最後に笑ったのは“笑わない男” 岩田寛が逆転V、勝利の要因は「運」
<カシオワールドオープン 最終日◇24日◇Kochi黒潮カントリークラブ (高知県)◇7350ヤード・パー72>
最後に笑ったのは、“笑わない男”だった。首位と2打差の6位タイからスタートした岩田寛が、7バーディ・3ボギーの「68」で回り逆転勝利を果たした。6月に開催された「BMW日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」に続き、今季2勝目。自身初の年間複数回優勝を果たした。
勝利の要因は「運」と一言。勝利を手にしても、いつも通り淡々とした表情は変わらない。「ずっとプレーオフだと思っていたので、なんか(優勝したという)境目がわからなかった。決まった瞬間に、人が来て分かった」と語り、ホールアウト後も実感が湧かない様子だった。
前半は、2バーディ・2ボギーのイーブン。「これもう勝てないなと思ってました」と振り返るが、13番ホールでスコアボードを確認した瞬間から、意識が変わったという。「意外に上が伸びていなくて。13番のティイングエリアかな。ボードがあったのでこの辺から意識してました」。後半は5バーディ・1ボギーのゴルフを展開。後続の清水大成に1打のリードを持って迎えた最終18番はパーで差を広げることはできなかったが、後続の清水もバーディを逃したことで岩田の勝利が確定した。
今季2勝目を手にした岩田だが、「そんなに良くなかったんですよ」とショットの状態には満足していなかった。さらに、Kochi黒潮CCは「苦手なコース」。その中で手にした勝利を“運”と評しつつ、「ハイスコアじゃないですか、いつもは。今回そうじゃなかったところですかね」と、例年と異なりスコアが伸びない展開がプラスに働いたと分析する。特に3日目から強い風が吹き、難しいコンディションとなったこと、さらにグリーンが速かったことが有利に働いた。
今大会は、来季のフル出場権を獲得する賞金シード選手65人が決定する重要な場でもあり、笑顔と涙が交錯する試合となった。谷口徹、小田孔明、池田勇太といった“大物”たちが予選落ちとなり、賞金シードには届かなかった。谷口は「生涯獲得賞金上位25位」の資格を行使する可能性はあるが、谷口本人はまだ決断を下していない。
岩田は「最後だから、ってご飯に誘われました」という谷口とのエピソードを明かした。「生涯獲得がありますよね。本人は使わないって言ってましたけれど、使うと思いますよ。使わせます。いないと寂しいじゃないですか」。淡々と語りつつも、時折見せる岩田流の愛情表現で先輩への思いをにじませた。
優勝賞金4000万円を手にしたことで、賞金ランキングは4位(9313万902円)に浮上。ランキング首位の平田憲聖との差は1930万9977円となり、最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」の結果次第では賞金王になる可能性も十分にある。「あんまりやることは変わらないんですよ。だから、このままで行きます」と語った岩田。ポーカーフェイスを貫く“笑わない男”の笑顔を、来週は見ることができるのか。(文・齊藤啓介)
<ゴルフ情報ALBA Net>
記事提供元:ゴルフ情報ALBA Net
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。