例の発言をきっかけに台湾で「高市早苗フィーバー」が起きていた! ただ気になることも......。
イチオシスト

筆者が台湾で、取材相手にプレゼントされた高市早苗チョコ。同じ会社はかつて安倍晋三チョコも販売していた
「高市早苗は素晴らしい総理だね!」
こちらは今回、私が会った台湾人――つまり、民間防衛スクールの代表者から市議の秘書のお姉さんまで、ほぼ全員に言われた言葉である。
中には「日本人ならうれしいだろ?」と、台湾で製造された「高市チョコ」をプレゼントしてくれる人までいた。
台湾ではもともと、安倍晋三元総理(故人)が高い人気を集めてきた。ゆえに、安倍晋三記念公園や安倍晋三研究センター、安倍晋三記念館(予定)など多数の施設が建てられてきたが、やがては高市総理もこれに続きそうだ。
2月の衆院選で自民党が大勝した際には、台北市内のあるビルに高市総理大勝利を祝う巨大な横断幕まで登場した。
台湾の異常にハイテンションな「サナ活」ぶりは、同国が長年置かれた不遇な立場が関係している。台湾は70年代以降、中国との国交樹立を選ぶ世界各国に断交され、国連も脱退。戦前までの宗主国だった日本からも、政府間では長らく冷淡に扱われてきた。
ところが、安倍氏は21年12月に「台湾有事は日本有事」と発言。総理退任後とはいえ、日本の公職経験者では異例の言葉に台湾は沸き立った。
さらに高市総理の場合、昨年11月に在任のままで台湾有事を日本の存立危機事態であると発言。これが台湾側での人気を決定づけた。もちろん、中国と距離を置く「緑」側の台湾人のほうが、高市氏への好感度はいっそう高い。
もっとも、これだけ熱心にサナ活しているにもかかわらず、「例の発言」以外に対する台湾人の理解は薄い。
そもそも、「緑」の人たちが支持する与党・民進党は、19年5月に同性婚を法制化したり、国会の51議席のうち約半数が女性議員(なお自民党の女性議員比率は10%台前半)だったりと、安保政策以外は非常にリベラルな政党だ。同性婚どころか夫婦別姓制度すら認めない高市氏のポジションとは、本来ならば水と油のはずで......。
「えっ、高市さんってそういう立場!? 知らなかった!」
こうした反応も、やはり今回会った台湾人のほぼ全員から聞いた言葉である。
日本に対する薄い理解を示す話は、ほかにもある。実は今回紹介した全民国防団体のひとつは、過去に日本の新宗教系の右派政治団体とイベントを共催している。
そこで私が、この政治団体についてウィキペディアの記事を翻訳して送ったところ......目を丸くして驚いていた。共催相手の背景を調べていなかったらしい。
中国の認知戦を警戒しているのに、日本の政情は調べずに高市発言を歓迎する台湾人。もう少し、地に足のついた隣国理解を望みたい気もするが。
取材・文・撮影/安田峰俊
記事提供元:週プレNEWS
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
