岡山絵里が9年ぶりステップ2勝目で涙 メジャー予選は腰痛で回避、悔しさ晴らし「きょうの優勝は自信に」
<Sky レディースABC杯 最終日◇27日◇ABCゴルフ倶楽部(兵庫県)◇6645ヤード・パー72>
久しぶりに味わう感覚は格別だった。5バーディ・1ボギーの「68」で回り、スタート前の1打のリードを2打に広げて、岡山絵里が逃げ切った。プロ1年目だった2015年「山陽新聞レディースカップ」以来となる9年ぶりのステップ2勝目。18番グリーンでの優勝インタビューでは「苦しいときを支えてくれた人に感謝したい」と涙がこぼれた。
ここ数年は持病の腰痛の再発に苦しみ、22年はメルセデス・ランキング64位に終わり、5季連続で守ってきたシードを失った。オフのトレーニングでさらに状態が悪化した翌年は同ランキング135位。「それまで年に1回くらいだったギックリ腰が年に3回はやるようになった。股関節も悪くて日常生活にも支障をきたし、ゴルフをやめようとも考えました」。本来のパフォーマンスは影を潜め、メンタルもやられた。
復活の兆しが見え始めたのは、トレーニングのメニューを見直した今年のオフだった。「トレーニングというよりリハビリに近いかな。器具は使わず基本は自重。今では18ホールを回って軽い違和感というか、張りを感じる程度になった。まだ完治はしていないけど、問題なく振れています」。4日間を通してボギーは4つだけ。バーディは20個と量産し、大会記録のトータル20アンダー。10番で同じ最終組で回った沖せいら、アマチュアの荒木優奈に並ばれたが、「逆にやる気が入った」と直後の11番で1.5メートルを沈めるバーディで再び単独首位に立った。その後は影すら踏ませなかった28歳は「セーフティが最近のゴルフだったけど、今週はたくさんバーディが取れた」とアグレッシブなスタイルを貫いた4日間を満足そうに振り返った。
自画自賛した“きょうイチ”のショットは18番の1打目だった。ドライバーで280ヤード以上先のフェアウェイに運んだショットを挙げ、残り160ヤードを6番アイアンで2オンに成功し、有終のバーディにつなげた。持ち球をドローからフェードに変えている途上のビッグドライブ。「すごくいい当たりだった」と会心の笑みを浮かべた。
昨年11月以来となったステップでつかんだ復活Vで悔しさも晴らした。今週の国内メジャー「日本女子オープン」には予選会経由で出場を目指していたが、予定していた7月29日の地区予選は「腰が痛くなって」と無念の欠場。その時点で今大会の出場を決め、「絶対に勝ちたい」と心に誓ったという。
今季のレギュラーツアーは25試合に出て、メルセデス・ランキングは59位。第2回リランキング16位で臨むシーズン終盤戦の目標は当然、シード復活だ。「きょうの優勝はすごく自信になりました」。プロ10年目の節目のシーズン。最後は笑って終わらせる。(文・臼杵孝志)
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