年商40億超え 地方のお菓子を世界へ…サブスクで復興支援:ガイアの夜明け
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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10月25日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは「世界へ届け!ニッポンのお菓子」。
今、日本のお菓子が世界中で人気を集めている。地方の中小メーカーのお菓子を世界へ届けることで復興を後押しする、スタートアップ企業に密着した。
【動画】年商40億超え 地方のお菓子を世界へ…サブスクで復興支援
ニッポンのお菓子を世界180の国と地域へ届ける会社

食い倒れの街・大阪に、知る人ぞ知る菓子メーカー「みどり製菓」(大阪市 東住吉区)がある。主力商品は、砂糖と水飴を寒天で煮詰めたゼリー菓子だ。
正月用のダルマや富士山など、季節に合わせたさまざまな形のゼリー菓子を、全て手作業で製造している。
この「みどり製菓」のゼリー菓子が海外で人気を集め、工場に外国人観光客が訪ねてくることも。翠大輔専務は、「ICHIGO(イチゴ)さんが、海外に商品を紹介してくれた。感謝でいっぱい」と話す。

「ICHIGO(イチゴ)」(東京・港区)は2015年に創業したスタートアップ企業。社員78人のうち約7割が外国人。社長の近本あゆみさんが世界で大ヒットさせたのが、日本のお菓子を箱に詰め込んで届けるサービスだ。

箱には15〜20個のお菓子を入れる。外国人が「日本」を連想しやすい歌舞伎揚の菓子や海外では手に入らない日本限定の味の「キットカット」も人気だという。
料金は、航空便の送料込みで1箱約50ドル(約7500円)。毎月、定額料金の「サブスク」で、世界180の国と地域にお菓子箱を届け、年商は40億円を超えている。

近本さんが今、力を入れているのが、和菓子を中心に集めた「サクラコ」シリーズ。沖縄や広島など、その地域で作られているお菓子を詰めたボックスで、人材や資金力のない地方の菓子メーカーに代わって、海外への販路を開拓する狙いもある。
近本さんは、早稲田大学を卒業後、「リクルート」に就職。28歳で退職し、日本のお菓子を世界に広めたいと「イチゴ」を立ち上げた。近本さんは「日本のメーカーは商品展開のスピードが早く、いろいろなバリエーションでやっているので、サブスクにすれば、長く日本の食文化として楽しんでもらえる」と話す。
6月中旬、近本さんと「サクラコ」のバイヤー・日野利香さんは、元日の大地震で、甚大な被害を受けた能登半島を訪れた。「サクラコ」の10月号を「石川県」に決めた近本さん、能登半島の菓子メーカーを入れることで支援できないかと考えていた。

地震で全焼した輪島朝市を目にして、呆然と立ちすくむ近本さん。実は、近本さんは兵庫県西宮市の出身。阪神・淡路大震災が発生した当時は小学4年生だった。そうした経験から、被災した人々の思いを痛いほど感じていたのだ。

2人が向かったのは、3月から製造を再開した「栄煎堂」。2代目社長の中森 治さんと長男の虎太郎さんが営んでいる。看板商品の「ごませんべい」は、半世紀以上、輪島の朝市の屋台で販売してきた名物で、ジャガイモのでんぷんから作ったほのかな甘さが特徴だ。
近本さんが、ぜひ「サクラコ」で取り扱いたいと伝えると、虎太郎さんは「むしろ入れてもらえるなんて光栄」と快諾した。

翌日、近本さんたちは能登町にある「横井商店」へ。伝統の「松波飴」を手がける150年続く老舗だ。出迎えてくれたのは、5代目の横井千四吉さん(75)と営業を担当する次男の裕貴さん(45)。千四吉さんは「私らの飴は、米と大麦で作った飴。砂糖とかそういうものは入っていない」と説明する。

地震で100年以上使い続けてきた竈がひび割れ、一時は廃業も考えた千四吉さん。しかし、米飴の味を絶やしたくないと、地震から1カ月後に製造を再開した。
近本さんが「数万個買わせてもらいたい」と持ちかけると、驚いた様子の横井さん親子。
かつてない大きな取引に、「頑張って作り続けてきた。こういうチャンスをいただいて報われる」と千四吉さん。
被災地・能登の菓子メーカーを救え! “石川版サクラコ”を世界へ
千四吉さんは、息子の裕貴さんに近本さんとの交渉を託すが、なぜか裕貴さんの表情がさえない。実は元日の大地震以来、裕貴さんの心は揺れていた。

「地震があって、このまま能登に住んでいていいのかな。若い人はどんどん能登から去っているし、取り残された感はある」と裕貴さん。
就職氷河期世代の裕貴さんは、新聞配達をしながら通っていた大阪の大学を中退。自動車の組立工や通信会社の派遣社員、介護士など職を転々とし、6年前、実家に戻ってきた。
「父と母が仕事ができなくなったら自分一人になる。一人で製造も営業も事務も全部できるか…難しいと思う」。裕貴さんは、店を継ぐのを半ば諦めていた。

8月下旬。「横井商店」の5代目、千四吉さんは、「イチゴ」に出荷する米飴の生産を始めていた。千四吉さんは「イチゴ」向けに新作の飴を作ることにした。石川県の高級ブランド梨「加賀しずく」のピューレを使った飴だ。
米は能登産のコシヒカリで、蒸した後に大麦の麦芽を混ぜていく。麦芽の酵素によって米のでんぷんが糖化し、天然の甘みが出てくるのだ。
一方、息子の裕貴さんは、「加賀しずく」のピューレの調達に追われていた。
能登の飴が世界で食べられるようになる──。「大学を中退して就職には恵まれなかったけど、ようやくチャンスをつかめそうな雰囲気になってきた」と話す裕貴さん。気持ちに変化が生まれていた。

9月19日。「イチゴ」の本社で、10月分のサブスク「石川県」の撮影が行われた。
今回の箱は、輪島塗をイメージしたシックなデザイン。箱を開けると、近本さんが選んだ色とりどりのお菓子が目に飛び込んでくる。
加賀のほうじ茶を使った「きなこ餅」や「栄煎堂」の白ごませんべい、「横井商店」の新作「加賀しずく」の米飴など、20種類のお菓子に箸も付けた。あとは、各メーカーに発注したお菓子が届くのを待つだけ…

しかし、2日後の9月21日、能登地方を記録的な大雨が襲う。「横井商店」や「栄煎堂」は無事なのか、ガイアの取材班は現地へ向かった。
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記事提供元:テレ東プラス
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