南インド・テランガーナ州の村 葬式を舞台にしたおかしな人間模様 「コムライヤ爺さんのお葬式」公開決定
南インド・テランガーナ州の農村のみずみずしい緑の中で繰り広げられる悲喜劇を描いた映画「コムライヤ爺さんのお葬式」が、2024年11月15日より劇場公開されることが決まった。
のどかな農村のコーナラーウペータ村に、1954年生まれの口の悪いやもめ男のコムライヤが住む。彼と同居しているのは長男のアイライヤとその妻スワルーパ、その息子サーイルだった。サーイルは奇妙なベンチャー・ビジネスを試みては失敗を繰り返している青年で、家族には隠しているが借金まみれ。彼はまもなく婚約式を行うことになっており、相手の持参金を借金返済に当てようともくろんでいる。しかし、式の前々日に突然コムライヤが他界。服喪のため式は延期となり、さらにささいなケンカがもとで、婚約者とその親族が彼のもとを去ってしまう。
そんな中、サーイルは叔母に連れられてやってきたいとこのサンディヤに心を奪われる。コムライヤの告別式と火葬は滞りなく済み、服喪の最終儀礼にあたる、野辺でのカラス(死者の霊や祖霊が宿るとされる)への供犠へと進む。しかし、そこに至るまでの間に、久しぶりに一堂に会した親族たちのエゴの衝突や旧怨のぶり返しなどが噴出し、不穏な空気が高まっていく。
舞台となるテランガーナ州は、2014年に成立したインドで最も新しい州。その州都ハイダラーバードがテルグ語映画の本拠地であるにもかかわらず、複雑な歴史的経緯と方言の問題から、テランガーナ地方の住人たちはテルグ語映画の表舞台で活躍する機会に恵まれなかった。だが、2014年の州の成立前後から、テランガーナの文化を映画に取り込もうとする試みが徐々に始まり、本作もそうした試みの1つである。
キャスト・スタッフの多くはテランガーナ出身者で固められ、ヴェーヌ・イェルダンディ監督の出身地であるラージャンナ・シリシッラ県の緑豊かな風景の中で撮影された。小さな村の奇妙な人々の人間関係、死者の霊との神秘的なコミュニケーションなどを、ビームス・シシローリヨーの手になる美しい音楽が包み込んでゆく。弔問客を前に繰り広げられる伝統芸能ハリカタ、野辺送りでにぎやかに随伴する打楽器ティーンマール、死者に語りかける哀哭歌ブッラ・カタなど、さまざまな民俗音楽がちりばめられた田舎ミュージカルともなっている。
【作品情報】
コムライヤ爺さんのお葬式
2024年11月15日(金)よりシネリーブル池袋、キネカ大森にて公開
配給:インドエイガジャパン
記事提供元:映画スクエア
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