森保ジャパン"W杯メンバー当落線上の16人"総チェック!!! "南野枠"の最適解は27歳ルーキー?
イチオシスト

フライブルクで活躍する鈴木唯人。「今季のドイツ移籍組では一、二を争う活躍度で、すでにチームの中核を担っています」(ミムラ氏)
各ポジションに有力選手がそろい、W杯本大会に向けて熾烈なメンバー争いが繰り広げられている森保ジャパン。"最終選考"となる3月の欧州遠征を前に、今注目すべき当落線上の選手たちを総ざらい! *成績は日本時間2月12日時点
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【鍵はコンディション。"南野枠"はどうなる!?】6月開幕のサッカーW杯北中米大会まであと4ヵ月。森保ジャパンは3月末にスコットランド、イングランドとの2連戦に挑む。
本大会直前の5月にも親善試合があるとはいえ、新戦力のチェック、当落線上の選手の見極めはこの3月シリーズが"最終選考"となるはずだ。
「今回のW杯で森保一監督が重視するのはコンディションです。実績がある選手でも、コンディション不良であれば思い切って外すのが森保監督。前回カタール大会でも常連組の大迫勇也、原口元気を選びませんでしたから」
こう語るのは、森保ジャパンの取材を長く続けるスポーツライターのミムラユウスケ氏だ。コンディション重視の背景には、前回カタール大会での悔しい経験があるという。
「PK戦で敗れたクロアチア戦。選手たちは満身創痍(そうい)の戦いで、仮に勝ち上がっていても次の試合に4、5人は出られなかったといわれています。今大会で『優勝』を公言する森保監督としては、頂点から逆算すると何よりもコンディションが大事、というわけです」
その視点も含め、まずは攻撃陣から代表入りを争う選手たちの近況を見ていきたい。
森保ジャパンで最多出場&最多ゴールの南野拓実(モナコ)が年末に左膝前十字靱帯(じんたい)を断裂し、W杯出場は絶望的に。そこで注目は、この「南野枠」に誰が入るのか。その候補のひとりが、今季からドイツのフライブルクで活躍する鈴木唯人(ゆいと)だ。
「今季のドイツ移籍組では一、二を争う活躍度で、すでにチームの中核を担っています。一方、守備の強度は進化を感じるものの、南野と比べるとまだ物足りない。ただ、昨季までフライブルクでプレーしていた堂安律(フランクフルト)もこのチームで守備の強度がグンと伸びたことを考えると、今後の伸びしろに期待できそうです」
戦術分析官としてYouTubeで人気を博し、自身でもクラブチームの監督を務めるレオ・ザ・フットボール(以下、レオザ)氏も鈴木の能力の高さに期待を寄せる。
「FWとMFの間に位置するシャドーは、森保ジャパンで激戦区のひとつ。さまざまなタイプの選手がいる中、鈴木は自分で突破するだけでなく、私が『共有力』と呼ぶ、周りとのコンビネーションで自分とボールを動かしてゴールに直結させる判断力が高い点が魅力です」
ほかには21歳の北野颯太(ザルツブルク)も注目の逸材だ。

「ポスト南野」と呼びたくなる存在の北野。「バイエルンと1月に練習試合をした際、両チームで一番目立っていた」(ミムラ氏)
「ドイツで首位を快走するバイエルンと1月に練習試合をした際、両チームで一番目立っていたのが北野でした。適正ポジションはシャドーですが、チームではトップ下を務めることも0トップで最前線に立つこともある。
さらに、守備強度も非常に高い。セレッソ大阪からザルツブルクという経歴も『ポスト南野』と呼びたくなる存在です。11月シリーズにも呼ばれましたし、森保監督は同じ力なら若い選手を選ぶスタンスなのでチャンスはあります」(ミムラ氏)
そのほか、欧州でプレーするFW陣の動向も見ていきたい。
「若い力」という点では、1月にオランダのNECからドイツのヴォルフスブルクへ移籍した20歳の塩貝健人も期待の快足ストライカーだ。

今冬、ヴォルフスブルクへ移籍した塩貝。「2025年の1年間、途中出場で11ゴール。オランダ国内の途中出場ゴール記録です」(ミムラ氏)
「塩貝は2025年の1年間(昨季後半戦と今季前半戦の合算)、途中出場で11ゴールをマーク。これはオランダ国内の途中出場ゴール記録です。その結果として将来につながる素晴らしい移籍を勝ち取りましたが、代表入りという観点では『スーパーサブ』としての印象が強いほうが利点でした。ドイツで得点ペースが落ちた場合に森保監督がどう考えるかは未知数です」(ミムラ氏)
同じく20歳の後藤啓介(シントトロイデン)は現在ベルギーリーグで得点ランク1位タイと好調をアピールする。

現在ベルギーリーグで得点ランク1位タイの後藤。「191㎝とサイズもあり、連続して相手にプレスをかける献身性もある」(レオザ氏)
「後藤は191㎝とサイズもあり、連続して相手にプレスをかける献身性もある。動き出しも良くなるなどベルギーで伸びているのがわかります。FWは上田綺世(あやせ/フェイエノールト)以外の競争は最後まで続くはず。2、3番手を小川航基(NEC)や町野修斗(ボルシアMG)と争うと思います」(レオザ氏)
ミムラ氏もFW陣の競争に注目する。
「小川はクロスに入るのが代表で一番うまく、上田も参考にするほど。後藤は2シャドーの一角もできるので、むしろ『南野枠』でチャンスがあるかも。町野は今季の得点数が伸びず、厳しい状況ですが、前回カタール大会でチームが苦しいときに誰よりも声を出していたムードメーカー。久保建英(たけふさ/レアル・ソシエダ)との相性も良く、ロングスローもできる。私は代表に欠かせない選手だと思います」
【激戦必至のウイング&ボランチ争い】続いて中盤。日本が誇る両翼、左ウイングの三笘薫(ブライトン)と中村敬斗 (スタッド・ランス)、右ウイングの堂安と伊東純也(ゲンク)は当確......かと思いきや、ここでも"コンディション問題"が重要になるという。
「伊東のコンディションがなかなか上がってきません。そこで注目されるのが菅原由勢(ゆきなり/ブレーメン)です。今季は状態もいい上に、もともと定評があった守備に加え、最近は攻撃面でも森保監督の評価を高めています」(ミムラ氏)

ドイツ1年目で躍動する菅原。「定評があった守備に加え、最近は攻撃面でも森保監督の評価を高めています」(ミムラ氏)
今冬、英国2部の強豪クラブへ移籍した平河。「森保ジャパンが基準として求める連続での守備もやり切れる」(レオザ氏)
この冬、英国2部チャンピオンシップ内で強豪クラブへの移籍を果たした平河悠(ハル・シティ)も注目株だ。
「平河は右でも左でも高いパフォーマンスを発揮できますし、シャドーでもプレーできる。森保ジャパンが基準として求める連続での守備もしっかりやり切れる。欧州5大リーグにも匹敵するレベルのチャンピオンシップで評価を高めていますし、三笘や中村に今後ケガなど不測の事態があった場合に備えて、今から呼んでおいたほうがいい選手です」(レオザ氏)
ウイング以上に激戦区なのがボランチだが、故障者も多い。長らく不動の存在だった守田英正(スポルティング)が度重なるケガで約1年代表から遠ざかっており、遠藤航(リバプール)も2月12日(日本時間)に左足首を負傷した。
現時点で本大会への影響は不透明だが、若手ボランチによるさらなる突き上げは必要不可決。そんな中、今季、評価を高めているのが藤田譲瑠(じょえる)チマ(ザンクトパウリ)と佐野航大(NEC)だ。

チームで絶対的な存在の藤田。「チームへの貢献度ではドイツの今季新加入選手の中でもトップ3に入ります」(ミムラ氏)
佐野海舟の弟、佐野航大。「攻守で消える時間がほぼなく、10分試合を見れば佐野がチームの中心だと気づけるほど」(レオザ氏)
「藤田はクラブ史上最高額での移籍とあって、すでにチームで絶対的な存在。インターセプト数が佐野海舟(マインツ)に次いでリーグ2位、相手陣内でのボール奪取数がリーグ1位という守備での活躍に加え、攻撃時にはウイング的な仕事も担うなど、チームへの貢献度ではドイツの今季新加入選手の中でもトップ3に入ります」(ミムラ氏)
レオザ氏は佐野海舟の弟、22歳の佐野航大に注目する。
「1対1のデュエルに強く、ラストパスも出せる。攻守で消える時間がほぼなく、10分試合を見れば佐野航大がチームの中心だと気づけるほど。移籍は実現しませんでしたが、この冬はプレミアやドイツなどの複数クラブから高額オファーが届くほどオランダでは別格の存在です。代表入りの可能性は十分にあります」
【復帰組か、台頭組か。長友佑都は必要か!?】最後にディフェンス陣も見ていきたい。このポジションは層が厚い一方でケガ人が絶えず、まだまだ誰が選ばれるか予想しづらい。
それでも、本来ならば主力候補の伊藤洋輝(ひろき/バイエルン)、冨安健洋(たけひろ/アヤックス)が長い療養から復帰できたのは明るい材料だ。
「冨安も伊藤も3バックではセンターバックができて、4バックではサイドバックもできる。さらにビルドアップ能力も非常に高い。復帰はこれ以上ない明るい話題です。
特に冨安は万全であれば世界レベルのDFなので、あとはどこまで状態を上げられるか。伊藤は消化不良に終わった前回カタール大会とは違って、自身のプレーが世界レベルであると証明する大会になるはず。2人とも何度もケガをしてきただけに本大会時のコンディショニングが鍵となります」(レオザ氏)
ディフェンスラインの主力クラスでまだ戦線復帰できていないのが、町田浩樹 (こうき/ホッフェンハイム)だ。
「今季開幕戦で左膝前十字靱帯断裂の大ケガを負いました。W杯本番での状態がまだ読めませんが、仮に復帰が間に合うなら、ぜひ選びたい選手です」(ミムラ氏)
主力級の選手たちに不安要素がある中、存在感をアピールしているのが27歳でブンデスデビューした安藤智哉(ザンクトパウリ)だ。1月にアビスパ福岡から移籍すると、瞬く間にドイツで脚光を浴びる存在になった。

身長190㎝で空中戦に強い安藤。「試合終了間際で守り切りたい場面など、役割を明確にすれば重宝しそうです」(レオザ氏)
「安藤は身長190㎝と高さがあり、空中戦も強い。試合終了間際で守り切りたい場面など、役割を明確にすれば重宝しそうです」(レオザ氏)
「安藤は3バックなら中央でも左右でもどこでもできる。ドイツ移籍後は、W杯の決勝トーナメントで対戦する可能性のあるノルウェー代表の主力選手をしっかり抑えていました。森保監督は1月に欧州で12試合を視察しましたが、唯一2試合視察したのが安藤のいるザンクトパウリ戦。期待の表れかもしれません」(ミムラ氏)
若手で注目は、1月にトッテナムからボルシアMGに移籍した21歳の高井幸大(こうた)だ。

今冬、ボルシアMGに移籍した高井。「この冬の移籍選手で最もクラブから期待されている日本人選手です」(ミムラ氏)
「この冬の移籍選手で、最もクラブから期待されている日本人選手が高井です。レンタル移籍ですが、ボルシアMGとしては買い取る意向もあり、クラブの将来を担ってほしいと期待されているほど。高井は最近のトレンドである逆サイドからのクロスへの対応力が優れており、森保監督としては期待したくなる選手だと思います」(ミムラ氏)
また、現代表の懸念点をカバーする上でも高井はうってつけの存在だという。
「森保監督が今、最も危惧するのは堂安の控え。攻め込まれた際は右サイドバックもできる、右のウイングバックを求めています。ユーティリティの鈴木淳之介(コペンハーゲン)はいますが、高井ならこの守備的な右サイドの役割もこなせるはず」(ミムラ氏)
そして、やはり気になるのは、日本人初の5大会連続出場を狙う39歳、長友佑都(FC東京)の代表入りの可能性だ。
「攻め込まれる展開が想定されるW杯では、どう守り切るかという場面はきっとある。その際、守備的なウイングバックとして、サイドの低い位置で周りを動かしながら相手にいかに得意な攻撃をさせないか。誰よりも頭を使って周りを動かす『サイドの司令塔』になれるのが長友です。
今はチームでもいいパフォーマンスを見せていますし、年齢やベテランという先入観を取っ払って、本大会での展開を想定すると役割の見えてくる選手だと思います」(レオザ氏)
ミムラ氏も「2年前のアジア杯敗退の最大要因である『チームの熱量不足』を長友以上にカバーできる存在はいない」と必要性を訴える。
ただ、その役割であれば貴重な26人の枠ではなく、コーチとしての帯同でもいいのではないか、という声もある。
「ピッチに立つ可能性が1%でもある人がそれをやるのと、コーチがやるのとでは意味が異なります。そもそも、『選手と同じ目線に立つコーチ』としては長谷部誠さんがいます。長友に求められているのは『コーチと同じ目線に立つ選手』。日本代表が勝ち進む上では、どちらの存在も必要不可欠です」
欧州サッカーはここからシーズン終盤。W杯までの短い期間で誰が調子を上げるのか。優勝を狙える最強メンバーの選出を期待したい。
取材・文/オグマナオト 写真/時事通信社 アフロ
記事提供元:週プレNEWS
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