「大江戸温泉物語」「湯快リゾート」が統合!料理&サービス革命の舞台裏:ガイアの夜明け
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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11月15日(金)に放送された「ガイアの夜明け」のテーマは、「東西“温泉王”の野望!~独占密着300日~」。
11月、日本の温泉旅館業界に大きな変革が起きた。東日本を中心に37の温泉・温浴施設などを展開する「大江戸温泉物語」と、西日本を中心に29の温泉宿を展開する「湯快リゾート」がブランド統合。「GENSENホールディングス」という新会社が立ち上がり、日本最大級の巨大温泉チェーンが誕生したのだ。
ガイアは、この統合の舞台裏を約1年にわたり密着取材。それぞれのブランドの意地とプライドがぶつかり合う現場で何が起きていたのか。温泉旅館業界にどんな地殻変動をもたらすのか、その舞台裏を追った。
【動画】「大江戸温泉物語」「湯快リゾート」が統合!料理&サービス革命の舞台裏
品質とコスパと…大江戸&湯快“統合メニュー”を巡る、料理人たちの戦い
11月1日、東西2大温泉チェーン「大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ」と「湯快リゾート」が統合。五分と五分の関係で「GENSENホールディングス」として生まれ変わり、売り上げ580億円規模を誇る日本最大級の巨大温泉チェーンが誕生した。
2001年に創業した「大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ」。お台場の施設が大人気となり、その後、経営難に陥った温泉旅館を次々と買い取り、再生させてきた。
既存の施設をそのまま使う“居抜き”で初期投資を抑え、浴衣などは、セルフサービスで選んでもらう方式。1泊1万3000円程度(※季節・宿泊人数により変動)の手頃な料金を実現した。
2003年創業の湯快リゾートも、各地で旅館を買い取り“居抜き”するよく似た経営スタイル。料金は1泊1万1200円程度(※季節・宿泊人数により変動)と大江戸より少し安めだ。その理由は自動精算機を導入するなど、効率化を徹底したため。受付は多くて2人と、人件費を抑えこんできた。
大江戸は、東日本の名湯を中心に全国37施設。湯快リゾートは、西日本を中心に29施設を展開していたが、今回の統合で湯快リゾートの屋号はなくなり、より知名度の高い「大江戸温泉物語」に統一された。
大江戸も湯快リゾートも、多彩な料理をそろえたバイキングが特徴。全店統一のグランドメニュー、季節ごとのシーズンメニューの他、地域によって異なるご当地料理も楽しめる。
大江戸温泉でメニュー開発を担当しているのが、山口伸雄さん(49)。元々イタリア料理のシェフだった山口さんは、本場の名店で修業を積んだ。その後はシンガポールの有名ホテル「マリーナベイ・サンズ」で、エグゼクティブシェフも務めた本格派。その腕を見込まれて3年前、大江戸に引き抜かれ、味も見た目も手を抜かないバイキングを手がけている。今回の統合で大江戸、湯快全館のメニューを一新。山口さんは、その責任者を任された。
4月下旬。大江戸グループ全店舗のメニューを決めるテストキッチンでは、統合に先駆けて、9月から始まる「秋冬メニュー」の試作が行われていた。
湯快リゾート側の責任者、平山大臣さん(56)。平山さんは、京都の「下鴨茶寮」関連店などで修業を積んだ、筋金入りの職人。和食のノウハウで、「巻きずし」や「もつ鍋」など、日本人好みのメニューを用意していた。一方、大江戸側の山口さんも、イタリア仕込みの技術で、バリエーションに富んだ料理を提案。大江戸側は見た目も美しい10品、湯快側は大皿料理を中心に10品用意した。
和・洋・中がそろったシーズンメニュー…大江戸と湯快の料理部門トップをはじめ、全員で双方が持ち寄った料理を食べ比べ、より良いメニューを取り入れることに。
味の感想が飛び交う中、平山さんはいささか険しい顔。「サーモンは難儀かもしれない」。そう指摘したのは、山口さんが提案した具材を何種類も重ねたサーモンのユッケ風マリネ。「調理の工程を一個でも減らせないか」と提案する。
湯快は調理スタッフが少ないため、客が自ら取り分ける大皿料理が中心だった。平山さんは「人の問題があるし、手間がかかるものに慣れていない」と不安を口にする。
一方、大江戸側の山口さんも、「実際に再現性を担保できるというのも大事だが、オペレーション重視でお客様の意見を無視するような料理だったら、それは出さない方がいい」と譲れない。
最終的に、大江戸側が5品、湯快側が4品採用となった。サーモンのユッケ風マリネも選ばれた。
7月下旬。平山さんは、「湯快リゾート プレミアム 白浜御苑」(和歌山・白浜町)にやって来た。ここも4カ月後には、屋号が大江戸温泉物語に変わる。
集まっていたのは、近隣の「湯快リゾート」4軒の調理場関係者たち。
もう約1カ月後に始まる統一メニューについて説明に来ていたのだ。
平山さんは、「11月のブランド統合に向けて、大江戸・湯快、100パーセント同じメニューを提供する。ここが一番カギになる」と話し始める。
「サーモンのユッケ風マリネ」を盛る器を取り出し、「1個ずつ、飾りも全部やるというのが課題。チャレンジになる」と説明する平山さん。
すると、白浜御苑の料理長から「サーモンマリネだけは…できない」と指摘が入る。
盛り付けにこだわる分、労働時間の超過を心配していたのだ。
実は調理場では、アジアを中心とした外国人のパート従業員が働いている。人手不足の中、彼らは貴重な戦力だが、多くを求められないという実情があるのだ。
しかし平山さん、「食は大江戸に寄せて、上げていかないとならない。大江戸の看板を背負っているから、お客様も期待感がある。クリアできなければ、次には進めない。“湯快、変わったな”というのは、こういうとこから始まっていく」と説得する。
現場の不安を受け止め、平山さんどう動くのか…
9月。山口さんと平山さんは「湯快リゾート プレミアム 白浜御苑」へ。
いよいよ統一メニューの提供が始まったが、ここで“ある問題”が発生する――。
湯快リゾートのキーマンによる“超・効率化改革”
古くから日本三名泉に数えられている岐阜・下呂温泉。この温泉街に、2017年から大江戸グループになった「大江戸温泉物語 プレミアム 下呂新館」がある。
ここにやってきたのが、湯快リゾート ゼネラルマネージャーの川崎俊介さん(43)。
湯快のナンバー2だ。訪れるなり、何かが気になった。
「エレベーターのボタンを押す前にレストランへ行こうと思ったら、何階に行ったらいいかわからない。聞かなくても良い事は、聞かずに分かる方がいい。分かるようになっていたら、内線の数も減らせる」と指摘する。行き先の案内がエレベーターの近くになかったのだ。
川崎さんから指導を受けていたのは、支配人の白川智恵さん。大江戸にも、「湯快式」が導入され始めていた。
今年初めて設置された自動精算機に、白川さんは、「混み合い具合とか、スタッフのバタバタ具合が全然違う。精算機で戸惑う声もないし、今まではすごい並んでいたのに、列がない」と、笑顔で話す。実はこの自動精算機も川崎さんが主導したもの。
川崎さんは、湯快リゾートの立ち上げメンバーの一人。効率的な旅館運営で、その快進撃を牽引してきた人物だ。
今回の大江戸との統合後も、「GENSENホールディングス」運営本部長として、サービス改革の旗振り役を務めている。
「下呂新館」にはもう一つ、レストランに問題があった。
172席あるメインフロアから離れた78席のサブフロア。メインフロアの客は、料理が近いので何度も取りに行けるが、長い廊下を挟んだ先にあるサブフロアは、移動も大変な上、活気もない。
川崎さんは「サブフロアを使わないオペレーションに変えるべき。お客様の満足度が下がるのは間違いない。1部、2部、3部に分けて解決した方がいい」と大胆なオペレーション変更を提案する。
今までは、夜のバイキングは午後5時と7時の2部制にしていた。
それを3部制にすることで、一度に来る客数を減らし、評判の悪いサブフロアを使わないようにしようというのだ。
いきなりのオペレーション変更に、レストランマネージャーの中村彰宏さんは「2部制だとリセットの時間もあるし、気持ちが構えられる。ずっと客が入ってくることに、どれだけ対応できるか」。と戸惑いを吐露する。
これまでは、30分間の準備時間が取れた。しかし3部制にすると、これがなくなり、常にお客さんが出入りする事になってしまうのだ。
7月の3連休。レストランも混むことが予想されるが、あえて3部制を試してみることにした中村さん。
問題のサブフロアは、完全にクローズした。営業開始、レストランはすぐ満席に…
いかにスムーズな入れ替えができるかがカギとなるが、新たなオペレーションはうまくいくのか――。
能登地震が襲った…歴史ある温泉街の灯を消すな!
2月10日、石川・和倉温泉。湯快リゾートが所有する大型温泉旅館「金波荘」。
本来なら、グループの最上級ブランド「TAOYA」として生まれ変わり、11月にオープンする予定だったが、元日に発生した能登半島地震で館内は荒れ果て、自慢の露天風呂に以前の面影はない。
「金波荘」の支配人を務める竹内一雄さん(56)はひと気がない温泉街を見回し、「音がしない…寂しい」とつぶやく。
5月下旬。「金波荘」に向かうと、竹内さんに「最悪、閉館するかもしれない」との知らせが入る。地震の影響で建物の一部がわずかに海側に傾いており、今後の調査次第では、全て建て直す可能性も。その費用は莫大で、閉館に追い込まれるかもしれないという。
「下手したら、(建て直すのに)数百億円かかる」。経営幹部の川崎さんと竹内さんは長年一緒に働いてきた旧知の仲だが、川崎さんは判断を迫られる。果たして、「金波荘」の運命は――。
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記事提供元:テレ東プラス
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