ツアープロが必要とする機能が全部入り!? アンダー90万円で買えるガーミンの弾道測定器“兼”ゴルフシミュレーターを試してみた
ツアープロたちはトーナメント会場にトラックマンやGC4など、携帯できる弾道測定器を持ち込んで、スイングのデータチェックやクラブフィッティングを行っている。しかし、どちらも本体だけで200万円をゆうに超える価格で、データ分析にはタブレットやパソコンが別途必要になるため、一般ゴルファーにはなかなか手が出ない。そんな中、100万円を下回るどころか、80万円台でディスプレイまで備えたオールインワンの弾道計測器『Approach R50』がガーミンから発売された。
今回のテスターは11月のマイナビ ネクストヒロインゴルフツアーで初優勝を挙げた23歳の島田紗(すず)。練習でトラックマン、GC4ともに使用経験があるが、「私はまったくの機械音痴で、コーチがいないと使えないです。一度、友達と使おうとしたときに、使い方が分からなくて分かる人にテレビ電話しました」と、操作に難しさを感じていた。
『Approach R50』はセットアップが簡単なところも売りの1つ。後ろから狙いたいターゲットに合わせて、クラブやツアースティックを置いたら、それに沿ってボールを2個並べる。ターゲットに対して、『Approach R50』をスクエアに合わせなくても、2個のボール位置を決めて保存すれば、そこが「真っすぐ」となる。初めて操作する島田にも1~2分ほどでスムーズにセットアップが完了。あとは『Approach R50』の正面からボールを50センチくらい離して置いて打つだけで、内蔵された3つのハイスピードカメラにより、高精度に以下の計測ができる。
【トータル距離、キャリー距離、ボールスピード、最高到達点、打ち出し角、打ち出し方向、バックスピン、サイドスピン、スピン量、スピン軸の傾き、トータル偏差角、トータル偏差距離、キャリー偏差角、キャリー偏差距離】
さらに専用のシールをクラブに1枚貼ることで、ヘッドスピード、ミート率(スマッシュファクター)、入射角、クラブフェース角、クラブパス、フェーストゥパスといったクラブの挙動も数字化。高額な弾道測定器と遜色がない、必要十分なデータを取ることができるのだ。
実際に島田がドライバーを打つと、10インチのカラーディスプレイに、『キャリー距離』231.2ヤード、『トータル距離』254.4ヤード、『スピン量』2064rpmと表示された。「データが出るのがすごく早いですね。普段の数字とほぼ一緒だと思います」。スマホやタブレットなどのデバイスを使わずに、データを確認できるのも『Approach R50』の特長の1つ。しかもタッチ操作で直感的に自分の知りたい項目に切り替えられる。
では、島田はいつもどんな数字をチェックしているのか聞いてみた。「当たり前ですけど『キャリー』と『トータル距離』は見ます。あとドライバーだったらヘッドスピード。新しいクラブをテストするときには、『スピン量』、『高さ』(最高到達点)、『打ち出し角』や『入射角』も見ますね」。すべて『Approach R50』でカバーしている。
そして、島田が調子のバロメーターとして気にしているのが、上から見たときのヘッドの軌道『クラブパス』だ。「私はアウトサイドから来る癖があるので、スライスが出るようになったら弾道計測器を使って、今の感覚とすり合わせます」。アウトサイドからヘッドが来ていることが分かれば、インサイドに戻して、理想のストレート軌道に近づける練習を行っている。それも『Approach R50』があれば問題ない。
また、ハイスピードカメラによりインパクト前後の動画撮影機能も搭載しており、ボールやヘッドの挙動を確認できる。普段はなかなか見ることができないインパクトの瞬間にボールが潰れる映像に、島田も「すごい!」と感嘆の声を漏らす。アマチュアではロフトが寝て当たり、パワーが逃げていることがある。測定データにプラスして動画を見てイメージを高めれば、効率的な当て方に最短距離でたどり着けるはずだ。
ドライバーからウェッジまで、ひと通りの計測を終えた島田は、「トラックマンとかGC4の良いところが合わさっているうえに値段が安い。日本語に対応していますし、欲しい情報が簡単にすぐ見られるのが良かったと思います」と気に入った様子だった。
値段は85万8,000円。電源につながなくても充電式リチウムイオンバッテリーで約4時間稼働する。HDMI端子に接続すれば、大画面のモニターやスクリーンに投影して、臨場感のあるゴルフ体験が可能。また、国内の98%のゴルフ場を含む全世界約43,000コースに対応したゴルフシミュレーター(有料サブスクリプションの加入が必要)としての機能も併せ持ち、日本にいながらセント・アンドリュース オールドコースを仲間たちと楽しくラウンドすることもできる。弾道測定機能があり、世界中のゴルフ場を回れる、コスパもタイパも最強のマシンと言えるだろう。
●島田紗
しまだ・すず/2001年生まれ、北海道出身。今年、東北福祉大学を卒業し、マイナビ ネクストヒロインゴルフツアーに参戦。11月の「第13戦 Dormy Ladies Cup」で初優勝を挙げ、年間ポイントランキング5位で終えた。JLPGAプロテスト合格&ツアー参戦を目指している。
<ゴルフ情報ALBA Net>
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