南アフリカ人が「元祖いかめし」に感動!最高の食材を求めてイカ釣りも:世界!ニッポン行きたい人応援団
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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ニッポンに行きたくてたまらない外国人を世界で大捜索! ニッポン愛がスゴすぎる外国人をご招待する「世界!ニッポン行きたい人応援団」(月曜日夜8時 ※11月11日は夜6時25分)。
今回は、南アフリカ人の来日の様子をお送りします。
紹介するのは、南アフリカ在住の「いかめし」を愛するクレシャンさん。
イカに米を詰めて炊き上げる、ニッポン独自の料理「いかめし」。北海道で古くから食べられていたイカ料理が起源といわれ、国内最大級の駅弁大会で50年連続1位に選ばれるなど、日本中で愛される定番の味です。
以前来日した際、いかめしのあまりの美味しさに衝撃を受けたクレシャンさん。インターネットで作り方を独学し、今では休日の度、自分でいかめしを作るまでに。
早速、いかめし作りを見せてもらいます。クレシャンさんが暮らす港町・ダーバンでは、魚介類は手に入りやすいのですが、切られていないイカを扱う店は限られています。
イカは、足とワタを外し、胴体だけに。ワタが残っていると臭みの元となるため、丁寧に掻き出し、研いで1時間ほど浸水させた餅米を詰めていきます。イカの身は火にかけると縮み、中のお米は膨らむため、詰めすぎないのがコツ。身の半分くらいが目安だそう。
口を楊枝で止めたら、タレ作り。昆布でとった出汁に、酒や砂糖、醤油などの調味料を足します。中火で煮込むこと45分…クレシャンさんのいかめしが完成。
実はクレシャンさん、将来は今の仕事を辞めて、いかめしのキッチンカーをやるのが夢。ただ、作り方が我流のため、味や出来栄えにバラつきが出てしまいます。
「いかめしの母国ニッポンで、本格的な作り方を教わりたい」と願っていますが、ニッポンまで学びに行く経済的余裕はありません。
そんなクレシャンさんを、ニッポンにご招待!
まず向かったのは、北海道。空港から電車を乗り継ぎ、茅部郡森町へ。すると、駅舎の周辺には至る所に「いかめし」の文字が! 「いかめしの生まれた聖地にいるなんて信じられません」とクレシャンさん。
森駅のホームで売る駅弁として、昭和16年に誕生した「元祖いかめし」。長旅でも腹持ちが良く美味しいと評判になり、地元の名物、そして全国を代表する駅弁に。
そんな元祖いかめしを生み出したのは「いかめし阿部商店」。今回、クレシャンさんの熱意を伝えたところ、快く受け入れてくださることに。
迎えてくださったのは、三代目の今井麻椰さん。早速、「元祖いかめし」を食べさせていただきます。と、その前に、クレシャンさんから「イカと米の組み合わせはどうやって思いついたんですか?」と質問が。
麻椰さんによると、最初は北海道ということでジャガイモやトウモロコシを入れるやり方も考えたそうですが、一番お腹に溜まって美味しいのがお米だったそう。
1903年、函館本線の森駅の開業に合わせ、おにぎりや幕内弁当などを販売する弁当店として創業した「阿部商店」。今から83年前、第二次世界大戦で食糧難の最中、僅かなお米でも腹持ちのいい食べ物はできないかと、創業者の妻・阿部静子さんが考案したのが、当時豊漁だったスルメイカを使った「いかめし」でした。
念願の「元祖いかめし」をいただいたクレシャンさんは、「オイシ〜。パーフェクト! プリプリで歯切れの良いイカと、その先にあるタレが染みてモチっとしたご飯の食感がたまりません」と大感動!
いかめしの美味しさといえば、イカとご飯が織りなす絶妙な食感と甘辛いタレの後を引く味わい。そんな「元祖いかめし」は、多い時で1日300個以上を、3人の職人が手作業で作っています。この道40年の大ベテラン、二ツ森節子さんに作り方を見せていただくことに。
使うのは、少し小ぶりなスルメイカ。クレシャンさんが普段使うイカの3分の2ほどの大きさです。「阿部商店」のいかめしに使われるのは、胴体が20センチ前後のものだけ。これより大きいと身が厚くなり、煮た時に硬くなってしまうそう。
そして、食感の決め手となるもう一つの食材が、いかめしの中に入れるお米。クレシャンさんはもち米だけを使っていましたが、阿部商店ではもち米とうるち米を独自の割合で配合。もち米のもっちり感とうるち米のふっくら感が合わさった絶妙な食感に。
「もち米だけで作るとベタベタになるのが悩みだったんです。あの完璧な食感を生み出す秘密はこれだったんですね」とクレシャンさん。
麻椰さんいわく「いかめし作りで一番大事」という米詰めの工程へ。身の半分まで詰めていたというクレシャンさんに、「多すぎ」と二ツ森さん。「阿部商店」では、約3分の1まで詰めています。
量が多すぎると米が膨らみきらず、少ないと煮汁を吸いすぎてべちゃっとした食感に。さらに、冷めるとイカが縮むため、駅弁として食べる時に最も良い食感になるよう、米の量を粒単位で調整しているのです。
そんな職人技を支えているのが、米詰めのためだけに開発したオリジナルの道具「ロット」。口を開いたまま米詰めができるため、かなりのスピードアップに。
クレシャンさんもロットを使った米詰めに挑戦。3分の1の量になるよう慎重に詰めていきます。少しでも技の感覚を身につけて帰りたいと何度もトライしますが、なかなかちょうどいい量になりません。
「イカの大きさもちょっとずつ違うので、持った瞬間に判断して『これぐらいの量だな』というのを入れている」と麻椰さん。わずか5、6粒違うだけでも、仕上がりの食感に大きな違いが。
苦戦しながらも、ようやく二ツ森さんから「ベリーグッド」とOKをいただきました。
米を詰めたイカを、80年以上、口伝えだけで受け継いできたタレで炊き上げます。イカから旨味が出るため、タレの素になるのは主に醤油と、コクと照りを出すザラメ糖のみ。
あえて継ぎ足しはせず、毎日新しいタレを作り、その日の温度や湿度、一度に煮るいかめしの量などに合わせて分量を調整。職人さんたちの舌の感覚だけで伝統の味へと仕上げます。出汁や調味料を足していたクレシャンさんは、衝撃を受けたよう。
いよいよ、いかめしを煮ていきますが、鍋にはタレではなくお湯が。二ツ森さんによると、タレでいきなり煮ると、イカの灰汁や皮の汚れで淀んでしまうそう。タレに臭みが移らないよう、お湯で20分煮てから、雑味のないタレでさらに20分。味を染み込ませていきます。
こうして、「元祖いかめし」が完成。出来立てをいただいたクレシャンさんは、「一口食べて、とても幸せな気持ちになりました」。
「私たちも常に勉強しながらで、『これでいい』ってことはない」と語る二ツ森さん。クレシャンさんは「阿部商店のいかめしの美味しさは、味を追求するその謙虚な姿勢から生まれているんだと思います」と伝えました。
別れの時。クレシャンさんは、お世話になった皆さんに「今日改めて職人さんの技術を目の当たりにして、今まで以上にいかめしへの愛が深まりました」と伝えます。お礼に、様々なアフリカの部族の生地で作られたエプロンを渡しました。
すると、麻椰さんからはいかめしTシャツ、職人さんたちからは、米詰めに使っていた非売品のロットのプレゼントが。「最高のプレゼントです」と大感激のクレシャンさんに、二ツ森さんは「美味しいいかめしを世界に広めてください」と激励の言葉をくださいました。
「いかめし阿部商店」の皆さん、本当にありがとうございました!
続いて向かったのは、北海道函館市。明治初期、佐渡から漁火を用いた漁法が伝わると、函館に面した津軽海峡や道南近海は国内でも指折りのスルメイカの漁獲地に。平成元年にはイカが「函館市の魚」に制定され、ニッポンを代表するイカの街になりました。
実はクレシャンさん、住んでいる街では新鮮なイカが手に入らないそう。「独自のイカ文化があるニッポンで、釣りや料理などイカに関するいろんなことを学んでみたいです」と話していました。
自分で釣ったイカでいかめしを作りたいという夢を叶えるため、函館で代々漁師を営んできたイカ釣り船の船長・木村幸夫さんにお世話になります。100匹釣れれば大漁といわれる一本釣りで、1日に釣ったイカの最高記録は371匹! 函館のイカ釣りを知り尽くした海の男です。
早速、木村さんの仲間と共に、津軽海峡へ向け出港。クレシャンさんは「たくさんイカを捕まえたいです。海に潜ってでも何とかします」と気合十分。
津軽海峡は、日本海側を北上するスルメイカと、太平洋側を北上するスルメイカの両方が回遊してくる絶好の漁場。漁が解禁される6月頃から徐々に成長し、冬には最大30センチに。時期が進むとさらに大きくなるそうで、「いかめしを作るなら、今の時期がギリギリ」と木村さん。
ポイントに到着。今回クレシャンさんが挑戦するのは、竿を使ったイカの一本釣りです。日中はマグロなどの天敵から逃れるため、海の底に潜んでいるスルメイカ。そのため、水深100メートルの海底付近まで仕掛けを落とす必要が。
まずは、木村さんがお手本を見せてくださいます。針を上下に泳がせると、早速当たりが。獲物が外れないよう、海面付近までは電動リールで一気に巻き上げます。生きたイカを初めて見たクレシャンさんは「生きている!」と感動。ちなみに、イカが白いうちはストレスがかかっていないそうで、刺激したり怒らせたりすると色が赤くなります。
いよいよ、人生初のイカ釣りに挑戦。イカが掛かるのを待ち、重さを感じたらすぐに巻き上げます。
すると、周りの皆さんが次々とイカを釣り上げ、入れ食い状態に。釣れたイカで、「神経締め」と呼ばれるイカの鮮度を保つ技法を見せてくださいました。神経を断ち切ることで、死んだという情報が脳から胴体に伝わらず、細胞が活動を続けるため、鮮度を保てるのだとか。
クレシャンさんも、重さの変化を感じ取るため、感覚を研ぎ澄ませますが……何度か感触が変わったものの、なかなかイカは釣れません。
釣り始めて3時間、ようやくイカが掛かった感触をキャッチ。途中まで巻き上げ、獲物が外れないよう直接手で手繰り寄せると、初めてのイカが! 大きさも胴体が20センチ、「阿部商店」で教わった最適なサイズです。
せっかくなので、釣れたてを船の上でいただきます。鮮度抜群の活イカ刺しを口にしたクレシャンさんは、「釣りたては最高ですね!」と絶賛。ゲソや目玉もいただきました。
結局、クレシャンさんが釣ったのは1匹だけでしたが、夜釣りでのリベンジを誓います。
港に戻ると、釣り仲間の皆さんが歓迎会を開いてくださいました。徳利状に成形したイカを干して作る「いか徳利」や、イカの内臓「ゴロ」を使った「イカのゴロ焼き」を堪能。「一つのイカという食材で、ここまで違う味が出せることに驚きです」とクレシャンさん。
そして、いよいよ夜釣りへ。夜の津軽海峡に灯るのは、イカをおびき寄せるために漁船が放つ漁火。その神秘的な光景は、函館名物の一つです。
昼間、海底に潜んでいたイカたちは、夜になると餌の小魚を求めて上がってくるそう。そこで夜釣りでは、水深50メートル付近に仕掛けを放ちます。
釣り糸を下ろして3分…早くも当たりが! 手巻きのリールを巻いていくと、見事ないかめしサイズのイカが釣れました。
その後も、昼間とはうって変わって次々にイカを釣り上げるクレシャンさん。1時間で、5匹のスルメイカを釣ることができました。
少し大きいイカは、タッパーで沖漬けに。生きたまま醤油ダレに漬けることで、イカがタレを飲み込み、体の内側まで味が染みこむのだとか。このまま半日ほど漬け込み、冷凍してから食べるそう。
腕がパンパンになるまで頑張ったクレシャンさんに、皆さんは「よく頑張った」「素晴らしい」と声をかけてくださいました。
翌日、念願のいかめしを作ります。家庭で作るいかめしの味も学びたいクレシャンさんのために、歓迎会で出会った関川節子さんが協力してくださることに。
関川家で三代伝わる、おふくろの味のいかめし。まずは、鰹、昆布、焼きあごの3種類の出汁を合わせます。角がないまろやかな味に仕上げるため、味付けはめんつゆがメイン。
火にかける前に、常温でタレに漬けておくことで、お米に味がゆっくりと染み込み、炊き上がりももっちりと。その後、中火でじっくりと煮込めば、おふくろの味のいかめしが完成!
自分で釣ったイカで作ったいかめしを頬張り、「最高です!」とクレシャンさん。お世話になった皆さんにも大好評! 昨日、船の上で調理した沖漬けもいただきました。
別れの時。クレシャンさんは「これから海に出る度に、木村さんに教えていただいたことを思い出します」と伝え、大事なレシピを教えてくださった関川さんにも感謝を。
最後に、木村さんと関川さんに南アフリカのお酒を渡すと、木村さんからは、南アフリカに帰ってもイカ釣りができるようにと、疑似餌のプレゼントが! さらに関川さんから、イカが入った松前漬けをいただきました。クレシャンさんは「これらを食べたり使ったりする度に、皆さんを必ず思い出します」と伝え、ハグを交わしました。
木村さん、関川さん、本当にありがとうございました!
次に向かったのは、世界遺産「厳島神社」がある広島県廿日市市。クレシャンさん、南アフリカではステンレス製のフライパンを使っていかめしを煮込んでいましたが、鍋全体が温まるのに時間がかかり、煮え方にバラつきが。そこで、「ニッポンでいかめし作りに一番適した鍋を見つけたいんです」と話していました。
そんなクレシャンさんの熱意を伝えたところ、「鎚起銅器」を作る職人、矢竹純さん・葵さん夫妻が受け入れてくださることに。鎚起銅器とは、1枚の銅板を木槌や金槌で叩き、様々な立体を生み出すニッポンの伝統技法です。
矢竹さん夫妻は、鎚起の名門で修業を積み、3年前に独立。200年受け継がれてきた技を用いて、日用品から工芸品まで様々な作品を制作しています。
鎚起銅器の最大の長所は熱伝導率。銅の熱伝導率は鉄の5倍、ステンレスの25倍といわれ、食材にすぐ火が通るのだとか。「まさに私が探し求めていた鍋です」とクレシャンさん。
試しにホーロー鍋と鎚起銅器の鍋を同じ火力で5分間熱してみると、その違いは一目瞭然。沸騰している銅鍋に対し、ホーロー鍋はまだ沸いていません。20分ほど煮込んだ大根を食べ比べると、銅鍋の方が柔らかく、出汁の味がしっかり染み込んでいます。
ここで、鎚起銅器を作るところを見せていただくことに。今回は、1枚の銅板から深さ15センチの煮物鍋を作っていきます。
まずは銅板を一度熱した後、冷まして成形しやすい柔らかさに。コンパスで目安となる線を書いたら、線に沿って木槌で叩き、鍋の縁になる部分を起こしていきます。
出てきたシワを叩いて形を整えると、同時に銅が縮まり、強度が増す性質も。そのため、100年以上使えるほど丈夫な鍋に。シワが重なると亀裂が入って割れるため、シワが重ならないよう、正確な木槌捌きが求められます。
銅板を叩く際に裏から当てる「当て金」は、作る形に合わせて120種類以上。さらに木槌も100本以上! これらの道具を使い分け、思い通りの形へと成形していきます。重要なのは板を送る左手。右手で叩き、左手の送りで位置を調整することで、美しい立体になるのです。
クレシャンさんも成形に挑戦。金槌を打つ右手だけでなく、左手も疲れるようで「本当にハードワークです」と汗だくに。
続いて、砂が入った袋に乗せ、木槌で内側から押し出すように叩くと、徐々に鍋に深さが。砂袋がクッションとなり、より滑らかに形を整えることができるそう。その後、再び金槌に持ち替えて外側から叩くこと2時間。叩いたところが綺麗な円に!
次は、「焼きなまし」。銅が硬くなると成形しづらくなるため、叩いては焼いて柔らかくする作業を繰り返し、少しずつ鍋の形を作っていきます。複雑な作品になると、焼いては打つ作業を何十回と繰り返すことも。
コーヒーブレイクを挟み、一定の角度とリズムで叩き続けること3万回以上。作業時間はなんと10時間! 1枚の平らな銅板が、ようやく鍋の形になりました。最も難しい仕上げの工程は、翌日作業することに。
その日の夜は、矢竹さん夫妻が歓迎会を開いてくださいました。鎚起銅器の鍋で調理した、串揚げやご飯をいただきます。熱が入りやすく油が高温に保てるため、揚げ物はサクサクな仕上がりに。ご飯も沸騰が早く高温で炊けるため、極限まで甘みが引き出されるそう。鎚起銅器の力を体感したクレシャンさんでした。
翌日は、「ならし」と呼ばれる仕上げの作業。10時間叩き続けて鍋の形にした銅版をさらに叩いていくと、凸凹だった表面に輝きが。形を作る時についた金槌の目をならし、表面を滑らかにすると同時に、銅板の厚さも均一に。さらに、熱当たりが良くなるよう、鍋底に丸みをつけていきます。
外側を仕上げるだけでも4時間。内側に金属臭を抑える錫をひき、取手をつけたら、鎚起銅器の煮物鍋が完成! 叩いた数は実に5万回以上。その美しさに、クレシャンさんは感動!
翌日、お世話になったお礼を伝えるため、再び矢竹さん夫妻の工房へ。クレシャンさんは、南アフリカの人形とダチョウの卵の置物をプレゼントします。ダチョウの卵は幸運や成功の象徴とされ、南アフリカでは特別な相手に贈る習わしがあるそう。
「お2人の鎚起銅器に取り組む情熱に本当に感動しました。私は料理人として料理に魂を込める2人のような職人を目指します」と、感謝の手紙を読み上げます。
すると純さんから、クレシャンさんの帰国に間に合うよう、夜遅くまで最後の仕上げをしてくださった鍋と、蓋のプレゼントが! 色はクレシャンさんが好きな青色。クレシャンさんが叩いた鎚目もあえて残した、世界に一つだけのいかめし専用鍋です。
「本当に美しい仕上がりです! 美しすぎて使っていいものなのか……」と恐縮するクレシャンさんに、「ガンガン使ってくださいよ!」と純さん。
純さん、葵さん、本当にありがとうございました!
こうして南アフリカに帰国したクレシャンさんから、嬉しい報告が。
いかめしのキッチンカーを夢見て、より一層いかめし作りに励んでいるクレシャンさん。行きつけの魚屋さんに頼み込んだところ、いかめしに合った小さなイカを仕入れてもらえるようになったそう。いただいたロットと鎚起銅器も大活躍しているとか。
最後にクレシャンさんは「お世話になった皆さんのおかげで、人生で最高の経験ができました。いかめしの素晴らしさを南アフリカで広めていけるよう頑張ります。いかめし最高!」と語ってくれました。
クレシャンさん、またの来日をお待ちしています!
月曜夜6時25分からは、月曜プレミア8「世界!ニッポン行きたい人応援団SP」を放送!
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今回は、南アフリカ人の来日の様子をお送りします。
“いかめし”愛する南アフリカ人
紹介するのは、南アフリカ在住の「いかめし」を愛するクレシャンさん。
イカに米を詰めて炊き上げる、ニッポン独自の料理「いかめし」。北海道で古くから食べられていたイカ料理が起源といわれ、国内最大級の駅弁大会で50年連続1位に選ばれるなど、日本中で愛される定番の味です。
以前来日した際、いかめしのあまりの美味しさに衝撃を受けたクレシャンさん。インターネットで作り方を独学し、今では休日の度、自分でいかめしを作るまでに。
早速、いかめし作りを見せてもらいます。クレシャンさんが暮らす港町・ダーバンでは、魚介類は手に入りやすいのですが、切られていないイカを扱う店は限られています。
イカは、足とワタを外し、胴体だけに。ワタが残っていると臭みの元となるため、丁寧に掻き出し、研いで1時間ほど浸水させた餅米を詰めていきます。イカの身は火にかけると縮み、中のお米は膨らむため、詰めすぎないのがコツ。身の半分くらいが目安だそう。
口を楊枝で止めたら、タレ作り。昆布でとった出汁に、酒や砂糖、醤油などの調味料を足します。中火で煮込むこと45分…クレシャンさんのいかめしが完成。
実はクレシャンさん、将来は今の仕事を辞めて、いかめしのキッチンカーをやるのが夢。ただ、作り方が我流のため、味や出来栄えにバラつきが出てしまいます。
「いかめしの母国ニッポンで、本格的な作り方を教わりたい」と願っていますが、ニッポンまで学びに行く経済的余裕はありません。
そんなクレシャンさんを、ニッポンにご招待!
まず向かったのは、北海道。空港から電車を乗り継ぎ、茅部郡森町へ。すると、駅舎の周辺には至る所に「いかめし」の文字が! 「いかめしの生まれた聖地にいるなんて信じられません」とクレシャンさん。
森駅のホームで売る駅弁として、昭和16年に誕生した「元祖いかめし」。長旅でも腹持ちが良く美味しいと評判になり、地元の名物、そして全国を代表する駅弁に。
そんな元祖いかめしを生み出したのは「いかめし阿部商店」。今回、クレシャンさんの熱意を伝えたところ、快く受け入れてくださることに。
迎えてくださったのは、三代目の今井麻椰さん。早速、「元祖いかめし」を食べさせていただきます。と、その前に、クレシャンさんから「イカと米の組み合わせはどうやって思いついたんですか?」と質問が。
麻椰さんによると、最初は北海道ということでジャガイモやトウモロコシを入れるやり方も考えたそうですが、一番お腹に溜まって美味しいのがお米だったそう。
1903年、函館本線の森駅の開業に合わせ、おにぎりや幕内弁当などを販売する弁当店として創業した「阿部商店」。今から83年前、第二次世界大戦で食糧難の最中、僅かなお米でも腹持ちのいい食べ物はできないかと、創業者の妻・阿部静子さんが考案したのが、当時豊漁だったスルメイカを使った「いかめし」でした。
念願の「元祖いかめし」をいただいたクレシャンさんは、「オイシ〜。パーフェクト! プリプリで歯切れの良いイカと、その先にあるタレが染みてモチっとしたご飯の食感がたまりません」と大感動!
いかめしの美味しさといえば、イカとご飯が織りなす絶妙な食感と甘辛いタレの後を引く味わい。そんな「元祖いかめし」は、多い時で1日300個以上を、3人の職人が手作業で作っています。この道40年の大ベテラン、二ツ森節子さんに作り方を見せていただくことに。
使うのは、少し小ぶりなスルメイカ。クレシャンさんが普段使うイカの3分の2ほどの大きさです。「阿部商店」のいかめしに使われるのは、胴体が20センチ前後のものだけ。これより大きいと身が厚くなり、煮た時に硬くなってしまうそう。
そして、食感の決め手となるもう一つの食材が、いかめしの中に入れるお米。クレシャンさんはもち米だけを使っていましたが、阿部商店ではもち米とうるち米を独自の割合で配合。もち米のもっちり感とうるち米のふっくら感が合わさった絶妙な食感に。
「もち米だけで作るとベタベタになるのが悩みだったんです。あの完璧な食感を生み出す秘密はこれだったんですね」とクレシャンさん。
麻椰さんいわく「いかめし作りで一番大事」という米詰めの工程へ。身の半分まで詰めていたというクレシャンさんに、「多すぎ」と二ツ森さん。「阿部商店」では、約3分の1まで詰めています。
量が多すぎると米が膨らみきらず、少ないと煮汁を吸いすぎてべちゃっとした食感に。さらに、冷めるとイカが縮むため、駅弁として食べる時に最も良い食感になるよう、米の量を粒単位で調整しているのです。
そんな職人技を支えているのが、米詰めのためだけに開発したオリジナルの道具「ロット」。口を開いたまま米詰めができるため、かなりのスピードアップに。
クレシャンさんもロットを使った米詰めに挑戦。3分の1の量になるよう慎重に詰めていきます。少しでも技の感覚を身につけて帰りたいと何度もトライしますが、なかなかちょうどいい量になりません。
「イカの大きさもちょっとずつ違うので、持った瞬間に判断して『これぐらいの量だな』というのを入れている」と麻椰さん。わずか5、6粒違うだけでも、仕上がりの食感に大きな違いが。
苦戦しながらも、ようやく二ツ森さんから「ベリーグッド」とOKをいただきました。
米を詰めたイカを、80年以上、口伝えだけで受け継いできたタレで炊き上げます。イカから旨味が出るため、タレの素になるのは主に醤油と、コクと照りを出すザラメ糖のみ。
あえて継ぎ足しはせず、毎日新しいタレを作り、その日の温度や湿度、一度に煮るいかめしの量などに合わせて分量を調整。職人さんたちの舌の感覚だけで伝統の味へと仕上げます。出汁や調味料を足していたクレシャンさんは、衝撃を受けたよう。
いよいよ、いかめしを煮ていきますが、鍋にはタレではなくお湯が。二ツ森さんによると、タレでいきなり煮ると、イカの灰汁や皮の汚れで淀んでしまうそう。タレに臭みが移らないよう、お湯で20分煮てから、雑味のないタレでさらに20分。味を染み込ませていきます。
こうして、「元祖いかめし」が完成。出来立てをいただいたクレシャンさんは、「一口食べて、とても幸せな気持ちになりました」。
「私たちも常に勉強しながらで、『これでいい』ってことはない」と語る二ツ森さん。クレシャンさんは「阿部商店のいかめしの美味しさは、味を追求するその謙虚な姿勢から生まれているんだと思います」と伝えました。
別れの時。クレシャンさんは、お世話になった皆さんに「今日改めて職人さんの技術を目の当たりにして、今まで以上にいかめしへの愛が深まりました」と伝えます。お礼に、様々なアフリカの部族の生地で作られたエプロンを渡しました。
すると、麻椰さんからはいかめしTシャツ、職人さんたちからは、米詰めに使っていた非売品のロットのプレゼントが。「最高のプレゼントです」と大感激のクレシャンさんに、二ツ森さんは「美味しいいかめしを世界に広めてください」と激励の言葉をくださいました。
「いかめし阿部商店」の皆さん、本当にありがとうございました!
スルメイカを釣るため大海原へ!
続いて向かったのは、北海道函館市。明治初期、佐渡から漁火を用いた漁法が伝わると、函館に面した津軽海峡や道南近海は国内でも指折りのスルメイカの漁獲地に。平成元年にはイカが「函館市の魚」に制定され、ニッポンを代表するイカの街になりました。
実はクレシャンさん、住んでいる街では新鮮なイカが手に入らないそう。「独自のイカ文化があるニッポンで、釣りや料理などイカに関するいろんなことを学んでみたいです」と話していました。
自分で釣ったイカでいかめしを作りたいという夢を叶えるため、函館で代々漁師を営んできたイカ釣り船の船長・木村幸夫さんにお世話になります。100匹釣れれば大漁といわれる一本釣りで、1日に釣ったイカの最高記録は371匹! 函館のイカ釣りを知り尽くした海の男です。
早速、木村さんの仲間と共に、津軽海峡へ向け出港。クレシャンさんは「たくさんイカを捕まえたいです。海に潜ってでも何とかします」と気合十分。
津軽海峡は、日本海側を北上するスルメイカと、太平洋側を北上するスルメイカの両方が回遊してくる絶好の漁場。漁が解禁される6月頃から徐々に成長し、冬には最大30センチに。時期が進むとさらに大きくなるそうで、「いかめしを作るなら、今の時期がギリギリ」と木村さん。
ポイントに到着。今回クレシャンさんが挑戦するのは、竿を使ったイカの一本釣りです。日中はマグロなどの天敵から逃れるため、海の底に潜んでいるスルメイカ。そのため、水深100メートルの海底付近まで仕掛けを落とす必要が。
まずは、木村さんがお手本を見せてくださいます。針を上下に泳がせると、早速当たりが。獲物が外れないよう、海面付近までは電動リールで一気に巻き上げます。生きたイカを初めて見たクレシャンさんは「生きている!」と感動。ちなみに、イカが白いうちはストレスがかかっていないそうで、刺激したり怒らせたりすると色が赤くなります。
いよいよ、人生初のイカ釣りに挑戦。イカが掛かるのを待ち、重さを感じたらすぐに巻き上げます。
すると、周りの皆さんが次々とイカを釣り上げ、入れ食い状態に。釣れたイカで、「神経締め」と呼ばれるイカの鮮度を保つ技法を見せてくださいました。神経を断ち切ることで、死んだという情報が脳から胴体に伝わらず、細胞が活動を続けるため、鮮度を保てるのだとか。
クレシャンさんも、重さの変化を感じ取るため、感覚を研ぎ澄ませますが……何度か感触が変わったものの、なかなかイカは釣れません。
釣り始めて3時間、ようやくイカが掛かった感触をキャッチ。途中まで巻き上げ、獲物が外れないよう直接手で手繰り寄せると、初めてのイカが! 大きさも胴体が20センチ、「阿部商店」で教わった最適なサイズです。
せっかくなので、釣れたてを船の上でいただきます。鮮度抜群の活イカ刺しを口にしたクレシャンさんは、「釣りたては最高ですね!」と絶賛。ゲソや目玉もいただきました。
結局、クレシャンさんが釣ったのは1匹だけでしたが、夜釣りでのリベンジを誓います。
港に戻ると、釣り仲間の皆さんが歓迎会を開いてくださいました。徳利状に成形したイカを干して作る「いか徳利」や、イカの内臓「ゴロ」を使った「イカのゴロ焼き」を堪能。「一つのイカという食材で、ここまで違う味が出せることに驚きです」とクレシャンさん。
そして、いよいよ夜釣りへ。夜の津軽海峡に灯るのは、イカをおびき寄せるために漁船が放つ漁火。その神秘的な光景は、函館名物の一つです。
昼間、海底に潜んでいたイカたちは、夜になると餌の小魚を求めて上がってくるそう。そこで夜釣りでは、水深50メートル付近に仕掛けを放ちます。
釣り糸を下ろして3分…早くも当たりが! 手巻きのリールを巻いていくと、見事ないかめしサイズのイカが釣れました。
その後も、昼間とはうって変わって次々にイカを釣り上げるクレシャンさん。1時間で、5匹のスルメイカを釣ることができました。
少し大きいイカは、タッパーで沖漬けに。生きたまま醤油ダレに漬けることで、イカがタレを飲み込み、体の内側まで味が染みこむのだとか。このまま半日ほど漬け込み、冷凍してから食べるそう。
腕がパンパンになるまで頑張ったクレシャンさんに、皆さんは「よく頑張った」「素晴らしい」と声をかけてくださいました。
翌日、念願のいかめしを作ります。家庭で作るいかめしの味も学びたいクレシャンさんのために、歓迎会で出会った関川節子さんが協力してくださることに。
関川家で三代伝わる、おふくろの味のいかめし。まずは、鰹、昆布、焼きあごの3種類の出汁を合わせます。角がないまろやかな味に仕上げるため、味付けはめんつゆがメイン。
火にかける前に、常温でタレに漬けておくことで、お米に味がゆっくりと染み込み、炊き上がりももっちりと。その後、中火でじっくりと煮込めば、おふくろの味のいかめしが完成!
自分で釣ったイカで作ったいかめしを頬張り、「最高です!」とクレシャンさん。お世話になった皆さんにも大好評! 昨日、船の上で調理した沖漬けもいただきました。
別れの時。クレシャンさんは「これから海に出る度に、木村さんに教えていただいたことを思い出します」と伝え、大事なレシピを教えてくださった関川さんにも感謝を。
最後に、木村さんと関川さんに南アフリカのお酒を渡すと、木村さんからは、南アフリカに帰ってもイカ釣りができるようにと、疑似餌のプレゼントが! さらに関川さんから、イカが入った松前漬けをいただきました。クレシャンさんは「これらを食べたり使ったりする度に、皆さんを必ず思い出します」と伝え、ハグを交わしました。
木村さん、関川さん、本当にありがとうございました!
いかめし作りに最適な鍋が欲しい!
次に向かったのは、世界遺産「厳島神社」がある広島県廿日市市。クレシャンさん、南アフリカではステンレス製のフライパンを使っていかめしを煮込んでいましたが、鍋全体が温まるのに時間がかかり、煮え方にバラつきが。そこで、「ニッポンでいかめし作りに一番適した鍋を見つけたいんです」と話していました。
そんなクレシャンさんの熱意を伝えたところ、「鎚起銅器」を作る職人、矢竹純さん・葵さん夫妻が受け入れてくださることに。鎚起銅器とは、1枚の銅板を木槌や金槌で叩き、様々な立体を生み出すニッポンの伝統技法です。
矢竹さん夫妻は、鎚起の名門で修業を積み、3年前に独立。200年受け継がれてきた技を用いて、日用品から工芸品まで様々な作品を制作しています。
鎚起銅器の最大の長所は熱伝導率。銅の熱伝導率は鉄の5倍、ステンレスの25倍といわれ、食材にすぐ火が通るのだとか。「まさに私が探し求めていた鍋です」とクレシャンさん。
試しにホーロー鍋と鎚起銅器の鍋を同じ火力で5分間熱してみると、その違いは一目瞭然。沸騰している銅鍋に対し、ホーロー鍋はまだ沸いていません。20分ほど煮込んだ大根を食べ比べると、銅鍋の方が柔らかく、出汁の味がしっかり染み込んでいます。
ここで、鎚起銅器を作るところを見せていただくことに。今回は、1枚の銅板から深さ15センチの煮物鍋を作っていきます。
まずは銅板を一度熱した後、冷まして成形しやすい柔らかさに。コンパスで目安となる線を書いたら、線に沿って木槌で叩き、鍋の縁になる部分を起こしていきます。
出てきたシワを叩いて形を整えると、同時に銅が縮まり、強度が増す性質も。そのため、100年以上使えるほど丈夫な鍋に。シワが重なると亀裂が入って割れるため、シワが重ならないよう、正確な木槌捌きが求められます。
銅板を叩く際に裏から当てる「当て金」は、作る形に合わせて120種類以上。さらに木槌も100本以上! これらの道具を使い分け、思い通りの形へと成形していきます。重要なのは板を送る左手。右手で叩き、左手の送りで位置を調整することで、美しい立体になるのです。
クレシャンさんも成形に挑戦。金槌を打つ右手だけでなく、左手も疲れるようで「本当にハードワークです」と汗だくに。
続いて、砂が入った袋に乗せ、木槌で内側から押し出すように叩くと、徐々に鍋に深さが。砂袋がクッションとなり、より滑らかに形を整えることができるそう。その後、再び金槌に持ち替えて外側から叩くこと2時間。叩いたところが綺麗な円に!
次は、「焼きなまし」。銅が硬くなると成形しづらくなるため、叩いては焼いて柔らかくする作業を繰り返し、少しずつ鍋の形を作っていきます。複雑な作品になると、焼いては打つ作業を何十回と繰り返すことも。
コーヒーブレイクを挟み、一定の角度とリズムで叩き続けること3万回以上。作業時間はなんと10時間! 1枚の平らな銅板が、ようやく鍋の形になりました。最も難しい仕上げの工程は、翌日作業することに。
その日の夜は、矢竹さん夫妻が歓迎会を開いてくださいました。鎚起銅器の鍋で調理した、串揚げやご飯をいただきます。熱が入りやすく油が高温に保てるため、揚げ物はサクサクな仕上がりに。ご飯も沸騰が早く高温で炊けるため、極限まで甘みが引き出されるそう。鎚起銅器の力を体感したクレシャンさんでした。
翌日は、「ならし」と呼ばれる仕上げの作業。10時間叩き続けて鍋の形にした銅版をさらに叩いていくと、凸凹だった表面に輝きが。形を作る時についた金槌の目をならし、表面を滑らかにすると同時に、銅板の厚さも均一に。さらに、熱当たりが良くなるよう、鍋底に丸みをつけていきます。
外側を仕上げるだけでも4時間。内側に金属臭を抑える錫をひき、取手をつけたら、鎚起銅器の煮物鍋が完成! 叩いた数は実に5万回以上。その美しさに、クレシャンさんは感動!
翌日、お世話になったお礼を伝えるため、再び矢竹さん夫妻の工房へ。クレシャンさんは、南アフリカの人形とダチョウの卵の置物をプレゼントします。ダチョウの卵は幸運や成功の象徴とされ、南アフリカでは特別な相手に贈る習わしがあるそう。
「お2人の鎚起銅器に取り組む情熱に本当に感動しました。私は料理人として料理に魂を込める2人のような職人を目指します」と、感謝の手紙を読み上げます。
すると純さんから、クレシャンさんの帰国に間に合うよう、夜遅くまで最後の仕上げをしてくださった鍋と、蓋のプレゼントが! 色はクレシャンさんが好きな青色。クレシャンさんが叩いた鎚目もあえて残した、世界に一つだけのいかめし専用鍋です。
「本当に美しい仕上がりです! 美しすぎて使っていいものなのか……」と恐縮するクレシャンさんに、「ガンガン使ってくださいよ!」と純さん。
純さん、葵さん、本当にありがとうございました!
こうして南アフリカに帰国したクレシャンさんから、嬉しい報告が。
いかめしのキッチンカーを夢見て、より一層いかめし作りに励んでいるクレシャンさん。行きつけの魚屋さんに頼み込んだところ、いかめしに合った小さなイカを仕入れてもらえるようになったそう。いただいたロットと鎚起銅器も大活躍しているとか。
最後にクレシャンさんは「お世話になった皆さんのおかげで、人生で最高の経験ができました。いかめしの素晴らしさを南アフリカで広めていけるよう頑張ります。いかめし最高!」と語ってくれました。
クレシャンさん、またの来日をお待ちしています!
月曜夜6時25分からは、月曜プレミア8「世界!ニッポン行きたい人応援団SP」を放送!
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記事提供元:テレ東プラス
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