憧れの雪山デビュー、どう始める?初心者が「怖さ」を「安心」に変える雪山登山スクール体験記
※記事内のクレジット表記のない写真は、すべて撮影:鈴木千花 雪山に憧れる。でも、怖い。 真っ白な稜線。青空と雪のコントラスト。SNSに流れてくる雪山の絶景を眺めると「いつか行ってみたい」と思うもの。でも、なかなか一歩が踏 […]
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イチオシスト
※記事内のクレジット表記のない写真は、すべて撮影:鈴木千花
雪山に憧れる。でも、怖い。

真っ白な稜線。青空と雪のコントラスト。SNSに流れてくる雪山の絶景を眺めると「いつか行ってみたい」と思うもの。でも、なかなか一歩が踏み出せない。
遭難、凍傷、低体温症、滑落——。
雪山は美しいけれど、確実にリスクのある世界です。
・独学で本当に大丈夫?
・講習ってハードル高そう
・そもそも何から始めればいいの?
そんな疑問を解消すべく、谷川岳ヨッホ by 星野リゾート(以下、谷川岳ヨッホ)にて開催される『雪山登山スクール』にYAMA HACK編集部で参加してきました。
スクールだからこそ得られたリアルな学びを、これから雪山へ一歩踏み出したい人にお届けします。
雪山の「怖さ」を正しく理解する
雪山は、雪が地形を覆い夏山とはまったく別の世界。だからこそ必要なのは、勇気ではなく“正しい知識”なのです。ここでは、雪という条件が加わることで発生する代表的なリスクを整理します。
雪山ならではのリスク

まず知っておきたいのが、雪山特有のリスク。
-
雪崩
雪山最大の特有リスク。積もった雪の層が不安定になり、気温変化や風、わずかな荷重をきっかけに一気に崩れることも。 -
雪庇・踏み抜き
稜線の風下側に張り出す雪庇や雪に隠れた空洞に注意。見えない地形が多いのも雪山ならでは。 -
凍傷
雪山で特に注意すべき身体リスク。低温・強風・濡れで指先や頬、鼻などの末端部は凍傷になりやすく、重度だと後遺症も。 -
ホワイトアウト
空と雪の境界が消え、凹凸や斜度が分からず方向感覚を失うことも。悪天候時だけでなく晴天でも起こります。
独学はなぜ危険なのか?

雪山のリスクは、知識があるだけでは防げません。大切なのはその場で正しく判断できること。地形を読み危険を避ける、天候を見て引き返す、汗をかかないよう調整するなど、動画やSNSでは、「現場でどう動くか」までは身につきにくいもの。
だからこそ、プロから体系的に学ぶことがいちばん確実で安全なスタートラインなのです。
谷川岳ヨッホの『雪山登山スクール』に潜入!



今回参加したのは、群馬県みなかみ町にある谷川岳ヨッホでの雪山登山スクール。都心からアクセスしやすく、ロープウェイで一気に標高を上げられる環境は、雪山初心者にとって大きな安心材料。無理なく雪山のフィールドに立てるのも、谷川岳ヨッホならではです。
プログラムを手がけるのは、谷川岳を知り尽くした「みなかみ山岳ガイド協会」。
現場を熟知したプロが開発したカリキュラムのもと、雪山の基礎技術を体系的に学びます。
谷川岳ヨッホとは……
「谷川岳ヨッホ」は、星野リゾートが手がける群馬県・谷川岳天神平エリアのマウンテンリゾート。谷川岳ロープウェイと天神平スキー場を含み、ロープウェイとリフトを乗り継いで“360度天空公園”へアクセスできます。
春〜夏は新緑、秋は紅葉、冬は100%天然雪のパウダースノーと、四季折々の絶景が広がるオールシーズン型の山岳観光スポット。
実際に参加してみた|雪山登山スクールレポート
今回参加したのは、入門編と初級編の2プログラム。それぞれ午前・午後に分かれ、段階的にレベルアップしていく構成になっています。
入門編|座学と実技で基礎を学ぶ

【入門編|講習内容】
- 座学と知識を織り交ぜた内容
- 登山の服装や持ち物を実物を見ながら学習
- 雪上歩行などの技術をフィールドでレクチャー
入門編は、座学と実技を組み合わせたプログラム。まずは、ロープウェイ天神平駅直結の展望レストラン『ビューテラスてんじん』で冬山の気象や雪崩の基礎、装備の考え方などを学んでいきます。

座学は、思わず誰かに話したくなる谷川岳の雑学からスタート。場の空気がほぐれたところで、冬山特有の気象変化や雪崩の仕組みへと話は深まります。



さらに、レイヤリングの考え方やガイドが実際に愛用している装備をその場で披露。グローブやシェル、雪山ならではのギアまで、製品名も交えて具体的に解説してくれます。

「レインウェアではダメなんですか?」 そんな疑問も、その場で気軽に質問できる雰囲気です。
ガイドが教えてくれたのは、「似ているようで、まったく別モノ」だということ。雪山用のハードシェルは、生地表面がややザラつき、雪面との摩擦も想定した設計。一方、レインウェアは雨を防ぐことが主目的のため、表面がツルッとした素材が多く雪上では滑りやすいこともあるそう。
もし滑落したら、その差は想像以上に大きい。パンツがレインウェアだと止まりにくくなる可能性があると聞き、思わず背筋が伸びました。
ほかにも……
- アイゼンはゲイターで包んで携行。スマートなパッキングかつ忘れ物防止にも。
- 細めチーカマをスマホのタッチペン代わりに。行動食にもなるから一石二鳥。
など、現場を知るガイドならではのリアルな工夫が次々と紹介されました。
座学の後は雪山フィールドへ


座学で知識を頭に入れたら、いよいよフィールドへ。まず取り組むのは、基本中の基本となる雪上歩行です。重心の置き方、足裏の使い方、歩幅の取り方ひとつで、安定感も疲労度も大きく変わります。

考えてみれば、“歩き方”をきちんと教わる機会は意外と少ないもの。雪面を踏みしめながら安定して歩く練習を重ね、午前の入門編はここまで。本格的な雪上技術は、午後の初級編へと続きます。
初級編|フィールドで実践力を身につける
お昼休憩を挟んだら、フィールドでの実習となる入門編がスタート。なお、初級編は入門編を受講した方のみが参加できる内容です。基礎を身につけてから次のステップへ進む仕組みなので、無理なく着実に力を伸ばせます。

【初級編|講習内容】
- 歩くルートを考える
- スムーズなアイゼンの装着方法を練習
- 急斜面での雪上歩行技術を複数練習
- ピッケルの持ち方、使い方
- 緊急時の対処法
初級編は、“自分で考えて動く”ことが求めらる内容。まずはアイゼンを装着するところから始まります。



ガイドのお手本を見たあと、実際に自分たちで装着していきます。最初は戸惑っても大丈夫。正しく身につけられるまで、丁寧にサポートしてくれます。

装着できたら、いよいよ歩行練習へ。「歩行がいちばん大事」という言葉の通り、急斜面での歩き方を段階的に練習します。



午前中に学んだアイゼンなしでの雪上歩行とつながる感覚も印象的でした。
アイゼンを装着すると、こんなにも安定するのか——。基礎があるからこそ、違いがはっきりと実感できます。



続いては、ピッケルの持ち方や構え方、ザックへの取り付け方法まで丁寧にレクチャー。単に持っているだけでなく、状況に応じて正しく扱えることが重要だと教わります。


最後に、イレギュラーな状況への対応として滑落停止方法をガイドの実演とともに学びます。
目の前で見るその動きは想像以上に速く、緊張が走ります。




続いて、自分たちも実践。実際に体を斜面へ預け、止める動作を繰り返します。
練習だとわかっていても、滑り出す瞬間はやはり怖い。そして、想像以上に止まらない。失敗を重ねながら何度もトライ。



そこでガイドが繰り返し強調していたのは、「滑落停止方法を覚えることが目的ではない」ということでした。本当に大切なのは、そもそも滑落しない行動をとること。
「本当の雪山では、滑落したら止まれないことが多い。でも、止めるしかない、必死になるしかない状況なんです」と。
その言葉の重みが強く胸に残りました。
プロから学んで気づいたこと
ー 編集部 川尻 ー
練習でも斜面を滑り落ちる瞬間はやはり怖い。でもその“怖さ”を体験できたことに大きな意味があると感じました。
本番で滑落しないために、今ここで経験しておく。その積み重ねが、雪山に立つときの心構えを確実に変えてくれると実感した時間でした。
ー ライター 高橋 ー
フィールドで体験しながらプロに学ぶことで、あやふやだった知識や使い方もクリアに。ギアを正しく扱えるようになり、雪山に挑戦してみようかなと少し自信が持てました。
雪山への一歩をプロと一緒に踏み出そう!

雪山スクールで得た経験は、次に雪山へ向かう自分の背中をそっと押してくれる大きな力になりました。プロから直接学ぶことで得られる安心感と理解の深さは想像以上。正しい知識と体験を重ねることで、不安は少しずつ自信へと変わっていきます。
雪山に興味がある人は、ぜひ一度体験してみてください。その一歩が、次の景色につながっていくはずです。
谷川岳ヨッホ「雪山登山スクール」詳細情報
「雪山登山スクール」開催概要
日程:2026年3月21日、28日
時間:午前の部 9:00〜11:30、午後の部 13:00〜15:30
場所:ビューテラスてんじん(座学)、天神平〜天神峠周辺
座学の会場『ビューテラスてんじん』はこんなところ



座学が行われた『ビューテラスてんじん』 は、展望スポットとしても大人気。目の前には大迫力の谷川岳の絶景が広がり、ここに来るだけでも価値があります。ランチには名物の『谷川岳パングラタン』を楽しむのがおすすめ。
眺めの良さと暖かさ、美味しい山グルメが揃ったこの場所は、雪山デビューの第一歩を安心して踏み出せる最高のスタート地点。ぜひ皆さんも体験してみてください。
はじめての雪山登山スクール|基本の持ちもの
雪山を安心して楽しむには、事前準備が大切。とはいえ、最初から完璧に揃えるのはハードルが高いもの。まずはスクール参加に必要な持ち物をチェックしてみましょう。

・ヘルメット:ペツル メテオラ
・サングラス:Niho MIKURI
・ハードシェル:ミレー ティフォン ウォーム ネクスト ストレッチ ジャケット
・パンツ:ミレー ティフォン ウォーム ネクスト ストレッチ パンツ(履いているモデルは廃盤品)
・シューズ:zamberlan マウンテンプロ EVO GT RR PU W’s
・バックパック:アークテリクス アルファ FL 30 バックパック
・グローブ:マムート アイガー ノードワンド プロ 2イン1グローブ
(アイゼン、ピッケルは講習会にてレンタル)
シューズ|冬用登山靴

冬用登山靴は夏用とは構造が異なり、保温性・剛性・アイゼン対応が大きな特徴。保温材入りで氷点下でも足先が冷えにくく、硬めのソールが雪面や急斜面での安定感を高めます。さらに、つま先やかかとにコバがあることで、ワンタッチ式やセミワンタッチ式アイゼンをしっかり固定できます。
登山スクール参加の段階では、夏用登山靴で参加できるケースもあります。ただしモデルによってはアイゼン装着が難しい場合もあるため、事前に確認・相談しておくと安心です。
ウェア・アクセサリ|防寒着、グローブ、サングラス

ウェアは、ベースレイヤー+ミドルレイヤー+シェルの重ね着が基本。
行動中にこまめに体温調整できるよう、脱ぎ着しやすい組み合わせを意識しましょう。
防水性・保温性のあるものを用意し、インナーグローブもあると細かな作業時にも便利です。
また、雪面の照り返しもあり紫外線は想像以上。目を守るためのサングラスやゴーグルも必須アイテムです。
参加した当日の服装・装備はこんな感じ!・ドライレイヤー:ファイントラック ドライレイヤーウォームブラトップロングスリーブ・ベースレイヤー:マーモット メリノウールロングスリーブティーシャツバイマーモット(着用モデルは廃盤品)・ミドルレイヤー:ミレー アルファ ライト ジャケット(着用モデルは旧モデル)・ハードシェル:ミレー ティフォン ウォーム ネクスト ストレッチ ジャケット
ギア|ヘルメット・アイゼン・ピッケル

ヘルメット・アイゼン・ピッケルは、雪山登山スクールで使用する基本装備。
アイゼンは有料でレンタル可能。ピッケルも持っていない場合は貸し出しがあるため、これから購入を検討している方も参加しやすい環境です。
講習内容によっては雪上でストックを使用することもあるため、持っている場合は持参するとよいでしょう。なお、これから冬用登山靴やアイゼンを揃える場合は、靴とアイゼンの相性が重要。装着予定の靴に合わせて選ぶと失敗が少なくなります。
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