熱中症リスク上昇中! 「胸の間に保冷剤」「手のひら冷却」……対策すれば危険な暑さでもゴルフ中にぶっ倒れない!
2024年の夏は早くも熱中症警戒アラートが全国で発表されています。そんな中でもゴルフを安全かつ快適に楽しむなら、適切な熱中症対策が欠かせません。水分補給や冷却グッズの活用、熱中症と相関関係のある紫外線対策まで、さまざまな対処法を解説します。また、初期症状を見逃さず適切に対応する方法や女性特有の対策も紹介。これらの情報を参考にして、暑い夏でも安心してゴルフを楽しみましょう。
1.ゴルフで熱中症にならないための7つの対策
暑くなると心配になる熱中症。その主な原因は、体が過熱し、体温調節がうまく機能しなくなることです。具体的には、以下の要因に注意が必要です。
高温と高湿度:気温が高く湿度も高いと、汗をかいても体温が下がりにくくなる。
水分不足:十分な水分をとらないと、体の冷却機能が低下する。
塩分不足:汗と一緒に塩分も失われるため、体内の電解質バランスが崩れ、体温調節が困難になる。
運動や激しい活動:特に暑い環境での激しい運動は、体温を急激に上昇させる。
適応不足:暑さに体が慣れていない場合、体温調節がうまくいかず、熱中症になりやすくなる。
これらの要因が組み合わさることで、体温が上がりすぎて熱中症を引き起こします。
熱中症の条件が重なりやすい夏のゴルフでは、以下のような熱中症対策を万全にしましょう。
【1】プレースタイルを工夫する
【2】適切な水分補給
【3】涼しい服装
【4】日焼け対策
【5】冷却グッズの活用
【6】こまめな休憩
【7】体調管理
ただし、コースによっては、特定のウェアや日焼け・冷却アイテムの種類が禁止されている可能性もあります。格式の高いコースに行く場合は、ドレスコードを確認するほうが無難です。
ラウンド前には、環境省の熱中症警戒アラートも活用するとよいでしょう。サイト上で閲覧できるほか、LINEやメール配信もあり、危険度を手軽にチェックできます。
なお、日本で定義されている熱中症の危険度は、一般的に「熱中症指数(WBGT: Wet-Bulb Globe Temperature)」によって評価されます。WBGTは、気温、湿度、風速、日射量などを総合的に考慮した指標で、まとめると以下のような「4段階」の危険度に分類されています。
WBGTによる温度基準域(危険度):推奨される対応
【1】25度未満(注意):熱中症のリスクは低いが、激しい運動・労働時には注意が必要。高齢者や子どもは特に気をつける。
【2】25~28度(警戒):熱中症のリスクがあるため、適度な休憩や十分な水分補給が必要。
【3】28~31度(厳重警戒):熱中症のリスクが高く、屋外での活動はできるだけ避ける。外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意。
【4】31度以上(危険):熱中症のリスクが非常に高く、運動や激しい活動は中止し、外出はなるべく避ける。高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きい。
「厳重警戒」以上、つまり温度が28度以上の場合は、全ての生活活動で熱中症になる可能性が高くなります。ゴルフのプレー中にはさらにリスクが高まるので、体調によっては中止したほうがよい場合もあるでしょう。
暑い時間帯を避ける:アーリーバードやハーフプレー、薄暮プレー、ナイタ―などのラウンドを選択しましょう。涼しい上に、コースによってはお得にラウンドできます。
カート乗り入れOKのコースを選ぶ:最近はクーラー付きのカートを導入しているゴルフ場もあります。従来のカートでも、日差しを浴びて歩く距離を減らすことによって、体力の消耗を軽減できます。
キャディをつける:真夏だけでも、キャディをつけてみてはいかがでしょうか。クラブを取りに行ったりカートを動かしたりする動作が減るだけで、かなり体力をキープできます。
こまめな水分補給:体重70キロの成人が1日を過ごすのに必要な水分量は、およそ2.5リットルといわれています(食事に含まれる水分量も含む)。喉の渇きは、すでに体が脱水状態に近づいているサインです。喉が渇く前に、意識してこまめに水分をとりましょう。少なくとも1時間に3〜4回、少量ずつの水分補給を心がけてください。しかし、一度に大量の水を飲むと、かえって体内の電解質のバランスが崩れ、体調を崩しやすくなる可能性も考えられますので注意しましょう。
スポーツドリンクや経口補水液:水だけでなく、電解質を含むスポーツドリンクや経口補水液も有効です。汗で失われる塩分やミネラルを補給できます。ただし、日本人は食事から必要以上の塩分をとっている(WHO基準5グラムの2倍程度)というデータもあります。そのため、糖分や塩分が多く含まれるこのような飲料の飲み過ぎには注意が必要なほか、人によっては不要かもしれません。高血圧症などの持病がある方は、かかりつけ医に相談しましょう。
食事から水分と栄養をとる:個人差があるものの、成人の夏の一日に必要な水分量は、一般的にはおおよそ3リットルといわれています。このうち飲料水として飲む必要があるのはおよそ1.2リットルで、残りは食べものから摂取することが想定されています。夏のゴルフでは多くの汗をかくことが予想されるため、食事から塩分やミネラル、水分をしっかりとり、プレー中には意識してこまめに水を飲むとよいでしょう。
通気性のよい服:ドライフィットやメッシュ、接触冷感機能付きのゴルフウェアを選ぶことで、体温を効率的に下げられます。
帽子:体感温度を下げるため、夏場はサンバイザーではなく、頭部全体を覆うキャップなどを選択しましょう。ムレが気になる場合は、メッシュ素材なら軽減できます。おすすめは熱を吸収しにくい白や薄い色で、UVカット機能が付いたツバの広いキャップ。薄い色の帽子は、黒に比べて暑くなりにくい反面、紫外線を透過させやすいデメリットがあります。UVカット機能付きなら、熱も紫外線も防ぐことが可能です。なお、打球事故などのアクシデントを防ぐ意味でも、帽子は必ず着用してください。
詳しくは関連記事から「夏ゴルフの服装は短パンOKでジャケット不要? おすすめの暑さ対策も紹介」をご覧ください。
熱中症と日焼けには、以下のような相関関係が考えられます。
日焼けによる体温上昇:日焼けは体温を上げ、体温調節を難しくするため、熱中症のリスクが高まる。
発汗機能の低下:日焼けで皮膚がダメージを受けると、発汗機能が低下し、体温を下げにくくなる。
脱水症状:日焼けによる水分喪失が増え、脱水症状を起こしやすくなり、熱中症の一因に。
体力消耗:日焼けは体力を消耗させ、疲労感を増し、長時間の運動で熱中症リスクがさらに高まる。
日焼けを予防するため、以下のような対策を積極的に取り入れましょう。
日焼け止め:ゴルフでは腕や足、首などが長時間露出します。広範囲に日焼け止めを塗って皮膚を保護し、体温の上昇を防ぎましょう。汗や摩擦で日焼け止めが落ちるので、数時間ごとに塗り直すことが推奨されます。プレーの妨げにならないよう、ハーフ休憩を活用しましょう。夏のゴルフでは、SPF50+、PA++++の汗に強い屋外スポーツ用日焼け止めを選ぶと効果的。髪と肌の両方に使えるUVカットスプレーも、頭皮を守る手軽なケアとしておすすめです。
アームカバーやレギンス:通気性がよく、UVカット機能のあるアームカバーやレギンスを使用することで腕や足の日焼けを防げます。
日傘:カートに常設の日傘を適宜使用することで、直射日光を防げます。プレー中は少々面倒かもしれませんが、こまめに利用して体力の消耗を防ぎましょう。
サングラス:UVカット機能付きのサングラスで、直射日光や強い照り返しから目を保護します。水晶体や目の奥まで紫外線が入りやすくなる濃い色ではなく、目が見える程度の濃さのレンズを選択しましょう。眩しさから目を保護して疲労や炎症を抑え、快適にプレーできるほか、体が余分な熱を発生させることを防ぎます。
詳しくは関連記事から「目は外部に向き出しになっている唯一の臓器『ゴルファーの紫外線対策はサングラスだけじゃ足りません!』」をご覧ください。
冷却タオル、クーリングスプレー、冷却シートなど:冷却グッズを活用して体を冷やすことも効果的です。最近の人気商品として、帽子の中につける保冷剤や、長時間冷たさを維持できる水筒型の氷のうなどもあります。特に氷のうは、女子プロゴルファーも試合中によく使用している便利アイテムです。小さめのクーラーボックスを持参しておくと、ぬるくなったアイテムを再利用できます。
また、汗と匂い対策には冷却シートがおすすめです。汗をかくと気化熱で涼しくなりますが、放置すると匂いが強くなってしまいます。ただし、乾いたタオルで拭くと体が冷えずさらに汗をかきやすくなってしまうため、冷却シートで匂いを取りながら体を冷やしましょう。
動脈の通る場所を冷やす:動脈の通る首、ワキの下、足の付け根、足首を冷やすと早く熱が静まります。こまめに保冷剤を当てるなどして冷やしましょう。
ネッククーラーやハンディファンのラウンド中の使用は、許容されることがほとんどです。ただし、ウェブサイトなどに明記されていないことも多いため、格式の高いコースへ行くときや心配なときは問い合わせたほうが無難です。
タオルのような形状のネッククーラーは、どのゴルフコースでも、端をだらりと下げて使ってはいけません。首にかけたままのタオルは労働者のイメージがあるため、ゴルフにそぐわないとしてNGです。
電動タイプのネッククーラーやハンディファンは、プレーの邪魔をしないよう、使用する際は音に注意してください。
なお、ハンディファンをゴルフで使用する際は、保冷剤をセットして冷たい風を浴びるようにしましょう。暑くて乾燥した環境で扇風機を使うと、乾いた肌では汗による気化熱が働きません。かえって不快に感じるばかりか、さらに熱中症のリスクを高めてしまうという研究結果もあります。
こまめに休憩を取る:直射日光の下で長時間プレイするのは避け、日陰や涼しい場所で定期的に休憩を取りましょう。移動の際もできるだけカートを利用するほか、日傘をさして木陰づたいに歩き、少しでも体を冷やす工夫をしましょう。
前日の体調管理:飲酒を控えたり、十分な睡眠をとったりして体調を整えましょう。食事をしっかりとることも重要です。
プレー前やプレー中:軽いストレッチやウォームアップを行い、体を徐々に慣らしましょう。プレー前やプレー中の食事は軽めにすることがおすすめです。塩分が不足すると熱中症のリスクが高まるため、塩あめや塩分補給タブレットを用意して、適度な塩分摂取を心がけましょう。
体調チェック:熱中症の初期症状(めまい、頭痛、吐き気など)に注意し、体調が悪いと感じたら無理をせず休むことが重要です。
肌と髪用のUVカットスプレー:強い日差しで、肌のみならず髪が荒れてしまうことも考えられます。肌と髪両方に使えるUVカットスプレーを用意して、使えるタイミングで手早くお手入れしましょう。スプレーなら、液状日焼け止めのように時間を取られず手が汚れることもないため、ラウンド中にもおすすめです。
香りのよいボディシートや汗吸収パッド:汗の匂いが気になって、プレーに集中できないこともあるかもしれません。よい香りのボディシートがあれば、気になったときにすぐ対処できます。匂いを取って気化熱で体を冷やすこともでき、一石二鳥といえるでしょう。さらに汗取りパッドも仕込んでおけば、重ねて安心です。ハーフ休憩で交換できるよう、替えも用意しておきましょう。
スポーツに適した日焼け止めやファンデーション:汗で落ちにくいスポーツ用の日焼け止めやファンデーション、汗に強いUVパウダーを使用して、きれいな状態をキープしましょう。
保冷材を活用する:ハンカチなどで包んだ保冷剤を胸の間に挟むだけで、かなり涼しくなることは知っている人も多いでしょう。スイングの邪魔にならず、落ちないように工夫できる場合は、取り入れてみてもいいかもしれません。
高機能のトレンカやレギンス:UVカット加工や防臭機能のついたトレンカやレギンスも、熱中症と汗対策に有効です。さらに着圧タイプなら、むくみも軽減できるのでおすすめです。
ラウンド中に熱中症の症状が出たら、すぐに水分をとり、涼しい場所で休むようにしましょう。熱中症の初期には、主に以下のような症状が表れます。
■めまいや立ちくらみ
■全身のだるさ
■呼吸回数の増加
このような変化を見逃さず、早めに対処することで重症化を防げます。
なお、熱中症は体が暑さに慣れていないとかかりやすい病気です。炎天下だけでなく、以下のような環境にも注意しましょう。
■気温や湿度が高い
■風が弱い、風が通らない
■急に暑くなる
強い日差しがない場合でも、プレー中の体調の変化には、十分に気を配る必要があります。
熱中症には、以下のような症状があります。
「1度」(軽度)
・めまい・失神
「立ちくらみ」。脳への血流が瞬間的に不充分になった状態。
・筋肉痛・筋肉の硬直
筋肉の「こむら返り」のこと。発汗による塩分の欠乏が原因。
・大量の発汗
「2度」(中度)
・頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐(おうと)・倦怠感・虚脱感
体がぐったりする、力が入らないなど。
「3度」(重度)
・意識障害・けいれん・手足の運動障害
呼びかけや刺激への反応がおかしい、ガクガクとひきつけを起こしている、まっすぐ走れない・歩けないなど。
・高体温
体に触ると熱い状態。
体温調節がうまくできず、体が脱水症状を起こすと頭痛を起こします。熱中症の重症化につながるサインといわれていますので、激しい痛みやひどい頭の重さを感じたら、プレーを中断することも検討してください。
まず、意識がなければ重症化していますので、救急車を呼んでください。
意識がある場合は涼しい場所へ移動し、服を緩め、水分をとります。自力で水を飲めない場合は病院へ。
水分や電解質をとって症状が改善したら、そのまま十分に休んで、回復後に帰宅するようにしましょう。
最新の研究では、効率的に体を冷やす方法として「手のひら冷却」が注目されています。これはAVAという血管の働きを利用したもので、運動前に15℃程度で5分以上、手のひらを冷却することが効果的とされています。
手のひら冷却のために開発された特殊な蓄冷剤が販売されているほか、冷えたペットボトルを握ったり、ハンカチなどを巻いた保冷剤を握ったりすることでも同様の効果が見込めます。一番のポイントは、触って心地よい程度に調節すること。冷たすぎると血管が収縮して、逆に熱を発散しにくくなるデメリットがあります。
ちなみに、水道水はおよそ15℃とされています。ゴルフのみならず、外出時に15秒間程度の手洗いをこまめに行えるシーンでは、熱中症対策として重宝するでしょう。
熱中症対策をする際にも、楽しくプレーするための気遣いは忘れないようにしたいものです。主に以下の5つの点に気をつけることで、ほかのプレーヤーとも快適にラウンドできるでしょう。
水分の補給は、自分の番が来る前や次のホールに移動するタイミングなど、プレーの流れを妨げないようにしましょう。ティショットを打つ前やほかのプレーヤーが打つ準備をしている間に、さっと水分をとるとスマートです。
冷却タオルやクーリングスプレーなどを使用する際は、ほかのプレーヤーに迷惑をかけないよう、周囲を確認してから行います。使用後のグッズはきちんと片付け、コースに放置しないようにしましょう。
休憩はほかのプレーヤーの視界やショットの邪魔にならない場所で行います。日陰で休憩する際も、グリーンやティーイングエリアのすぐ近くではなく、少し離れた場所で取るとよいでしょう。
熱中症対策のために休憩や水分補給をする場合でも、全体のペースを乱さないように心がけましょう。後続のグループが待っている場合は、スムーズにプレーを続けられるよう配慮することもマナーです。
自分の体調が悪くなった場合は、すぐに同伴者に伝え、無理をせずに早めに対応しましょう。必要なら、プレーを一時中断して休息を取るか、クラブハウスに戻ることも検討してください。
ゴルフは夏の楽しみのひとつですが、熱中症対策を怠ると危険が伴います。この記事で紹介した7つの対策をしっかり実践して、健康を維持しながらゴルフを楽しみましょう。また、初期症状を見逃さず適切に対応することも重要です。自分や同伴者のプレー中の体調にも十分に気を配り、夏でも安全で快適なゴルフライフを送りましょう。
<ゴルフ情報ALBA Net>
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