谷口徹は賞金シード復帰ならず号泣 来季については「今すぐ答えられない」
<カシオワールドオープン 2日目◇22日◇Kochi黒潮カントリークラブ (高知県)◇7350ヤード・パー72>
「最近、涙腺が壊れているんですかね…」。来季の出場権をかけた賞金シード争い最終戦で無念の予選落ち。この結果に谷口徹は涙を抑えきれなかった。
1997年から賞金シードを守り続けていたが、19年に途絶えた。今季は18年の「日本プロ」優勝で得た5年シードの最終年だったが、賞金ランキングは153位(56万8000円)。13試合中予選通過は2回と、56歳は厳しい戦いを強いられてきた。
崖っぷちで挑んだ今大会も、初日は「74」、2日目も「75」と伸ばせずに予選通過はならなかった。来季のシード権を獲得できるのは賞金ランキング上位65名。義務試合数不足でランキングから除外される桂川有人、香妻陣一郎、中島啓太、スコット・ビンセント(ジンバブエ)が含まれているため、69位(907万3700円)の池田勇太がボーダーラインとなっていたが、この“圏内”にたどり着くことができなかった。
涙が止まらず、言葉が続かない。悔しさに声を震わせながら、「結果が全てのスポーツなので。これが最後。それぐらいの気持ちでやっていたんですけど…」と思いを絞り出した。努力をしても結果に結びつかないという現実に涙がこぼれた。
18年の日本プロでは大会最年長の50歳92日で頂点に立ち、そこから「ツアー最年長優勝」を次なる目標として、ここまでツアーを戦ってきた。しかし、思うような結果を得られず「最年長優勝は限りなく(実現が)ゼロに近い目標なのかな」と弱気にもなった。さらに、上田桃子がツアー休養を表明。男子テニスで現役引退を表明したラファエル・ナダル(スペイン)などのニュースを耳にすると、「(自分も)やめたらどうなるんだろう」と様々な思いが頭によぎった。これらの出来事を振り返ると、次から次へと涙がこぼれ落ちた。
『生涯獲得賞金上位25位』の資格を行使すれば、再びレギュラーツアーで戦うことができるが「去年みたいに、来年頑張ろう、とも言えないし。来年出ても、結果が出せるのか…。今すぐは答えられない」と、熟考する構えだ。
18年からはシニアツアーにも参戦しており、19年「日本シニアオープン」、21年「スターツシニア」と通算2勝を挙げている。今季もシニアツアーには10試合出場しており「シニアは楽しい」場所と考えている。ただ、「(レギュラーツアーは)好きなところ。人生で一番長くいるところ。レギュラーの方が真剣になれる。やめるのは簡単だけど、やめたらそこで終わり。だからやりたい」。厳しい環境下に長年身を投じてきただけに、やはりレギュラーツアーに強いこだわりがある。
「考えます。(レギュラーか、シニアか)どちらもまだ分かりません」。涙をぬぐい、最後には笑顔で会場を後にした谷口。時代を彩ったベテランは、ここから将来についてゆっくり考える。(文・齊藤啓介)
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