札幌退任のペトロヴィッチ監督に、セルジオ越後「来日して19年、つねに監督のニーズがあるのはスゴいことだよ」
「今季の札幌の成績不振に関しては、ペトロヴィッチ監督の戦術、采配以前に、チームの戦力的な問題が大きい。むしろいままでよくJ1の座をキープしてきた」
サポーターからのプレッシャーが大きく、実際にここ数年は毎年のように監督が代わっている浦和で、彼はかつて6年間も監督を務めた。それだけでも価値があることだし、スゴいことだよ。
シーズン終了を前に、Jリーグ各チームの監督人事が取り沙汰されている。前回のコラムでは、8年間率いた川崎を退任する鬼木監督を取り上げたけど、今回は7年間率いた札幌を退任するペトロヴィッチ監督だ。
ペトロヴィッチ監督は2006年に広島の監督に就任し、日本でのキャリアをスタート。以降、広島で6年、浦和で6年、札幌で7年と19年続けてJクラブを率いてきた。これだけ長くJリーグで指揮を執っている監督は日本人にもいない。
選手に限らず、監督も結果がすべて。一年一年が勝負の世界。それにもかかわらず、常にニーズがあるというのは大したものだよ。
そして、その期待に応えて、彼はどのチームでも攻撃的で面白いサッカーを見せてきた。3バックの布陣をベースにした独特のスタイルで、とにかく攻めまくる。
ただし、そのぶんもろさと背中合わせというか、チャンスをたくさんつくるけどあっさりとカウンターを食らったりとピンチも多く、時に大量失点を喫したりする。それでもペトロヴィッチ監督は頑固に自分の哲学を貫いてきた。
結果として、19年間も監督をやりながら、タイトル獲得は浦和でのルヴァン杯優勝(2016年)のみ(広島での08年のJ2優勝を除く)。正直、物足りない。彼は人格者としても知られ、どのクラブでも選手たちがお父さんのように慕っていたけど、タイトルをたくさん獲得するには、選手に雷を落としたり、フロントに補強を強く要求したりと、もう少し性格的にアクが強いほうがいいのかもしれない。
ただ、今季の札幌の成績不振に関しては、ペトロヴィッチ監督の戦術、采配以前にチームの戦力的に厳しく、仕方がなかったと思う。むしろ毎年のように主力を引き抜かれながらも、よく6年もの間、J1の座をキープしてきたという印象だ。
今後に関して、複数のクラブが獲得に興味を示しているという報道があったけど、まだ67歳だし、若い指導者のお手本にもなる。独特の攻撃サッカーで、引き続きJリーグを盛り上げてくれるとうれしいね。
今回はもうひとつ、レッドブルグループによる大宮(今季J3で優勝して来季はJ2に昇格)の買収にも触れておきたい。
レッドブルといえば、もともとドイツ5部だったライプツィヒを09年に買収し、今やチャンピオンズリーグに出場するまでに強化した。ほかにもブラジルや本国オーストリアなどでもクラブを買収し、運営している。
そんな彼らがどこまで本気で大宮を強くしようとしているのか。先日の会見には、レッドブルのサッカー部門トップのマリオ・ゴメス(元ドイツ代表)も登壇していたけど、日本のライトなファンにはインパクトを与えられなかったし、本気度はわからない。
お隣の浦和が焼きもちを焼くような大型補強をして、再来年にもJ1でのさいたまダービーが復活したりすると面白いんだけどね。Jリーグに新たな風を吹かせてくれると期待はしているけど、今はまだ様子見かな。
構成/渡辺達也
記事提供元:週プレNEWS
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