エジプトでキャンプしてみたら、想像と全然違った…|親子2人海外キャンプ旅【エジプト前編】
イチオシスト
エジプトキャンプの始まり

エジプトと聞いて、まず思い浮かぶのはピラミッドやスフィンクス、アブ・シンベル大神殿といった壮大な遺跡の数々ではないでしょうか。悠久の歴史を感じさせるこれらの遺産を一度はこの目で見たいと願う人も多いことでしょう。
しかし今回は、そんな定番の観光とはひと味違う「キャンプ泊でエジプトを巡る」という斬新な旅をご紹介します。「エジプトには遺跡しかない」と思われがちですが、実は自然を満喫できるキャンプ場も数多く存在するのです。
この旅の目的は、そうしたステレオタイプなイメージを良い意味で裏切ること。遺跡観光とは一線を画す、もうひとつのエジプトの魅力に迫ってみましょう。
それでは、非日常すぎる「エジプトキャンプ旅」をご紹介していきます。
航空券は意外と安い?エジプトへの行き方

いつものことながら、海外キャンプの準備についてはこれまでの記事を参考にしてもらえたらと思います。
関連記事:荷物やレンタカーの手配は国内キャンプとどう違う?親子2人海外キャンプ旅Vol.1【準備編】
さて、今回の目的地はエジプト。気になるのはやっぱり「航空券はいくらくらいするの?」というところですよね。
日本からエジプトへは、現在成田からカイロ行きのエジプト航空が週2便運航していますが、実際のところはどこかを経由して行くのが一般的です。筆者も今回は中国東方航空を利用して、上海経由でカイロへ向かいました。
気になるお値段はというと、往復でだいたい10万円前後。ヨーロッパやアメリカ方面への航空券と比べると、意外とリーズナブルなんじゃないでしょうか。
おまけに現在エジプトポンドが急落している影響(2026年現在)でエジプト国内でのお買い物がしやすい状況でもあります。日本円が円安で海外旅行しづらい状況ではありますが、エジプトは比較的金銭的な部分で旅行しやすいのもメリットになっています。
エジプトの運転事情は“自由すぎる”

エジプトは国際運転免許証が使えるジュネーブ条約加盟国ということで、今回は思い切ってレンタカーを借りてみることにしました。
海外での運転はこれで8カ国目になるんですが、中東エリアは初めて。正直、ハンドルを握るまではちょっとドキドキが止まりませんでした。
今回借りたのはプジョーのセダンタイプ。2人旅ならこのサイズで十分な広さです。
ちなみに、エジプトのレンタカーは走行距離に制限がある場合が多く、今回の車も6日間で900キロまでというルール付き。制限を超えると、4キロごとに1ドルの追加料金がかかる仕組みでした。このあたりは、うまく計画を立てながら走るのがポイントですね。
気になるお値段は、6日間でおよそ3万5千円。この内容なら、なかなか悪くないのではと思います。

いざ、レンタカーでカイロの中心部へドライブ開始! さて、エジプトの道路事情ですが……一言で言うなら、“自由”です(笑)。
車線なんてあってないようなもので、みんな「我先に!」と前へ前へと進んでいきます。とはいえ、これがまた絶妙な間合いでぶつからないんですよね。その代わり、クラクションの嵐!
アジアや中東ではよくある光景ですが、日本と違って、こちらのクラクションは「警告」ではなく「会話」のようなもの。
つまり、自分の「存在を知らせるため」に鳴らすんです。
「ここに俺がいるぞ〜!」とか「今からそこ入るぞ〜!」みたいな感じで(笑)。
そんなわけで、街中は常にクラクションの音で包まれています。
最初はびっくりするかもしれませんが、しばらく運転しているとだんだん慣れてきて、“郷に入っては郷に従え”の精神で、こっちも負けじとクラクションを鳴らしながら、自分の存在をしっかりアピールしていきましょう。
ギザの3大ピラミッドとスフィンクス
ピラミッドは“砂漠のど真ん中”じゃなかった

あの有名なギザのピラミッドとスフィンクスって、いったいどこにあるんだろう?
多くの人が思い浮かべるのは、果てしない大砂漠の真ん中にそびえるピラミッドの姿ですよね。
でも実はカイロの街中にあるんです。

車だとカイロ国際空港からおよそ50分ほど。街の喧騒を抜けてしばらく走っていると、ビルの隙間から突然ピラミッドが顔を出す瞬間がやってきます。あの光景を初めて見たときの高揚感といったら、もう言葉になりません。
「うわっ、本当にピラミッドってあるんだ!」と思わず声が出てしまいました。
チケットを買って敷地内へ入ると、入り口のあたりはまだ完全に“街中”の雰囲気。ピラミッドの方向を見ると、テレビで何度も見たあの風景が広がり、ふと反対側に目をやると、そこにはカイロの街並みがずらり。

そして有名な話ですが、ピラミッドのすぐ前にはケンタッキーがあるんです。実際に見てみると、1・2階がケンタッキー、3階がピザハット。
「ピラミッドビューのファーストフード店」なんて、なんだか不思議な光景ですよね。

進んでいくと、目の前にどっしりと鎮座しているのが、あの大スフィンクス。人間の顔をした猫のような姿で、まるでピラミッドを守る守護神のような存在感です。
スフィンクスを見るだけなら入場料だけでOK。ただし、ピラミッドの内部に入るには別途チケットが必要になるので、入りたい人はチケットオフィスで忘れずに購入しておきましょう。ちなみにチケット支払いはクレジットカードのみです。

僕と息子はもちろん、中に入る気満々! せっかく来たからには一番大きなクフ王のピラミッドに挑戦です。
ただし、さすがはクフ王。入場料もちょっと格が違います。なんと1,500エジプトポンド(約4,800円)! ちなみに敷地の入場料が700ポンド(約2,100円)なので、倍以上する計算です。
合わせるとおよそ7,000円ほど。なかなかのお値段ではありますが、「一生に一度の体験」と思えば、ここは迷わず行くしかありません!
クフ王の内部、想像以上にハード
内部は思った以上に狭く、階段状の回廊は屈まないと進めないほど低い造りです。屈みながら階段を登るのはなかなか骨が折れますが、とにかく前へ前へと進んでいきます。
やがて階段を抜けると、視界が一気に開け、広々とした大回廊が姿を現します。その大回廊をさらに登り切ると、ついに石室のある「王の間」へ到着。

中に足を踏み入れると、天井は高く、奥には重厚な石棺が静かに鎮座し、室内全体が荘厳な空気に包まれています。ですが、ふと視線をやると、奥に日本製の空気清浄機がちょこんと置かれていて、なんとも滑稽な光景。そこは見なかったことにしておきましょう(笑)。
ちなみに、クフ王の「王の間」にある石棺については、「もともと墓ではなかった」という説もあるようですが、真相は果たしてどうなのでしょうか。
エジプトアウトドアショップへ?

海外でキャンプをする際、筆者がまず最初に行うのは燃料の確保です。筆者は海外キャンプにはCB缶専用のガスバーナーを持参しているため、まずはCB缶を探しにカイロ市内のアウトドアショップへ(地図)向かいました。
関連記事:『CB缶』と『OD缶』どっちを選ぶべき?キャンプ初心者にもわかる徹底比較ガイド
お店の探し方は意外とシンプルで、Googleマップを開き、現地語で「キャンプ用品店」と検索するだけ。このときはアラビア語で検索してみたところ、いくつか店舗がヒットしたので、その中から良さそうなお店を選び、車で向かうことにしました。
さて、エジプトのアウトドアショップとは一体どんな雰囲気なのでしょうか。
エジプトのキャンプ用品店、想像と違いすぎる



お店の中へ足を踏み入れた瞬間、ふと「なんか違うぞ」という妙な違和感に襲われました。
「あれ? ここ、本当にキャンプ用品店?」
入口からすぐ目に飛び込んできたのは、砂漠でお茶を飲むための小さなテーブルや、棚いっぱいに並んだ大量のヤカン。最初は「お茶道具屋さん?」と思ってしまったほどです。
しかし、ここはアラブの国・エジプト。ムスリムの方々はお酒を飲まないため、お茶文化が非常に発達しています。どうやらここは、砂漠で家族や友人とお茶を楽しむための道具を扱うお店らしく、広義で言えばこれも立派なアウトドア用品店というわけです。
とはいえ火器類もきちんと揃っており、ガスバーナーやマルチグリドル風の鉄板なども販売されていました。そして肝心のCB缶も無事に発見。目的はしっかり果たせました。
エジプトのキャンプ場へ
Wadi Camp(エジプト・カイロ)

燃料と食料の調達を済ませたら、いよいよエジプトでの初キャンプです。日本にいる頃から目をつけていた、カイロ近郊のキャンプ場へ向かいます。
目的地は、カイロ中心部から車で約30分ほどの場所にある 「Wadi Camp」(ワディキャンプ)(地図)。ワディ・ネグラ保護区内にあり、入場料は1人25エジプトポンド、車1台につき10エジプトポンド。まずは入場ゲートで料金を支払い、そのまま車を進めていきます。
管理されていない“自由すぎるキャンプ場”

中に入ると、中央に一本の車道が走り、その両脇には荒涼とした砂岩の山々が奥深くまで連なっています。地図上ではキャンプ場が点在しているように見えるものの、実際には管理されているのかどうか判然としない場所も多く、少々不安を感じる状況です。
道路は舗装されていないため、慎重に車を進めていきます。基本的にはどこでキャンプをしても問題ないようですが、トイレなどの設備を考えると、どうしても施設の利用が必要になってきます。
マップ上にはいくつかキャンプ場が表示されているので、事前に気になる場所へ連絡を取ってみると安心でしょう。

車を走らせることおよそ15分。キャンプに適した場所を探しながら進みます。敷地の低い場所よりも、少し高台に登ったほうが景色を見渡せそうだと感じ、車で行けるところまで登ることにしました。
そこからはザックや荷物を背負い、小高い丘へと歩いて向かいます。丘の上に立つと、目の前には思わず息をのむような素晴らしい景観が広がっていました。その一瞬でこの場所が気に入り、ここを今夜のキャンプ地に決定。
さっそく息子と二人で、テント設営を始めます。
砂漠でテント設営、気温差に驚く

今回、日本から持参したテントは「GOLITE SHANGRI-LA 3」。黄色いカラーに加え、そのフォルムもどこかピラミッドを思わせ、エジプトの風景によく馴染みます。
関連記事:今ではなかなか手に入らない…!廃盤・名品の「レジェンドギア」たち大集合
テントを張り終えると、広大な敷地を親子二人で散歩することにしました。日中は気温が35℃にも達し、日本より湿度は低いものの、それでも暑さはかなり堪えます。しかし、陽が傾き夕方を迎える頃には、次第に過ごしやすい気温へと変わっていきました。
目の前には山があり、よく見ると登っても問題なさそうな道が続いています。せっかくなので、その山に登ってみることにしました。

山頂まで登り切ると、そこには想像以上に広大な平原が広がっていました。視線を遠くへ向けると、かすかにカイロの街並みが見え、荒涼とした自然の中に人の営みを感じさせます。

山を下りていくと、周囲には薪のような木片が所々に落ちているのに気づきました。さらに見渡すと、あちこちに直火で焚き火をした跡も残っています。事前に禁止事項ではないことを確認したうえで、周囲から石を拾い集め、直火の焚き火の準備を始めました。
太陽が完全に沈むと、日本の夏とは違って湿度がほとんどないため、思いのほか涼しく感じられます。暑すぎる環境では焚き火をしない筆者ですが、この心地よい気候に後押しされ、ここぞとばかりに焚き火を楽しむことにしました。

同時に夕食の準備も進めます。エジプトのスーパーで購入した串焼きをマルチグリドルで焼き、同じく手に入れた米を炊飯。串焼きをおかずに、シンプルながら満足感のある夕食をとることにしました。ちなみに日本からのりたまを持参。
カイロ近郊とは思えない静寂と星空

ピラミッド観光を存分に楽しみ、アウトドアショップやスーパーにも立ち寄り、キャンプ地に辿り着くまでの行程を無事に終えることができました。車の運転やエジプト特有の交通事情にはかなり翻弄されましたが、ようやく心を落ち着ける時間が訪れます。
夕食をとりながら、息子と二人で今日一日の出来事を振り返りました。エジプトでキャンプをするという体験は、ほとんど誰も味わったことのないものですが、息子にとってはきっと一生心に残る貴重な思い出になったはずです。
夜空を見上げると、カイロという大都市の近くにもかかわらず、月と星々が静かに輝いていました。シャワー設備はないため、夕食後はそのままテントへ。日本から持参した夏用の寝袋を広げ、上から軽く掛けて、この日は静かに眠りにつきました。
現地キャンパーとの出会いと、アラブ式朝食
早朝4時頃になると、辺りが徐々に白み始め、テントの中もやわらかな光に包まれます。時差ぼけの影響もあってか、6時前には息子と一緒に起床しました。まだ太陽が昇らない荒涼とした砂岩地帯を、二人で朝の散歩に出かけます。
すると、同じ場所でキャンプをしていた若いエジプト人二人に声をかけられました。私たちが日本人だと分かると、どうやらアニメ好きらしく、日本のアニメについて熱心に褒めてくれます。日本のアニメが世界中で親しまれていることは知っていましたが、こんな場所で話題に上ると、あらためてその影響力を実感します。

テントに戻ると朝食の準備です。スーパーで購入したピタパン、クリームチーズ、トマト、オリーブ、ピクルスを並べ、アラブ風の朝食にしてみました。キャンプ中はどうしても栄養が偏りがちなので、野菜をしっかり摂ることは大切です。ピクルスは息子が悲鳴を上げながら食べていましたが(笑)。
さて、今回のエジプト・キャンプ旅(前編)はいかがでしたでしょうか。エジプトでキャンプをする機会はなかなかありませんが、少しでも参考になれば幸いです。
次回はいよいよ後編。舞台は砂漠地帯でのキャンプです。「砂漠でキャンプなんて危険なのでは?」と思われるかもしれませんが、実際は想像以上に毎日が絶景の連続で、日本では決して味わえない特別な体験でした。その様子を中心に、次回ご紹介していきます。
後編はこちら
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後編はこちら記事提供元:CAMP HACK
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
