“一発勝負”は不公平? 最終戦システムへの日本勢見解「アンフェアな気も…」
<CMEグループ・ツアー選手権 事前情報◇20日◇ティブロンGC(米フロリダ州)◇6700ヤード・パー72>
今週の「CMEグループ・ツアー選手権」はシーズン最終戦。CMEランキングトップ60が“年間女王”の称号と、ツアー史上最高額の優勝賞金400万ドル(約6億1900万円)をかけて争う。
だが、この最終戦ではこれまで獲得してきたポイントが“ゼロ”にリセットされるため、全員が横一線からスタートする。誰にでも優勝のチャンスがあるという公平性を謳ったフォーマットだが、この方式は賛否を呼んでいる。
今季はネリー・コルダ(米国)が7勝を飾り、ポイントは4235.819ptで“ぶっちぎりの”1位。2位のユ・ヘラン(韓国)は今季1勝のみで、ネリーとの差は1428.427ptもある。しかし、このフォーマットでは優勝大本命のネリーが、60位の最下位になる可能性も平等にある。現行のシステムは2019年から採用されている。
米国男子ツアーでは、それまでのポイントランキングに応じて最終戦でスコアのアドバンテージ(例:1位は10アンダーからスタート)が与えられる仕組みが採用されている。DPワールド(欧州)ツアーではポイントリセットは行われず、年間王者は最終戦終了時点のポイントランキングの合計によって決定する。
21年からLPGAコミッショナーに就任しているモリー・マクー・サマーン氏は、「上位60名に入ることがとても難しいことで、そこを目指して選手は1年間を戦っている。だから全員に優勝するチャンスがあることで、ビッグイベントになる。ポイントシステムについては常に検討しているけど、今はこのシステムがベストだと思っている」と、現行システムへの見解を話した。
選手たちはどのように感じているのか。ランキング4位につける古江彩佳は「シーズン序盤で頑張った分、この位置にいられていると思う。最終戦に集中して、上位を争っていければ。(アドバンテージがなくて)うーん…そんなに(損したとは)思わないです」と話した。
畑岡奈紗、ルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人賞)かかる西郷真央も同じような反応。破格の賞金についても、西郷は「あまりそこは考えてないですね。お金はもらえたらもちろんうれしいですけど、それよりは、ここの舞台で戦えるっていう価値が大きい」とした。
一方で、今年の「全米女子オープン」覇者でランキング19位の笹生優花は複雑な表情を浮かべる。「自分が言えるような立場ではないですけど…」と前置きしつつ、「ずっとトップで走っている選手がリセットされてしまうのは、ちょっとアンフェアなのかなと思う。でも、リセットしてみんなにチャンスをあげる気持ちも分からなくもない」と心境を話す。
「そのためにポイント制があるんじゃないかな」。年間女王は年間を通じた合計ポイントランキング1位がふさわしいとも考えるが、「私がどうのこうのって感じではないので、頑張るしかない」と、現行のシステムでベストを尽くし、女王タイトルを狙っていく。
現行のシステムを導入した2019年以降の例を見ると、昨年はランキング18位だったエイミー・ヤン(韓国)が優勝してランク1位のリリア・ヴ(米国)は4位。22年はランク1位のリディア・コ(ニュージーランド)が優勝して女王を戴冠した。(文・笠井あかり)
<ゴルフ情報ALBA Net>
記事提供元:ゴルフ情報ALBA Net
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。