に向けた恒例行事「イクラの品評会」が行われていた。国内外の水産加⼯会社16社からサンプルを取り寄せ、年末、店頭に並べるイクラを選ぶというもの。栁下浩伸社長自ら、一つ一つ食べ比べてジャッジする。最近は、サケより安いマスのイクラが増えているが、年末年始の「角上魚類」では、北海道産の秋鮭から取った“新物のイクラ”にこだわっている。
今年、国産のイクラは秋鮭の歴史的な不漁を受け、価格が去年の1.5倍に高騰した。そこで今回、海外産の安いイクラも候補に加えたが、栁下さんは角上のプライドをかけ、北海道産の新物を扱う決断をした。
栁下さんは「年末商戦でぜいたく品は、お客さんも楽しみにしている。商品部が北海道の産地に行って交渉して、できるだけ値上げせずお客さんに提供できるよう精一杯努力する」と話す。
11月。栁下さんの命を受け、「角上魚類」のバイヤーが北海道へ。商品調達本部 本部長のの有馬 徹さんは、品評会で評価が高かった水産物加工会社を訪ねた。筋子は道内で水揚げされたばかりの秋鮭のもので、質の良さが伺える。
「すごくいい卵。(サケが)川に戻ってくる時は、産卵する間近なので、卵がかみ切れないぐらい硬くなってしまうが、この時期にしては本当に柔らかい」(有馬さん)。
有馬さんは素材の良さに加え、水切りの時間やしょうゆだれの配合なども確認し、17トンもの量を買い付けた。早速価格の交渉に入るが、10円単位の探り合いが続いた末、値下げできたのは10円ほど。それでも、年末商戦にふさわしいイクラを仕入れることができた。
旬を迎えた“紅ズワイガニ”“能登の寒ブリ”を大量確保
「角上魚類」の本店は新潟・寺泊にあり、1974年、一軒の鮮魚店から始まった。今や従業員は1200人を超え、売上高426億円にまで成長。その原動力となった仕入れの拠点が、新潟市にある「地方卸売市場新潟市場」だ。
この日、有馬さんは冬の水揚げ状況を確かめにやって来たが、「今は魚が少ない」という。有馬さんは豊洲市場(東京・江東区)にいる鮮魚部 部長の呉井宏之さんに電話をかけ、新潟と豊洲、お互いの状況を確認しながらどんどん魚を買い付ける。
「角上魚類」が取扱う鮮魚は1カ月間で約700トン。しかし、近年の漁獲量の減少で、市場に魚が集まらない。有馬さんは 「(新潟と豊洲の)2カ所拠点でやるのはもう難しい。待っていても魚は来ない。こっちから動かいていかないと魚が集まらない」と話す。
有馬さんと呉井さんは、仕入れルートを開拓するため鳥取・境港市へ。ここで水揚げされていたのは旬を迎えた“紅ズワイガニ”で、山積みになったカニが700ケース、約20トンもある。だが、カニは鮮度が落ちやすく、これだけの量を生で売り切るのは大変なため、大半が地元の加工用に回り、安値で取引されてしまうそう。有馬さんは「うちだったら生出荷でOK」とアピールし、年末商戦に向けて大量に確保することができた。
「角上魚類」の新潟鮮魚課 課長の加藤雅章さんと新潟鮮魚課の木村利博さんは、さらに仕入れのルートを拡大するため、石川・七尾市へ。狙いは、冬の食卓に欠かせない脂の乗った寒ブリだ。
「角上魚類」では、地元・新潟の「佐渡のブリ」を看板商品としてきたが、最近は手に入りづらくなっていた。そこで年末商戦の目玉として、「能登の寒ブリ」に目を付けたのだ。
漁場に近いところなら大量に買い付けられると考えた加藤さんと木村さんは、ブリの定置網船団を率いる佐々波鰤網 副漁労長の大畠 要さんに会いに行く。
県内有数の水揚げを誇る七尾だが、能登地震の爪痕は深く残り、1年近くたった今も復興途上。多くの港が被害を受けた。ブリ漁の最盛期に起きた元日の大地震…この冬にかける漁師たちの思いは並々ならぬものがあった。
午前5時、加藤さんと木村さんが港へ行くと、定置網漁の船が戻ってきた。水揚げされたブリは丸々としており、脂が乗っているのがよく分かる。中には20キロの大物も。
この日は600本ぐらいのブリが水揚げされ、「角上魚類」は地元の市場を通じて、150本のブリを買い付けた。
翌朝、七尾から小平店に「能登の寒ブリ」が届く。身の繊維が細かく、上質な味わい…まさに冬の味覚の王者だ。年末商戦の目玉商品として売り出したのが「ぶりしゃぶ」で、狙い通り、客は次々から次へと手に取っていく。
「角上魚類で売ってほしい」知られざる安くてうまい魚を発掘!
「角上魚類」の販売力に、漁業関係者からも期待する声が上がっている。
愛媛・伊方町の沖合で漁を営む前田 隆さんは、これまで太刀魚やカレイ、ウマヅラハギなどを獲ってきたが、温暖化の影響で、10年程前から“夏の風物詩”といわれるハモが獲れだしたという。
「八幡浜市水産物地方卸売市場」(愛媛・八幡浜市)にもハモが。「ハモは時期的に夏場の魚のイメージがあるが、一番うまいのは今。ものすごく脂が乗っている」(市場関係者)。
この市場は愛媛県内で2番目の水揚げ高を誇るが、魚の種類は多いもののそれぞれの量が少なく、流通に乗せにくいのが悩み。愛媛県では、天然魚の販売が課題となっているのだ。
「天然魚はサイズが不ぞろいだったり、時期によって獲れたり獲れなかったりとかもある。対面販売の店でないと天然魚は売りづらい」と話すのは、愛媛県庁職員の稲井大典さん。
こうした漁業が抱える悩みを解決してほしいと、愛媛県が「角上魚類」に声をかけた。
一方の角上側も、安くておいしい地魚を手に入れるまたとないチャンスだった。有馬さんが興味を持ったのは「カイワリ」。関東ではあまり流通しない魚だが、シマアジのような味わいでおいしいそう。ハモも冬場の値段は夏の4分の1まで下がるため、有馬さんは、フライや天ぷらにすれば需要があると見込んだ。さらに、地元の人さえ見向きもしないという「タカノハダイ」も買い付け。「タカノハダイは雑魚扱いだが、食べたらうまい。うちが売る基準は、おいしいかおいしくないか」(有馬さん)。
翌朝、「角上魚類 つきみ野店」(神奈川・大和市)に、愛媛・八幡浜から魚が届く。鮮魚売り場で「愛媛フェア」を開催し、あのタカノハダイを始め20種類以上の地魚が並ぶが、果たして客の反応は――?
番組ではこの他、歴史的円安の影響もあり、価格が高騰している輸入サーモンを安く、安定的に確保するため、「角上魚類」がスタートさせたニッポン初の試みを紹介。
さらに、夏に日本海で捕獲した「本マグロ」を冬まで育てて出荷する、短期養殖の様子もおくる。
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記事提供元:テレ東プラス
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